(2022・3)
春・3月になりました。
コロナウイルス禍はまだまだ収まる気配を見せません。数年はこうして、落ち着いたと思ったらまた変異株が出てきて再流行、というのを繰り返していくんだろうなと思います。
そんななかではありますが、感染対策に気を配りながら、できることから少しずつ、楽しいことを考えて実行していこうと思っているところで。

今回は、本来の職場である肥薩線が一昨年の豪雨災害で不通となっているため、熊本から「出稼ぎ運用」に来ている「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」に、博多~門司港間に往復で乗車した、というお話です。
小5娘と2人で出掛けました。門司港でのインターバルも含めて、いろいろ楽しんできました。
3月13日朝。
箱崎から、普通1159M列車鳥栖行きに乗車して、博多まで出てきました。

乗車したのは、前寄りに連結されていた821系UM7編成、なお後ろの3両として、この春に新製されたばかりのUM10編成がつながっていたようです。
新幹線の11番ホームには、HKT48のメンバーの写真が貼り付けられた「HKT48ラッピング新幹線」800系U9編成が停まっているのが見えていますね。
少し駅のまわりを歩き回ってきたあと、再びホームへ。

写真手前、3番ホームにいるのが、「みどり6号」で佐世保から到着した787系BM11編成。奥の4番ホームには、「かもめ91号」で長崎へ向かう885系が停まっています。
これらの車両たちも、約半年後の9月23日に予定される西九州新幹線の武雄温泉~長崎間部分開業とともに、大きな運用の変化を迫られることになります。まず、長崎へ電車特急が行かなくなる、というのが、現段階ではピンとこないんですがね。
さてそろそろ、乗車する列車がやってくる時間ですね。

「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」の車両たちは、ふだんは熊本車両センターにいるわけですが、この「出稼ぎ運用」のため、週末になると竹下(南福岡車両区竹下車両派出)へやってきます。連日運用の際は竹下で滞泊となっています。
今回は日曜日、前日の土曜に熊本からやってきて運用に就き、竹下で滞泊したあと、この日は竹下で起動し、博多へ入線してきます。

10時23分、その「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」の計4両編成が、竹下方からやってきました。
下り方に「かわせみやませみ」、上り方に「いさぶろう・しんぺい」が連結されていますので、上り列車の先頭は「いさぶろう・しんぺい」のキハ47-9082となります。

この組み合わせで、博多~門司港間を走るようになったのが、2020年8月からの話。すでに1年半以上にもなるんですよね。
肥薩線の不通期間が次第に長くなり、本来の職場を走れないままになっているこの両列車。もちろん、遊ばせておくよりは、こうして臨時運用に就かせて、PRも兼ねて走ってもらう、というのは、もっともな考え方なんだと思いますが。

本来走っている線区では出合うはずのない885系と、ここ博多で並ぶ光景というのは、やはりまだまだ違和感を感じますね。
というか、「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」が博多駅にいるということ自体、アウェー感の塊といいますか。

実は昨年12月に、この列車(そのときは下りの「いさぶろう91号」)で門司から博多まで乗車したことがありました。博多に到着して列車を改めて眺めたときに感じたのは、「あぁ、やはり本来はこの場所にいるべき列車じゃないんだな」ということでした。
同じキハ47改のD&S列車、そして同じエンジン換装車、でもあるわけですが、もともと「快速」としてブランディングされた「いさぶろう・しんぺい」に対し、当初から「特急」として登場した「かわせみやませみ」、アコモデーションには大きな違いがあります。

今回は、往路に「かわせみやませみ」のほうで指定をとっていました。「かわせみやませみ」のほうに乗車するのは、今回が初めて。もちろん、肥薩線でも未乗車となっていましたのでね。
左の写真は「かわせみやませみ」の1号車・キハ47-8087の車内。座席はおもにリクライニングシート、一部でベンチシートが採用されています。
内装はどちらかというと明るめの木材が使用されていて、明るいながらも落ち着きのある空間となっています。
「かわせみやませみ92号」「しんぺい92号」は10時39分、定刻に博多駅2番ホームを発車しました。

