Part1(2019・8)
2019年夏。
旅の計画を家族で話し合っていると、小3娘が787系の個室に乗りたい、と言いだすではありませんか。(笑)
ふとした拍子に、過去の乗車体験を話していたなかで出た発言だったんですが、じゃあそれを叶えてやろうじゃないの、ということで、明るい時間に長くその個室に乗車できる列車への乗車を軸に、計画を立てて行きました。
せっかく南九州まで行くんだから、観光列車にもいろいろ乗りたいよね~、ということで、自ずとルートは定まっていきました。
1ヶ月前に無事にその個室も確保でき、諸々の準備を経て旅の当日を迎えました。
8月23日朝、博多駅。
地元の箱崎から、初発の2121M列車(813系6連)に乗り、博多までやってきました。雨模様の天気でしたが、幸い、自宅から駅までは降られることはありませんでした。

博多着は5時48分。ここからちょいと飛び道具を・・・。
駅構内のコンビニでとりあえずの飲み物を購入して、博多駅の新幹線13番ホームへ。

そこに待っていたのは、山陽新幹線の初発となる6時発「ひかり440号」岡山行き、「Rail Star」仕様700系7000番台のラストナンバー・E16編成8連での運転です。
700系E編成というと、最近はすっかり山陽「こだま」が主な職場になっていますが、少数ではあるものの「ひかり」での運用が現在も残っています。
明けゆく空のもと、次の小倉までは16分の乗車・・・。
小倉で「ひかり440号」を降り、小倉駅の在来線3階改札前へやってきました。
何か工事をしてるようですね。この小倉駅舎も、すでに完成から20年になろうとしてますからねぇ。
さて、ここから「個室」の旅が始まります。

今回、1ヶ月前からきっぷを準備していた列車。小倉駅2番ホームから6時39分発、「にちりん3号」宮崎空港行き。南福岡車両区所属の787系BM5編成6連での運転です。

787系が「にちりん」系統の定期運用に復帰したのは、九州新幹線が全線開業した2011年3月のこと。
かつては、「にちりんシーガイア」「ドリームにちりん」といった列車に、ビュッフェ車を連結した787系が使用されていた時期がありましたが、2000年3月に783系に置き換えられていました。
今回、その「にちりん」系統への787系復活以来、初めての「にちりん」乗車となりました。大分までは「ソニック」が走ってますし、大分から先の日豊線に乗ることも、かなり久々でしたし。
こちらが、その「個室」、1号車8番です。
この個室を使うのも、もしかしなくてもこの旅のとき以来でしょうか。今回、ここに乗りたいと言ってた小3娘は、そのとき(といってもまだ赤ちゃんでしたが・笑)に乗車しているわけですが、もちろん当時のことなんか覚えてるはずがありません。(^^;
そのあとに生まれた現在6歳の末娘は、もちろん初めての乗車になりました。

ちびさん2人とも、この個室のドアを開けて最初に「わーっ!」と喜んでましたね。列車にこんなスペースがあるってのは、やはりすごいことなんですよね。
で、今回、けっこう長い時間の乗車になるんで、事前に小倉駅で食べ物などを仕入れてきました。

ネットで調べてみると、小倉駅在来線改札内の駅弁売り場が6時半からの営業、となっていたんですが、実際にはその時間にはまったく入荷がなく、準備すら始まらない・・・。
仕方なく、改札内にあるコンビニで、朝食用の弁当と、おやつ、ビール(!)を買いこんできました。
早朝に発車するもんで、この点はなかなかハードルが高いなと。

無事に仕入れが終わったということで、小倉を発車してすぐにかんぱーい!(^o^)/
お弁当はコンビニ弁当なんで雰囲気には欠けますが、まぁ食べられないよりはマシ、ってことで。
列車は大分県に入り、宇佐へ。
左手、山の上に、なにやら看板が・・・なんか、ハリウッドのような感じで「USA」の文字が見えますね。
この看板、地元の地域活性化をめざす団体が設置したもので、アルミ製の板を組み合わせた手作りのものなんだとか。
駅名標などが「USA」を遊び心で強調してたのに刺激されてか、最近は駅の外でも「USA」が目立つようになってきたようで。
そうこうしているうちに、別府湾沿いの区間にやってきました。
横を走る国道10号、大分市街地に入るあたりでは渋滞していました。そりゃそうだ、一応金曜日、世間は平日なんですよね。
8時14分、「にちりん3号」は大分駅2番ホームに到着しました。ここで2分の停車がありますが、駅ホームには売店はありません。やはり、小倉で仕込んでおかないと、大変なことになりますね。

