(2022・10)
今回のウォーキングは、事前申込・定員制で行われた、筑前岩屋駅スタート・ゴールのコース。コースのなかには、筑前岩屋駅南方にあるアーチ橋・栗木野橋梁を含む、BRT専用道の整備途中の区間が含まれていました。

2017(平成29)年7月の九州北部豪雨で被災し、不通となっていた日田彦山線添田~夜明間について、JR九州がBRT(バス高速輸送システム)での復旧を打ち出し、現在、その専用道の整備真っ最中。レールと枕木が撤去され、整地され、やがて舗装されていくことになります。今回は、その専用道を歩くことができる、稀少な機会となりました。
添田駅まで列車で行ったあと、バスに乗り換えて筑前岩屋駅へ向かうことになるため、事前申込が必要ということで、ワタシは同行予定の小6娘と2人分の申し込みを早々に済ませていました。

なお、ウォーキング部分の様子はこちらも参照ください。
10月30日朝。
まずは箱崎から6時36分発、普通123M列車博多行きに乗車します。813系9両での運転、前3両はRM2234編成でした。
吉塚でまず1回めの乗り換え。
6時41分発、普通2622H列車直方行き。817系VG1603編成2連での運転です。
直方車両センターの817系は、1000番台・1100番台のロングシート化改造が終わって1500番台・1600番台となり、既存の2000番台車を含め全車がロングシート車両となりました。
こちらは途中の筑前山手駅。
駅から見える国道201号八木山バイパス、現在、拡幅して車線を増やすための工事が進行中です。
車内では、こちら。

朝飯に買ってきたのは、こちらのスナックサンドのハムタマゴ。
朝が早いんで、前日のうちから買い込んで用意していたんです。
けっこうお手軽で、さっと食べられるんで気に入っています。
こちらは、筑前大分駅。
放射冷却で冷え込んでいましたんで、行き違い待ちの間に車外へ出てみると、ひんやりとした空気が体を包みました。
筑前大分の次は、桂川に停まります。

隣の2番ホームには、原田線の普通6623D列車が発車を待っていました。この日は、キハ140-2067が使用されていました。
2622Hはまもなく新飯塚へ。
写真は遠賀川を渡るところ。写真の奥の方で、穂波川と合流します。
本当に、雲もほとんどなく、いい晴れ具合でした。
2622Hは7時40分に、新飯塚駅1番ホームに到着。

ここから後藤寺線に乗り換えます。
以前このときにも乗車していた、新飯塚8時2分発、快速3531D列車田川後藤寺行きに乗車します。1日1本だけの運転、後藤寺線内無停車の、あの快速です。
この日はキハ147-1125+185の2両での運転でした。
新飯塚を出て、筑豊本線と分かれ、後藤寺のほうへ向かう列車。
上三緒手前、右側には筑豊富士と俗称されるボタ山が見えます。今やすっかり緑に包まれていますが、もともとは石炭を掘った際に出た捨石を積み上げたものですからね・・・。
写真は、筑前庄内~船尾間にある入水トンネルを通過している際に撮ったもの。
乗車しているキハ147形は、キハ47形のエンジン出力強化型。エンジンをコマツ製のSA6D125-HD1型エンジン(360PS)に換装して、形式番号を+100としたものです。JR九州のキハ40系列のその後の改造車では、エンジン出力が300PSに抑えられていますので、このキハ140・147形はそれらよりも強力なエンジンを積んでいることになります。
いろいろ改造されてはいますが、JNRマークがついた車内の扇風機がまだ現役で残ってますし、原形式の雰囲気を色濃く残していますよね。
入水トンネルを抜けると、列車は田川盆地へ降りてきます。

まもなく終点の田川後藤寺というところ、中元寺川を渡ります。
川面にしっかり、青空が映りこんでいました。
3531Dは8時18分、田川後藤寺に着きました。

3度めの乗り換え、今度は日田彦山線に乗車します。
田川後藤寺8時33分発、小倉からやってくる普通931D列車に乗車します。キハ40-8051+キハ147-54の2両でやってきました。
お客さんはそこそこ乗っていましたが、どうにか席にありつくことができました。
写真は、途中の豊前川崎を出たところ。
左手にいかにも廃線敷なところが続いていましたが、これがあの、未成線として有名な油須原線の敷地だったんですよね。この先、左手に分岐していき、この橋梁のほうへ向かっていくわけなんです。
8時48分、931Dは終点の添田に到着しました。

