<Part3へ>
Part4(2000・1〜2)
鳥栖に降り立ったワタシは、いったん改札の外へ出たりしながら、次の列車を待っていました。
少し早めにホームに上がります。さすがに鹿児島・長崎両本線のジャンクションというだけあって、多くの特急が行き交っている様子がわかります。駅の東側には、サッカーチーム「サガン鳥栖」が本拠地としている巨大なスタジアムが・・・。

やがて、ワタシの待つ5番線に、14時15分発「ハウステンボス・みどり13号」の485系編成が入ってきました。前4両(7〜10号車)が「ハウステンボス13号」ハウステンボス行き、後ろ4両(11〜14号車)が「みどり13号」佐世保行きです。ワタシは「みどり」編成の11号車、グリーン・普通車合造のクロハ481-9に乗り込みます。「みどり」に乗るのは、実は初めてだったりします。
・・・と、ちょっと待った! 「みどり」には通常、「MIDORI EXPRESS」の大きなロゴが書かれた専用の編成が充当されているんですが、この日の編成は、ワタシの乗る11号車だけが汎用の「RED EXPRESS」のロゴをつけた車両でした。3月のダイヤ改正に向けて、編成の組み替えが始まっているのか・・。

実は、その3月11日のダイヤ改正で、国鉄時代から走りつづけてきたこの485系車両は、この「みどり」「ハウステンボス」、長崎線の「かもめ」の運用から引退することになっているんです。今回、「みどり」に乗ってみようと思ったのは、そこに最大の理由がありました。

「ハウステンボス・みどり13号」は、接続列車待ち合わせのため、3分遅れで鳥栖を発車しました。
列車は、佐賀平野にのびる複線の長崎線を快走していきます。
このあたりでは完全にいい天気。向こう側に見える背振山、そしてそれに続く山々の方角には、まさに雪雲が・・実はこの日、福岡・北九州近辺ではかなりの雪が降ったようで、車内の会話でもそうした話がかなり聞かれました。

佐賀を過ぎて列車は14時43分、肥前山口に到着。ここからは単線の佐世保線に入っていきます。
次の武雄温泉では、自由席を中心にかなりの乗客が降りていきました。やはり目当ては温泉でしょうか?
陶器の里・有田を過ぎ、まもなく早岐に到着します。
15時23分、列車は早岐に着きました。駅構内では、京都〜佐世保間を走るブルトレ「あかつき」の編成が休んでいます。この「あかつき」の佐世保編成も、3月改正で消えてしまうんですが・・。
ここで、「ハウステンボス」と「みどり」の切り離し作業が行なわれます。「ハウステンボス」は、この先大村線を一駅間走ってハウステンボスへ。「みどり」の方は進行方向が逆転し、終点・佐世保を目指すことになります。
それにしても、この485系の切り離し風景もあとわずか。3月11日からは、783系「ハイパーサルーン」同士の分割・併合となります。
「みどり13号」は15時40分、約2分遅れて終点・佐世保に到着しました。
1990年に登場した、この「MIDORI EXPRESS」編成。登場から10年でその活躍の幕を閉じます。この西九州から485系が消えてしまうのは寂しいですが、これも時代の流れなのかもしれません。

ところで、この佐世保駅、JR線ではもっとも西にある駅、ということになっています(東経129度43分)。以前は松浦線の平戸口駅(現・松浦鉄道たびら平戸口駅)だったんですが、1988年に第三セクター化されているため、現在は佐世保駅、なんだそうです。
これまた先日、北海道へ行った際に日本最東端の駅・根室本線東根室駅(東経145度36分)を通っていますので、これで、ワタシはひと月の間にJR線の東西南北それぞれの端を制覇してしまったことになります(^^;)。ちなみに、佐世保駅には今のところ、「最西端」を示す標識類は特にないようですが・・。
次の列車までまだ時間がありますので、いったん改札を出ることにします。
この写真の場所、何だと思います? 実は、駅構内にあるゲームセンターなんですよ。そこにまぁ、「MIDORI EXPRESS」のロゴが・・・上の写真と見比べればお分かりのとおり、車両に描かれているものとは違いますけど・・。
あと、駅構内には3月11日から運転される予定の783系「ハイパーサルーン」による「みどり」の試乗会を告知するポスターも貼られていました。

このあと、駅構内の書店で雑誌を読みながら時間つぶし。・・・おっといけねぇ、もう時間だ。(^^;)
次の列車に向かうことにしましょう。
2番線に待っていたその列車は、特急「シーボルト3号」長崎行き。「シーボルト」といえば、JRの特急列車で初めて人名を愛称名にしたということで有名な列車ですね。
この列車には、写真のキハ183系1000番台の専用車両が充当されています。この車両、元をたどれば、グリーン塗色で「ゆふいんの森U世」として活躍していた車両、さらにその前は、現在と似たような色合いで「オランダ村特急」として走っていた車両です。「オランダ村特急」当時は、電車(485系)との動力協調運転を、営業運転で初めて行なった気動車として話題になったもんです。
キハ183系というと、北海道の車両、というイメージが真っ先に思い浮かびますが、一人ぽつんと九州で走りつづけるこの「シーボルト」も、北海道のキハ183系基本番台と同一のエンジンを載せており、まさしくキハ183系なんですよね。