JR九州の特急車内から車内販売がなくなって、すでに4年半になろうとしています。「にちりん」に関してはそれより早かったので、5年近くになりますかね。
この「にちりん3号」も、小倉から宮崎まで乗ると5時間という長丁場になるんですが、その間、途中で食べ物を仕入れられないというのは、なかなかにきついですよねぇ・・・。

ここ大分も、雨模様の天気でした。
大分を発車してしばらく。
右手には、大分車両センターが見えています。
熊本地震に伴う豊肥本線肥後大津~阿蘇間の不通に伴って、現在は別府~阿蘇間での運転となっているキハ183系1000番台「あそぼーい!」の編成が、休んでいるのが見えていました。
列車はやがて、大分・宮崎県境の宗太郎越え区間に入っていきます。

この宗太郎越えを走る普通列車は、現在下り1本、上り2本にまで減少してしまいました。宗太郎駅に降り立つには、このかなりの難易度をクリアしなくてはなりません。
ワタシが訪ねた16年前のときは、まだ上下5本ずつの普通列車が走ってたんですがねぇ・・・。

ちなみに、16年前に宗太郎駅に降り立った時には、携帯電話の電波はまったく入らなかったんですが、さすがに今は、しっかりカバーされていました。
10時27分、「にちりん3号」は延岡に到着。

写真では、JR貨物門司機関区のED76-1020の姿が見えますね。
南延岡までは現在も、貨物列車の入線がありますが、果たしていつまで持ってくれるかなと・・・。
さらに進んで、ここはまもなく都農にさしかかろうとするところ。

左手には、美々津~都農間に設置されたかつての宮崎リニア実験線の高架があります。もう実験が終了して23年にもなるわけですが、高架の上には今やソーラーパネルが・・・。
こちらは、まもなく高鍋というところ。
小丸川橋梁を渡ります。川の河口と、日向灘が見えていますね。
晴天だったら最高だったんですがね・・・。

787系のグリーン個室は、下り基準で進行方向左側にのみ窓があります。
かつて、特急「つばめ」として走っていた当時は、八代海や東シナ海沿いの明媚な区間を走っていましたが、この個室の窓は、その海とは反対の山側になっていました。
ところが、この「にちりん」では、この個室の窓が、別府湾や日向灘の景色と相対する形に。これは以前から気になっていて、今回、あいにくの天気ながらそれを目の当たりにして、かなり満足でした。
ちびさんたちも、ここの景色を見て「海の上をすべってるみたい」って感激していました。
11時35分、「にちりん3号」は宮崎駅4番ホームに到着しました。
列車は宮崎空港まで行きますが、ワタシたちはここで下車です。

約5時間の長丁場でしたが、個室だったおかげで、家族だけでのんびりと過ごすことができました。
繰り返しになりますが、列車の中にこういう空間があるというのは本当にすごいことだし、有り難いなぁと思いましたね。
ここから先ですが、大きい荷物をいったん預けて、さらに南下します。
宮崎駅3番ホームから12時18分発、快速1935D列車志布志行き、宮崎車両センター所属・キハ40-8060の単行ワンマン運転となります。
快速種別、そして「日南マリーン号」という愛称までついているんですが、志布志までの間に通過するのは南方、曽山寺、内之田のわずかに3駅、飫肥から先は各駅停車、という列車です。
お昼になりましたんで、駅弁屋さんでお昼を買いこんできました。
「元祖 椎茸めし」(760円・税込)。鶏そぼろご飯と、その上に載った肉厚の椎茸の煮物が、たまらない風合いです。
宮崎に来た時には何度か食べていますが、素朴な味ながら本当においしい。安心して食べられる駅弁です。
ちびさんたちには、この椎茸めしのミニサイズが売っていましたのでそちらを・・・。
宮崎を出た列車は、南宮崎から日南線へ。
こちらは、田吉駅手前の風景。宮崎空港から、飛行機が離陸していく光景が見えていました。ソウル・インチョンヘ向かうアシアナ航空のOZ157便、A321・HL8277のようでした。
さらに進んで青島を過ぎ、奇岩・鬼の洗濯板が見えるエリアに来ました。
日南線といえば、やはりこの景色ですよね。
途中までは曇り空だったんですが、飫肥のあたりから、青空がのぞいてきました。
油津のあたりの海の景色、いい感じでしたね。
13時51分、1935Dは南郷に到着しました。
ワタシたちは目的がありまして、ここで下車です。