駅構内は、列車と、BRTのバスを接続させるための工事の真っ最中でした。駅の線路は1本のみとなり、他はすべて剥がされてしまいました。
旧・添田線側にも線路が残ったりとかしてたんですけどもね・・・。
さて、ここからはバスに乗り換えて、ウォーキングスタートの筑前岩屋駅へ向かいます。
駅から近い添田駅バス停のバス折り返し場のところに、赤いボディでおなじみのJR九州バスの貸切用・いすゞガーラが待っていました。この日は3台のバスが、添田駅と筑前岩屋駅との間の参加者輸送にあたっていたようです。

バス乗車の受付を済ませ、さっそく乗り込みました。
バスは県道52号へ出て、南へ走り始めました。彦山駅までは、おおよそ日田彦山線の線路跡に沿った道のり。

写真は、豊前桝田駅手前で線路跡をオーバークロスするところ。
BRTのバスは、添田~彦山間では専用道ではなく、この県道52号を走るとみられますので、この線路跡が今後どういう活用をされるのか・・・。
彦山駅の下を過ぎたところからは、国道500号に入り、山間を通って小石原をめざす道のり。現在、日田彦山線の代行バスが使っているルートでもあります。
ワタシ自身、自分のクルマで走ったこともあるんですが、けっこう急なカーブも多いところで、大型バスが走るのはなかなかすごいなぁと・・・運転士さん凄いと思います。(^^;
小石原からは山を下り、大行司駅の方向へ向かいます。
このあたり、まだまだ災害復旧工事が途上のところが多いですね。写真の場所でも、道路を片側交互通行にして、河岸の工事をしていました。
大行司駅付近から県道52号へ入り、山手へ登っていきます。

予定していた時刻より10分ほど早く、バスは筑前岩屋駅前に到着しました。もちろん道路事情もあるので、余裕をみていたんだと思いますが。
駅前でさっそくウォーキングの受付を済ませました。

筑前岩屋駅舎は以前と変わらず佇んでいましたが、駅構内はだいぶ変化していました
さて、歩きましょうか。
駅をスタートして、まずは県道52号を山の方へ。

日本の棚田百選にも選ばれている、竹地区の棚田をめざします。
こちらは展望台。眼下に広がる棚田の様子を一望できます。
展望台にある棚田交流施設では、こちら。

棚田でとれたお米を使ったおにぎりと、豚汁のお振る舞いがありました。
朝が早くて、少しお腹が空きかかっていたところだったんで、これは本当にありがたかったです。(^^;

展望台の一角で、さっそくいただきます。
やはり、新米の棚田米で炊かれたお米はおいしいですよね。
豚汁も程よく生姜が効いていて、体が温まりました。
展望台からの景色がこちら。

天気も良くて、本当にいい日和になりました。
さて、棚田をあとに、次に向かったのは岩屋神社。

ここから本殿へ登っていくんですが、なんか山登りをしているような感覚になるような参道が待っていました。
登り切ったところに、こちら。
写真左下にある本殿、その上に、大きな岩が!
実は、この岩、宝珠石と呼ばれる、この岩屋神社のご神体なんですね。
この本殿、国の重要文化財に指定されていますが、造りがなかなかすごいなぁ・・・しばし感心して見ておりました。
さらに、こちら。
岩屋神社の境内に、もう一つ神社があるんですね。熊野神社というんですが、断崖の途中にある洞窟の中にこうして本殿があります。
この本殿も国の重要文化財に指定されていますが、こちらの造りもなかなかすごい・・・。
岩屋神社を後に、次に向かったのが岩屋キャンプ場。

前夜、ここで野営をした人たちが、テントを片付ける光景が見られました。
この時期、朝は冷えるでしょうが、キャンプ気持ちいいでしょうねぇ。
キャンプ場から下り、いったん筑前岩屋駅前を通過。

宝珠山川に沿って下っていくと、こちら、棚田親水公園があります。

ここで折り返す形になるんですが・・・公園内には色づきのいい木もありましてね。もうそういう紅葉の時期なんだなぁ・・・。
親水公園から、かつての線路敷のほうへ歩いて行きます。