気動車ではありますが強馬力エンジンに換装されていますんで、加速するとなかなかの勢いで飛ばしていきます。
写真は多々良川橋梁を渡るところ。なかなかの足取りで飛ばしています。
車内では客室乗務員さんから、乗車記念証の配布。
「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」双方の記念証が配布されました。
裏面には記念スタンプを押す欄がありまして、そのスタンブは両列車分が、「いさぶろう・しんぺい」編成の方の3号車・キハ47-8159のほうに置いてありました。
で、そのスタンプを押すついでに、「いさぶろう・しんぺい」の編成内の様子も見てきましたが、そちらはかなり空いていましたね。

前述したように、「いさぶろう・しんぺい」はもともと快速列車として運用されていた経緯がある関係で、車内はボックスシート主体になっています。
このアコモの違いがあるから故なのか、指定席は「かわせみやませみ」のほうから先に埋まっていく傾向が、以前からあるようで。
列車は香椎に停車すると、時刻表上の次の停車駅は折尾。
しかし実際は、後続列車を先に行かせるため、福間、海老津で運転停車があります。
その間に、「かわせみやませみ」の2号車・キハ47-9051にあるビュッフェで、飲み物の物色を。(^^;
けっこう列ができてまして、若干待ちましたが・・・。
とりあえず、娘のほうは晩白柚サイダー(270円・税込)を希望したので、それを購入。
晩白柚、というのも、熊本県南の名物、ですよね。
で、ワタシはといえば、せっかくなんで球磨焼酎を。(笑)

ちょうど、3種類のプレミアム焼酎の利き酒セットが600円(税込)で出されていましたんで、じゃあそれを、と。
写真左から、温泉焼酎「夢」特選、牛乳焼酎「牧場の夢」、「一勝地」の3種。「夢」は文字通り温泉水で仕込まれた焼酎で、この3種では一番焼酎らしい風味だったかな。「牧場の夢」は日本唯一の牛乳焼酎、こちらも温泉水を仕込みに使用してるとのことで、思ったより呑みやすくすっきりした後味が特徴。「一勝地」は以前も呑んだことがあるけど、ブランデーのような濃厚な風味と香りが特徴の一杯。
これは呑みごたえありましたな。(^^;
気が付いたら、列車は海老津で運転停車していました。
強馬力エンジンを唸らせながら力走する列車ですが、やはり電車特急のスマートなスピードには敵わないからなぁ・・・と思っていたら、ここで抜かれたのは快速4228M列車だったというね・・・。(^^;
さて、もう一度、車内の意匠に目をやりましょう。
こうして灯籠のようなランプシェードがあるわけですが、ここに大川組子が使われてるんですよねぇ。
大川組子は、水戸岡鋭治氏率いる「ドーンデザイン研究所」が手がける車両にあちこちで取り入れられていますが、これに限らず、九州の伝統工芸の良さをいろいろ取り入れてデザインされているというのが、このところの特徴でもありますよねぇ。
列車は北九州市内に入ってきました。
折尾、黒崎と停車し、次の停車駅は小倉。

途中の戸畑通過時には、左手に若戸大橋が見えてきました。最近、国の重要文化財に指定されたことで話題になりましたね。
小倉でかなりのお客さんが降りて行きました。
やっぱり、小倉までのお客さん多いんだなぁ・・・。

写真はまもなく門司に到着しようという場面。
お客さんが少なくなってしまったんで、こんな感じも撮れてしまいます。
そういえば、昨年3月のダイヤ改正時に運用離脱した車両たちが、このあたりにいましたっけねぇ。

門司を出たところ、関門トンネル門司側出入り口の脇には、415系、それもセミクロスシートの3編成が。
そして、門司港駅手前には、783系が2編成。
ここでも書いたように、いずれは小倉総合車両センターへ送られるんでしょうけどもね・・・。
12時16分、「かわせみやませみ92号」「しんぺい92号」は終点・門司港駅4番ホームに到着しました。
博多から1時間37分の乗車でした。