ここ南郷の駅は、ワタシも初めて下車しました。
ここは、野生馬で知られる都井岬の入り口となる駅。旅程にゆとりがあれば、そうしたところに足を延ばすことも考えたでしょうね。
ただ今回は、そこまで時間がないので、どうしようかと考えた挙句・・・。
まずは、駅前からタクシーでこの場所へ。

「港の駅めいつ」。目井津漁港のそばにある物産館ですね。
本当は「道の駅なんごう」へ行こうと思ったんですが、タクシーの運転手さんが勘違いしたようで、こちらへ・・・とりあえず、まぁいいか、ということで。(笑)

でも、こちらでもいろいろな地のものが置いてありまして、一通り物色して、土産物を購入・・・。
幸いに目井津漁港は南郷駅へ歩いてでも戻れるエリアだったんで、歩いて駅まで戻ろうと歩き始めました。
その途中、路地をちょっと入ったところに気になるお店を見つけまして・・・ちょっと寄ってみることに。

こちら、「駄菓子屋たけちゃん」というお店。昨年オープンしたばかりだそうで。いかにも手書きな氷旗が出てまして、暑いしなんか冷たいものを、と思って寄ってみました。
そして、見つけたのがこちら!
マンゴーかき氷、これ、たったの200円!

そう、このあたりはマンゴーの栽培が盛んで、南郷駅も「マンゴー駅」と銘打っているくらいの名物。
それをこの値段でいただけるって、良くない?(笑)

ちびさんたちも、こういうの大好きなんで、喜んで食べていました。
かき氷を食べ終わって、歩いて南郷駅へ戻ってきました。
そこにはこちらの列車が待っていました。

キハ125形400番台「海幸山幸」。ここから8052Dとして宮崎へ向かいます。
日南線を走る、いわゆる「D&S列車」の一角。2009年10月の登場から10年になろうかというタイミングで、ようやく乗車の機会を得ました。

このキハ125形400番台車は、かつての高千穂鉄道TR-400形「トロッコ神楽号」(2003年導入)からの転用。2005年9月の台風14号災害で高千穂鉄道が廃線を余儀なくされたあと、JR九州が引き取って改造し、既存のキハ125形に編入したという、異色の経歴を持つ車両です。
デザインは水戸岡鋭治氏が担当していますが、車内だけでなく外板にも木材を使用、外板には日南線沿線の木材・飫肥杉のプレートが張り合わせられています。その飫肥杉が、いい感じに経年して色合いが変化しているのがよく分かります。まさに、こういう風合いを、デザイン当初から狙っていたんだろうなと。
車内です。
シートは、このように2+1列の配置。
ゆとりがありますね。

車内もこのように、木材を多用しています。
金属やプラスチックと違って、雰囲気を和らげてくれる素材ですよね、木材って。
発車前からさっそくこちらを。(笑)

車内で扱っている地ビール「太陽のラガー」と、おつまみのササミ照焼炭火焼。セットで880円(税込)。
どちらも美味い! おつまみのほうは、横にいた小3娘が半分くらいとっていきましたが。(笑)
15時35分に南郷を発車した「海幸山幸」は、日南海岸の明媚な景色を眺めながら北上を開始します。