多連アーチ橋である栗木野橋梁の南方から、いよいよ線路敷へと上がります。
足許があまりよくなかったんで、注意しながら一歩一歩登っていきます。
線路敷に上がり、少し歩くとそこには栗木野橋梁があります。
1938年に完成し、近代土木遺産にも指定されている同橋梁ですが、BRT化後は専用道としてバスが走ることになるため、線路敷を撤去して道路化する工事が進行しています。
既にレールと枕木、バラストは撤去済みで、あとは舗装を待つ状態。ガードレールも設置されていました。

左下写真は、橋梁の上から撮った田園風景。
こうして、この橋梁を歩きながら写真を撮れるというのは、非常にレアな機会ということになります。
橋梁を渡り切ると、そこには栗木野トンネルがあります。

トンネル入口横の銘板には、トンネル全長93.5mとともに、日田彦山線起点・城野駅からの距離程55k918mという標記が見られます。
実質、鉄道が走る路線は添田止まりとなってしまう日田彦山線。この距離程の標記を見ると、なんだか物悲しさが襲ってきます。
栗木野トンネルを通過し、筑前岩屋駅のほうへ向かう途中に、こちら。

山の方向へ続いている道が見えますが、これは福岡・大分県道107号宝珠山日田線です。この山を越えるところに福岡・大分県境があります。
かつて、11年前に筑前岩屋駅スタート・大鶴駅ゴールで行われたJR九州ウォーキングに参加した際、この道を歩いて山を越えたんでした。

今回同行している小6娘は当時1歳、ベビーカーに乗ってここへ来ていました。そのベビーカーを、ワタシが押しながらこの山を越えたんですよね。
その娘が成長して、今や普通に歩いてウォーキングに参加している・・・時は流れたんですね。(^^;
こちら、筑前岩屋駅の南、春には土手にツツジが咲くことで有名なところ。
線路敷跡の端に、杭として廃レールが打ち込まれていました。
実際にこのあたりで使用されていたもののようです。切断痕がまだ最近のもののようでしたしね。
前方に、ゴールが見えてきましたね。

筑前岩屋駅の南方の線路敷跡に、テントがいくつか立っていますが、ここにはゴール受付や、地元自治体のアンケートブースなどが設けられていました。
とりあえずは、アンケートに答えて、そのあとはゴール手続きを・・・。
その頃、筑前岩屋駅の上空にはヘリコプターが飛んでいました。
朝日新聞社が運用しているMD902・JA02AP、この日は、やはりこの専用道ウォークの取材に来ていたようでした。
ゴール手続きを終えて歩いていると、こちらのテントの前で呼び止められました。
「棚田米と豚汁食べていかんね? タダよタダ!」と言われちゃ、寄らないわけにはいきません。(笑)

さっそく、いただくことにしました。
ご飯はもちろん、棚田米の新米、それも、釜で炊いた炊きたてのものです。
ご飯には漬物を載せてもらいました。高菜漬と、味噌漬とがあるというので、味噌漬のほうをいただいたんですが、これがご飯に合う合う!典型的に進んじゃうやつでした。(^^;
そして豚汁!良く煮えた里芋がうまかったですねぇ~。(^^;

このウォーキング、先ほどの竹棚田展望台のところと、このゴールと、二度までも棚田米と豚汁のお振る舞いをいただけるなんて、本当に至れり尽くせりだなぁと。(^^;
ご飯と豚汁のお振る舞いをいただいたあとは、地元産品を売っているブースへ。

こちら、地元の造り酒屋・片岡酒造場さんのブースでは、様々な地酒の試飲販売を行っていました。
大行司駅の近くにある片岡酒造場は、5年前の九州北部豪雨の際に土砂が流入し大きな被害を受けました。同酒造場ではここ50年ほど自前での醸造から遠ざかっていたようですが、最近は地元産の酒米を使っての主力銘柄「福稲」の酒造りを復活させ、がんばっているとのこと。
今回、お薦めされて純米吟醸のにごり酒を試飲してみたんですが、これが酸味と香りがとてもよくてですねぇ、思わず1本お買い上げ。(^^;

このほかに、先ほど食べた棚田米の新米も2kg買って帰ることにしました。あとで嫁さんに棚田米買ったと話したら、「土鍋で炊こうかなぁ」と言ってました・・・きっと美味いんだろうなぁ。(^^;
さてそろそろ、指定された帰りのバスの時刻が近づいてきました。
すでに筑前岩屋駅の前には、JR九州バスの貸切車両が3台、待機していました。