お客さんを降ろしたあと、編成はいったん洗浄線へ入るべく、引き上げていきました。
さて、時刻は正午過ぎ。
ワタシも娘も、お腹ペコペコです。

娘がきょうの行程を知って、「門司港へ行くなら焼きカレー食べたい!」と言ってましたんで、それじゃあとやってきたのが、こちらの「ベアーフルーツ」。門司港駅のすぐ近くにあります。
テレビでもたびたび登場している「スーパー焼きカレー」を出しているお店ですね。
どうせ食べるなら、「スーパー焼きカレー」に牛肉がトッピングされているという「ビーフ入りスーパー焼きカレー」を、ということで、娘が普通盛り、ワタシは大盛りで注文してみました。
ワタシが注文した大盛り(1375円・税込)が写真の品。
できたてアツアツ、角切りの牛スジ肉が程よい食べ応え!スパイスも一見強いのかと思わせつつけっこう控えめな感じで、娘もおいしそうに食べていました。
焼きカレーを食べ終わって、少し街を散策。
海峡プラザ前になぜか額縁が置いてありまして、その中に風景を入れて撮ってみました。ブルーウイングもじ(跳ね橋)を入れようとしたらこんな角度になっちゃったんですが、まぁいいや・・・。(笑)
そこから歩いてやってきたのは、門司港レトロ観光線の東港町踏切。
ちょうど、踏切の先にある出光美術館駅に、トロッコ「潮風号」が停まっているのが見えていましたんで、走っていく様子を見ようと。

ここではその昔、DD51-876が牽引するセメント返空列車を、この同じようなアングルで撮影したことがありました。もう20年も前の話だったんですが・・・線路の所有者も運営主体も変わってしまったけど、この線路がまだ残って、観光路線として多くのお客さんを乗せて列車が走っているっていうのが、やはりうれしいことだなぁと。
続いて、娘の希望もあってこちらへ。

門司港レトロハイマート。主には住居用の建物ではありますが、ご存知のように最上階は「門司港レトロ展望室」となっています。
ちょっと上がってみましょうかね。
こちら、展望室から見下ろす門司港レトロ地区の眺めです。

ここに来たのはかなり久々なんですよね~。今回連れてきた小5娘がまだ小さい頃に連れてきたことがあるはずなんですが、物心ついていないころのはずなんで、まともに景色を眺めるのは、娘はこれが初めて。この眺めを見て、やはり感嘆していた様子でした。
かくいうワタシも久々だったんで、しばしこの景色に見とれていました。
展望室から降りてきて、娘がちょっとお土産を見たいというので、レトロハイマートのそばにある「港ハウス」内の「北九州おみやげ館」へ寄ってみました。

ちょうどあくる日がホワイトデー、先月のバレンタインデーに友達からチョコをもらったという娘は、お返しをここで買いたいと言い出しました。(笑)
だったら、と薦めたのが、こちら。北九州名物のネジチョコ!そして、最近出たという「シャボン玉石けんオリジナルチョコ」(石鹸型のホワイトチョコ)なるものも!ネジチョコも最近はココアやバナナの味のものもあって、選ぶのも楽しくなってきましたね。

ということで、今回来れなかった小2末娘の分も含めてお買い上げ。もらった子たちも喜んでくれるかな?(^^;
レトロ地区を後にして、次にやってきたのは九州鉄道記念館。
某アニメでは「超進化研究所門司支部」として登場するスポット。某アニメが好きな娘は、やはりここへの再訪を希望しました。(^^;

入り口に近いところに展示されているSL9600形59634号機には何やらヘッドマークが・・・「祝 100歳」という文字が見えました。
そういえば、この59634号機は100歳を迎えていたんですね。落成日は1922年1月31日、川崎造船(現・川崎車両)兵庫工場で完成し、広島に新製配置されていました。
こちらのカット。

国の重要文化財に指定された機械式気動車・キハ0741の横に見える電留線に、JR九州の最新型である821系電車のUM3編成が停まっていました。
1937年製の古豪と、現役の新型電車がこうして近いところにいる、この九州鉄道記念館の営業線との近さを感じますね。
九州鉄道記念館にやってきたのも、もう2年半ぶり、ということになっていました。
前回はこのときだったんですよね・・・。

屋外の展示車両は、感染対策の一環として車内見学ができない状況が続いていました。
コロナウイルス禍のもとで休館になったりしたこともありました。厳しい状況ではありますが、いつの日かまた、気兼ねなくゆっくり見学を楽しめるようになることを祈りたいと思います。
そろそろ、ということで、門司港駅に戻ってきました。
電車にまじって留置されている「いさぶろう・しんぺい」の姿が見えていますね。
このあと、「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」は、ホーム入線のためいったん小森江方へ。
で、2番ホームにはこちら。
787系BM363編成「36ぷらす3」が停まっていました。ワタシが1年前に乗車していた「青の路」コースですね。
娘は「赤の路」のほうで乗ったことはありますが、「また乗りたいなぁ~」と。まぁそのうちね・・・。(^^;
「36ぷらす3」が発車してしばらくすると、ワタシたちが乗る列車がそろそろやってくる時間・・・。