「シーボルト3号」は、16時25分、定刻1分遅れで高架化工事が進む佐世保駅を発車しました。
この「シーボルト」にはグリーン車はないので、ワタシは1両のみの指定席車である1号車に陣取りました。その1号車の先頭部分には、写真のようなパノラマラウンジがついています。運転席が2階に上げられているんでこのような配置が可能なんですが、これは乗客も少ないようだし、座席に座っているよりこのラウンジにいたほうがよさそう・・・とばかりに、そそくさとこちらへ移動してきます。
さあ、どんな展望が見えるのかな・・・?
列車は早岐から大村線へと足を進めます。
早岐からしばらく架線の下を走っていくと・・・あれ、なんか欧風のたたずまいが見えてきましたね。そう、ここがあのハウステンボスです。
最近は観光客の出足も下火だと聞いています。そのせいか、3月のJRダイヤ改正では特急「ハウステンボス」も減便される予定になっています。ハウステンボスからこの「シーボルト」に乗ってきた乗客も、ほんのわずかでした。
ハウステンボスから先は非電化区間です。そして、ごらんのような大村湾のすばらしい景色が迎えてくれます。
この区間の乗車は初めてですが、いやぁ、こんなに景色がいい区間だとは、知りませんでしたよ(^^;)。しかも、その景色をこのパノラマ先頭車から眺められる・・・。ほんと、この「シーボルト」という列車は、乗り得ですわ(*^^*)。ワタシ自身、皆さんに自信を持って薦められる列車ですよ。

やがて、右手海上に長崎空港の姿が見え、列車は大村へ。若干乗客が増えたようですが、まだまだ空いていました。
列車は、長崎本線と合流する諫早にたどり着きました。ここからは特急「かもめ」も走る幹線ですから路盤もよく、列車は2分ほどあった遅れを取り戻すべく、エンジンをうならせながらの快走を始めます。
すでに時刻は17時半、夕陽に照らされる中を、「シーボルト3号」は終点・長崎を目指します。
  「シーボルト3号」は何とか定刻に長崎に到着。ワタシはその余韻に浸る暇もなく、次の列車への乗り換えを急ぎます。その列車は、783系「ハイパーサルーン」6連で運転される、特急「かもめ36号」博多行き。乗り継ぎ時間はわずかに10分、すなわち、私の今回の長崎滞在は10分、ということになりました。(^^;)
この783系「かもめ」も、3月11日から新車・885系が「かもめ」に大量に投入されることから大幅減便となる予定です。
ワタシが乗り込むのは、1号車のクロハ782-504。もちろん、「A室」のグリーン席です。

列車の中では、JR九州の車内誌「Please」を読んだりしながらのんびり過ごしました。なにしろ、諫早発車時点で外は真っ暗。車窓を楽しむなんてことはできませんし・・・。
博多が近づいたころ、外には雪の積もったところが見えてますね。やはり、けっこう降ったんでしょう。
「かもめ36号」は長崎から約2時間で、終点・博多に到着です。
  駅ホームの立ち食いうどん屋で丸天うどんを食べ、だしづゆを飲み干したあと、いよいよきょう最後の列車に向かいます。
その列車は、787系6連で運転の、20時35分発特急「つばめ27号」西鹿児島行き。夜行の「ドリームつばめ」を除くと下り最終の「つばめ」です。この列車には「つばめレディ」の乗務はなく、当然ビュッフェの営業もありません。西鹿児島到着が0時を回るということもあるんでしょうが。

列車は二日市を過ぎたころから、闇の中を目一杯のスピードで走り始めます。軌道状態や線形などの条件がある程度の水準を満たしているからこそのスピードなんでしょうが、それにしても速いですねぇ。
787系はすでに登場から8年になりますが、「つばめ型車両」として、いまでも後輩の883系「ソニック」に引けを取らない人気者です。それは、単に格好のよい車両だから、ではなく、その高い車両性能、車内のアコモデーションのよさ、そして「つばめレディ」の存在に象徴される魅力的な車内サービス、それぞれがあいまって、みんなが「乗ってみたい」と感じることができる車両だから、だと思います。

21時50分、「つばめ27号」は定刻どおり熊本に到着。ワタシは明日の予定のこともあり、ここで列車を降りました。
ホテルに向かおうと駅を出ると、駅前の気温計は2℃を示していました。
<Part5へ>