ぼちぼち、乗るとしますかねぇ。
バスは先ほど来た道を戻る形で進んでいきます。

こちらは、途中の「道の駅小石原」。ワタシ自身、これまで自分の運転で何度かここへは来ていますが、相変わらず賑わっていますね。
小石原の街並みを抜け、国道500号を彦山駅の方向へ向かっていきます。

バスの前方にはこんな景色が。
本当に山の中で、携帯電話の電波も入らないようなところでしたからねぇ・・・ここを大型バスで走れるんだぁって、帰り道も感心しきりでした。
彦山駅付近を通過して、こちらは豊前桝田~歓遊舎ひこさん間の線路敷跡。
ここもレールや枕木の撤去は終わっていました。歓遊舎ひこさん駅付近の一部区間はまだレールが残っているようでしたが、その前後にはもうレールはありません。
筑前岩屋駅を出て45分ほどで、バスは添田駅までたどり着きました。

上の方でも書いたんですが、添田駅構内もかなり様変わりしてしまいました。旧・添田線のホームがあった痕跡、添田から先へ線路が延びていた痕跡が、少しずつ消えていってしまっています。
バスを降りて、駅構内へ。
帰りの列車のきっぷを買おうとするんですが、駅舎内にあったはずの券売機がない・・・と思ったら、ホーム上に移っていたんですね。
これも、添田以南のBRT化を見越した動きでしょうか。
とりあえず、さっさときっぷの購入を済ませました。

そして、駅の3番ホームの先。
車止めが現実を物語っていました。
そうこうしているうちに、ワタシたちが乗る列車が到着。

田川後藤寺方面から回送で到着したのは、キハ147-1033+91。これが、今回のウォーキング参加者向けの臨時列車である、13時52分発、普通9920D列車田川後藤寺行きとなります。
この日は、この9920Dを含む添田発の臨時列車上り2本が、ウォーキング参加者向けとして設定されていたようです。
各駅に停車して、9920Dは13時7分、田川後藤寺駅1番ホームに到着。車両はそのまま、定期列車の普通956D列車となって小倉へ向かいます。

隣の2番ホームでは、平成筑豊鉄道の400形404号が、1320D列車直方行きとして発車を待っていました。
まもなく、後藤寺線専用の0番ホームに、こちらの車両・キハ40-8063が入線してきました。
この車両が折り返し、田川後藤寺14時14分発、普通1554D列車新飯塚行きとなるようです。
列車は定刻に発車し、新飯塚へ向かいます。
こちらは、田川後藤寺の次の船尾の駅。ここには今年、このウォーキングのときに来てましたっけね。
近隣はセメント工場のプラントが立ち並んでいます。
1554Dは定刻よりやや遅れて14時36分、新飯塚駅3番ホームに到着しました。
向かい側の2番ホームには、これから乗り継ぐ列車が待っていました。新飯塚始発で運転される、14時43分発、普通2659H列車博多行き、往路でも乗車した817系VG1603編成に、また乗ることになりました。
ちょいと疲れが出て、のんびり座ってるうちに、2659Hは定刻の15時30分、吉塚に到着していました。

ここからは、15時45分発、普通2168M列車海老津行きに乗り換えて、箱崎まで。
添田から約2時間かけての乗り鉄が、無事に終わりました。
日田彦山線のBRT化予定区間については、これまでワタシ自身も何度か様子を見に行っていました。
今回は筑前岩屋駅からのウォーキング、しかも、BRT専用道の工事区間を歩くことができるというので、やはり直に見ておきたいと思い、早々に参加を申し込みました。
徐々に鉄道の痕跡が消えていきつつあるこの区間、ここでも書きましたが、将来的には気仙沼線のBRT化区間と同様、鉄道事業としては廃止、ということになってしまうのかなとか。もちろん、線路敷を取り払ってBRT専用道を造る時点で、列車が走ることはできなくなるわけですからね。

ウォーキングとしては楽しかったですが、やはりこのBRT化を考えると、複雑な心境にならざるを得ないなぁと。
機会があれば、また様子を見に行きたいと思いますが。
<おわり>