15時7分、「いさぶろう・しんぺい」を先頭に、4両の気動車が5番ホームに入線してきました。
帰路は「いさぶろう91号」の3号車・キハ47-8159の指定席を確保していました。
往路が「かわせみやませみ」だったんで、やはり改めて乗り比べ、ということで。

娘も、こちらの車両は以前、肥薩線でも乗っていました昨年暮れにも乗ってたので、さすがに馴染みがあるようでしたね。
15時19分の定刻に門司港を発車した「かわせみやませみ91号」「いさぶろう91号」は、門司に停車し、次に小倉へ。
砂津川を渡る橋梁、鹿児島本線下りの線路は日豊本線へつながる線路と立体交差しながら小倉駅へ入っていきます。このあたりの線路配置、かなり考えて作ってあるなぁと、今更ながらに思います。
さて、車内ではこちら・・・。
「かわせみやませみ」2号車・キハ47-9051にあるビュッフェで、買い込んできました。

「白岳うめぽん」(410円・税込)。焼酎「白岳」を手掛ける高橋酒造が出しているリキュール。国産梅と、でこぽんのストレート果汁を組み合わせて、これまでにないタイプの梅リキュールを生み出したとか。
ロックでいただくんですが、これがなかなか濃厚な味でおいしいんですよねぇ。一度通販で買ってみようかしら・・・。(^^;
列車は黒崎・折尾に停車。
写真は、折尾を発車したあと、左手に見えてきたのが、この3月12日ダイヤ改正から使用されるようになった、鹿児島~筑豊短絡線のトンネルですね。
鹿児島~筑豊短絡線は従来、鷹見口ホームを通って黒崎方面と直方方面を結んできましたが、今回、折尾駅付近の連続立体交差事業に伴う駅高架化の最終段階として、短絡線の線路が高架駅に集約され、鷹見口は廃止に。
日本初の立体交差駅だった折尾駅も、大きく変貌を遂げました。
続いて列車は、遠賀川で運転停車。

ここで、「ソニック36号」885系SM11編成の通過を待ちます。
スマホで連写かけましたが、なんとかこの程度は撮れるんですよね。
遠賀川を発車したあとに、左手に見えるのは、西川を渡る鉄橋。
橋脚はレンガ、橋桁は随分と錆びていますが、この鉄橋はかつての国鉄室木線(遠賀川~室木間11.2km、1985年4月1日廃止)が使用していたもの。
室木線廃止から37年が経過していますが、この鉄橋はまだ残されています。
列車は次に、古賀で運転停車。

ここでは、貨物列車の通過待ち。
ED76-1022が牽引する、沼津発福岡貨物ターミナル行き1091列車が、足早に走り去っていきました。
列車はさらに、福工大前でも運転停車。883系「ソニック76号」の通過を待ちました。

香椎に停車し、列車は多々良川を渡ります。
この多々良川橋梁の位置は、多々良川と支流の宇美川が合流する地点なんで、かなり川幅が広く見えます。子供の頃、この鉄橋を渡ると遠賀川より川幅が広く感じて、なんて大きな川が流れてるんだ?と思ってたもんでしたが。(^^;
17時ちょうど、「かわせみやませみ91号」「いさぶろう91号」は終点の博多に到着しました。

前回の乗車のときにも思ったんですが、やはりこの博多駅の景色のなかにいる「いさぶろう・しんぺい」には、やはりアウェー感が漂っていました。
いつか、できるだけ早い時期に、もとの職場に返してあげたい、と思わずにはいられませんでした。
博多駅で少々買い物をして、箱崎への帰路につきます。
17時28分発、普通2338M列車小倉行き、813系9両での運転、先頭の3両はRM5編成。座席一部撤去がされてない編成に当たりました。(^^;
ということで、日帰りで楽しんできた門司港への鉄道旅の様子をお届けしました。
電化幹線を走る気動車特急、それも、キハ47形改の車両で、ということで、エンジンを換装されていつつもやはり、国鉄型の武骨なイメージを湛えている・・・そんな列車でのひと時でしたが、短い時間ながらも非日常を味わえて、いいリフレッシュになったと思います。
そして何よりも、「かわせみやませみ」「いさぶろう・しんぺい」に、また肥薩線で乗りたい!・・・その思いがまたいっそう強くなった乗車でもありました。一日も早く、その日が訪れることを祈って、筆を置こうと思います。
<おわり>