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Part3(2003・10〜11)
延岡から30分。
13時49分、列車は宗太郎に到着しました。
そう、ワタシの次なる目的地は、ここなんです。

列車はワタシが降りるとすぐにドアを閉め、山の中へと走り去っていきました。
列車が走り去ると、そこには、風に揺れる木の枝のかすかな音が支配する、静寂の空間が広がります。

この宗太郎という駅は、1923年12月15日に列車行き違いのための信号場として開設され、第二次大戦後の1947年3月1日に駅に昇格しています。
現在、1日あたりの乗降客数は2人(!)と、JR九州管内ではもっとも利用客の少ない駅となっています。それもそのはず、駅の前には数軒の家があるのみで、それもみなさん車を使っているのではないかと思われる状況。近くを幹線国道である国道10号が通ってはいるものの、山間のこの場所では商業施設などもなく・・・という感じですからねぇ・・・。

この駅に1日に発着する列車は、上下5本ずつ。到達難度もかなり高い駅なんです。
そういうことで、この駅には「秘境駅」の称号が冠せられることに・・・。あの「秘境駅へ行こう!」の本の中でも取り上げられていますもんね。
こちら。礎石だけが残っていますが、この場所にはかつて駅舎があったようです。
すでに取り壊されてからかなり時間が経っており、残された改札ラッチだけが錆びた状態でたたずんでいました。
ここはもちろん通過列車もあります。
写真は宮崎空港から別府へ向かう「にちりん10号」の485系Dk-1編成3連。
このほか、貨物列車もここを通っていますが・・・。
ふと思い立って携帯電話を見てみると、「圏外」の表示が・・・。
当然といえば当然ですがね・・・。
駅から、少し歩いてみました。
すぐ近くに、鎧川という川が流れています。
本当に山中の清流、という感じで、街だとさまざまな音にかき消されて聞こえないせせらぎの音が、心地よく響いていました。
約2時間の滞在は、あっという間に終わりました。
これはほんと、意外でした。正直、もっと退屈するのかなと思ってましたので。

戻りの列車がやってきました。15時55分発、延岡行き2745M列車。今回も457系3両編成です。
上りの特急「にちりんシーガイア12号」の通過を待って、発車しました。
こちらは、宗太郎の次の市棚駅。
このように、木造の待合所がつくられています。どうやら、最近つくられたもののようです。
列車はまもなく延岡に到着です。
だいぶ日が傾いてきましたね。
16時24分に、延岡に到着しました。

さて、延岡といえば、JR高千穂線から転じた第三セクター鉄道・高千穂鉄道の始発駅、でもありますね。
延岡の高千穂鉄道ホームに、こちらの車両が停まっていました。トロッコ列車「かぐら号」、この春、導入された観光用車両です。
いつか、この列車にも乗りにきたいですねぇ・・・。
駅の構内には、こんなものも。

こちら、五右衛門風呂です。もちろん、戦国時代の盗賊・石川五右衛門が釜茹での刑に処せられたという伝説から名前がついたものですね。
この延岡周辺にも、五右衛門風呂を売り物にしているお宿や施設がけっこうあるようですね。
ここから、ですが、折り返して北上することにします。
別府行き特急「にちりん14号」に乗車します。車両は、鹿児島総合車両所の485系Dk-14編成5連。

この列車は終点の別府で、博多行きの「ソニック50号」に接続しています。行先幕も「にちりん(&ソニック)」バージョンになっていました。
列車は定刻の16時32分に延岡を発車しました。

1号車半室がグリーン席。
グリーンのシートは、こちらのようなもの。かなり大柄な背もたれです。

車内販売からは、グリーン車サービスのドリンク。
とりあえず、コーヒーをいただくことにしました。
列車は大分県境へ向けて山を登ります。
そして、こちら。大分県に入ったところにある、先ほどたずねた宗太郎駅を通過。
通過するとなると、あっという間ですね・・・。
列車は宗太郎越えを抜けて、佐伯に到着しました。

ここからはしばらく、豊後水道の海を右手に見ながら進みます。
ただし、すでに時刻は17時半を過ぎており、もう写真に撮るのもかなり厳しい感じでしたね・・・。
乗っていて思ったのは、この区間でも、けっこう途中での乗り降りが多い、ということでした。
延岡〜大分間の日豊線は、山間部を抱えるなど路線条件が厳しく、列車のスピードアップが難しいといわれています。佐伯までは博多から直通の「ソニック」の乗り入れもありますが、そこから南は、文字通りこの「にちりん」が架け橋となっているわけです。

高速バスの台頭が著しく、状況は鉄道にとってやさしいものではありませんが、なんとか鉄道が、重要な地域の足として活路を見出してもらいたいものだと、思った次第です。
18時49分、「にちりん14号」は終点・別府に到着しました。

お腹も空いていたんですが、ワタシにはここでしようと思っていることがありましたので、さっそくその目的地へ移動します。
それが、こちらの場所。

別府駅から駅前通りを別府湾の方向に3分ほど下ったところにあるこの場所は、「別府駅前高等温泉」。1924年に建てられた大正レトロの雰囲気漂う建物です。
この高等温泉、銭湯感覚で入れる温泉として、旅人はもちろん、地元の人たちにも愛用されています。

今回、ここで汗を流すことにしました。
ここには、炭酸泉の並湯(入湯料100円)と、硫黄泉の高等湯(同300円)とがありますので、せっかくだからと高等湯のほうに入ることにしました。
洗面器と石鹸、タオル(20円でレンタル)を受け取り、入浴です。・・・おっと、誰もいませんね、貸し切り状態です。

いやぁ〜ほんと、いいお湯でしたぁ・・・。
ここからですが、いったん北九州の自宅へ戻るべく、上りの特急に乗車します。

19時53分発「ソニック54号」博多行きは、885系「白いソニック」SM10編成6連での運転。
若干遅れて、別府駅4番ホームに入線してきました。
夕食がまだでしたので、ここで客室乗務員さんにお弁当の在庫を確認。「ソニック弁当」(1000円)があるということで、持ってきてもらうことにしました。

これまで、通勤の車中でも食べているこの弁当。いつもながらおかずの品数の多さに圧倒されますね。
なかでも、ワタシは大根もちとエリンギのカレーフライがお薦めです。ふぐが炊き込まれたご飯も、なかなかいいです。
あとは、パソコンを立ち上げて、撮った写真の整理です。
ここまでかなりの枚数を撮っていますので、少しずつこうしてパソコンに整理していかないと、デジカメのメモリは限りがありますのでね。
「ソニック」のなかでも停車駅の多いこの列車。亀川、杵築、宇佐、柳ヶ浦、中津、宇島、行橋・・・気がつくと、列車は小倉に到着していました。
やっぱり「ソニック」は早い・・・これまたいつも感じていることですが。
小倉から進行方向が変わります。
途中戸畑に停車し、黒崎までは11分ほど。

1日目の旅は、この黒崎で終了です。
1日で、九州をぐるりと一周してきたことになります。

自宅で一息入れて、また明日から旅が待っています。
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