この日、他のところは曇りや雨の生憎の天気だったのに、このあたりだけは、本当にいい天気でしたよ。

日南市内では、油津、日南、飫肥の順に停車。
16時ちょうどに到着する飫肥駅、12分の停車時間の間に、ホームに物産品を扱うワゴン販売が登場していました。

ホームでは、停車時間を利用して記念撮影をするお客さんが見受けられていました。
ワタシ自身も、停車時間の間にホームに降り、写真撮影タイム。
こうして、途中駅でのんびり停車時間があって、ホームに降りたりゆっくり楽しめるのが、この「D&S列車」のいいところ、ですよね。

飫肥の街も、一度ゆっくり訪ねてみたいところですけどね。
車内ではいろいろアトラクションも。

こちら、子供たちの夏休みの思い出に、ということで、塗り絵。
塗り終わったら、宮崎駅のコンコースにある展示スペースに貼っていってね、ということだったので、ウチのちびさんたちもそれぞれ色鉛筆で色をつけていました。下車後は宮崎駅の所定のところへ貼りに行っていました。
そして、こちら。

日南市にあり、「海幸山幸」伝説の舞台といわれる鵜戸神宮の「運玉」にちなんだ、車内イベントの運だめし。
赤い球の「当たり」を引いたらマンゴーキャンディをプレゼント、ということで、家族4人で引いてみましたが、なんと全員が当たり!(^^;
なんともびっくりなことになりました。
列車はさらに進んで山間部を抜け、鬼の洗濯板が見えるあたりへ。
先ほどと比べて潮が引き、岩がかなりよく見える状態になっていました。
さすがに観光列車、「海幸山幸」はここでいったん停止・・・。

この先、対向列車の遅れの影響で、こちらも若干遅れが出ましたが、概ね順調に走り続け・・・。
「海幸山幸」8052Dは、定刻5分遅れの17時20分、宮崎駅4番ホームに到着しました。
遅れの影響で結果的に1時間45分ほどの乗車となりましたが、なかなかに充実した時間を過ごせました。アトラクションも含めた車内サービスもよく練られたもので、とても満足度が高かったです。

またそのうち、乗りに来てみたい列車です。
さて、宮崎に到着したワタシたち、早々に宿にチェックインしました。

時間はすでに夕刻。
せっかく宮崎に来たんだから、地元の美味しいものを食べたいと、まずは宿に近い宮崎駅周辺をまわってみましたが、いまいちピンと来ない・・・。

ということで、繁華街の方向へ歩いてみることに。
橘通りを越えた国道10号沿いに、気になるお店を発見。それがこちら、「ちょっぺん」というお店でした。
ブログにも書きましたが、このお店は昨年オープンしたばかりとのこと。「ちょっぺん」というのは方言で「てっぺん」を意味します。
お店に入り、乾杯!(^o^)/
ワタシはビール、嫁さんはチューハイ、ちびさんたちはもちろんジュースです。

さっそくいろいろ注文してみました。「郷土料理」をうたっているんで入店前から期待大でした。
まずは、カツオのタタキ。(680円・税抜)
炙り過ぎてなくて、カツオの生の旨みがしっかりと活きた一品でした。身もけっこう分厚く切られていて食べ応えあり!
深海魚めひかりの唐揚げ。(580円・税抜)
どこででも食べられるわけじゃないめひかり。深海魚の淡白な味わいは、唐揚げにぴったりでした。添えられていたカレーパウダーとの相性もGood!
そして宮崎といえば、のチキン南蛮。(680円・税抜)
柔らかい鶏肉と、タルタルソースの相性が抜群でした。ふだんから鶏唐揚げなどが大好きなちびさんたちも、おいしそうに食べていました。

他にもいろいろいただきましたが、総じて期待を裏切らない内容で、とても満足! いいお店に出合いました。
こうして、かなり満足度の高い旅の初日を終えたワタシたちは、投宿先のJR九州ホテル宮崎へ戻りました。
家族4人で泊まれるお部屋を、ということで、今回は某旅行代理店経由で予約しました。最上階のかなり広めのお部屋で、宮崎駅を見下ろす絶好のロケーション、バスルームや洗面所も広くて、いいところとれたなぁ~、という感じでした。

さて、あくる日はまたいろいろな列車に乗る予定・・・。
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