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Part2(2001・8)
伊万里駅前に出てきました。
この街は、伊万里焼の街として全国的に有名なところです。このあたりは大陸から近いこともあって、近隣の有田など焼き物の里が多いですよね。

駅舎は二つありまして、左がいま出てきたJRの駅舎、そして右手の小さいほうが、これから乗る松浦鉄道の駅舎です。

この松浦鉄道は、1988年4月、それまでのJR松浦線を引き継いで営業を開始しました。JRから営業を引き継いだときには32駅だった駅数を57駅にまで増やし、ダイヤ増便をおこなうなどの努力があって、(路線が93.8kmと長いこともあるでしょうが)輸送人員は382.1万人(2000年度速報値・国土交通省の統計による)と全国の第三セクター鉄道のなかでもトップで、少しずつではありますが黒字を計上しています。全国的に国鉄・JRの路線を引き継いだ第三セクター鉄道が苦戦を強いられている中で、健闘しているといっていいと思います。
前置きが長くなりましたが、旅を続けましょう。
駅のきっぷ売り場で、こちらのきっぷを買いました。これは、松浦鉄道が出しているフリーきっぷで、当日に限り松浦鉄道全線乗り放題のものです。通常、平日だと2000円かかるところ、夏休み期間中ということで休日用の1700円のきっぷをゲットすることができました。
・・・というか、この伊万里から終点の佐世保まで乗りとおしても、普通運賃は1920円ですから、このきっぷだと、途中下車なしの片道乗りとおしだけでもとがとれてしまう計算に・・・。いやはや、すごいきっぷです。
で、乗り込むのは、9時15分発の佐世保行き。車両は、レールバスタイプのMR-100形気動車です。
時間が来て、折り戸が閉まります。
車両のなかは、中央部にボックスシートが若干あるほかはロングシートになっています。
この時間ではありますが、途中から松浦方面に向かうお客さんで、車内は少しずつ人が増えていきました。
伊万里湾沿いを北上した後は外海が見えてきます。
この路線は、海沿いの景色のいい区間もけっこう多いんですよね。ずっとカメラを構えていないと、いい景色を見逃してしまいそうでけっこうコワイかも、です。(笑)
松浦に着きました。ここでお客さんがかなり降りました。
このあたりでは、アジやサバが特産品になっているなど、魚がおいしいそうですので、いずれ食べに来てみたいと思いますが・・・。
レールバスはさらに西へ向かいます。海に浮かぶ島々も見渡せます。
途中からは写真を撮るのも忘れて、景色に見入ってしまいました。
10時14分、日本最西端の駅・たびら平戸口に到着です。
以前、「GO WEST! 心高鳴る西の国へ」の旅行記で、佐世保駅がJR線の最西端の駅であることを紹介していますが、このたびら平戸口が、文字通り、現在の日本の鉄道ではもっとも西にある駅です。
これでワタシは、正真正銘、日本の鉄道駅の東西南北の端をすべて踏破したことになります。
途中下車してみますか。
途中下車、といっても、このあとの予定を考えると歩いて海の近くまで行く余裕はないので、駅のまわりをうろつくだけになりますが・・・。

こちらが駅舎です。写真のさらに右手側には「日本最西端の駅」と彫りこまれた石碑が立っています。
上写真の左手奥には、こちらの石炭貨車セラ220が置いてありました。
この松浦半島方面にも、かつては炭鉱がたくさんあったそうで、鉄道による石炭輸送の需要も多かったと聞きます。現在の松浦鉄道の線路もその輸送の一端を担っていたわけで、このセラ220はその当時の名残、ということになります。
野ざらしのままのため、かなり傷んできているのが気になりますが・・・。
また、駅舎のきっぷ売り場には、小さな鉄道博物館が併設されていて、国鉄当時からの鉄道資料が展示されています。どういうものがあるのかは、ぜひ一度その目でお確かめください。
きっぷ売り場に入ったので、窓口で写真のものを買い求めました。「日本最西端の駅訪問証明書」(200円)。表にはちゃんと日付も入れてもらいました。まぁ、これはお約束、ということで・・・。(^^;)
そろそろ、次の列車に乗る時間です。
佐世保方から、写真の気動車がやってきました。MR-500形、この風貌から、「レトロン号」と呼ばれています。ただ、ワタシが乗るのはこの車両じゃなくて・・・。
・・・松浦方からやってきたこちら。さきほどと同じ、MR-100形です。
10時46分、佐世保へ向けて出発です。
たびら平戸口を出ると、右に大きくカーブを切り、南の方へ向かい始めます。
しばらくは、海の見えるところを走っていきますが・・・。
しばらく内陸部へ入ります。
ここは、佐々。かつて国鉄時代には、ここに機関区がありました。現在でも、松浦鉄道の車庫がここにあります。
かつては貨物扱いもあったんでしょう、線路こそなくなっているものの、広かった構内の名残も散見されます。
次第に列車は佐世保に近づいてきました。
こちらは、途中の大学駅。長崎県立大の最寄駅、ということでこういう駅名になっているようなんですが、松浦鉄道では、「今福」駅からこの大学駅までの乗車券、あるいはこの大学駅の入場券をお守り袋に入れた「合格祈願切符」も発売しているとか・・・。
レールバスはやがて、佐世保の中心街に入ってきました。
まもなく、終点です。
商店街から近いところに新設された佐世保中央駅を過ぎ、トンネルを抜けたところで、このような光景が見えてきます。
現在、佐世保駅は高架化工事の最中(今年中には完成予定とか)で、松浦鉄道の線路も、やがてはその高架駅へ乗り入れることになります。今走っている線路の左側にはその高架ホームへのアプローチ部の工事が進んでいます。

12時4分、佐世保着です。
当初の計画では、ここで1時間半くらいゆっくりするつもりでした。しかし、気が変わりました(笑)。そのくらい時間があれば、まだ乗りまわせるはず・・・。
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