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Part9(2000・1)
とりあえず、昼飯時でもあるので、駅舎の外に出てみました。

駅前をしばらく歩いていくと、いきなりこんな黄色いゲートが・・・。(^^;)
なんと、地元の観光協会などが企画した、「SL屋台村」なるものが出現していたんです。中では、地元でとれた農産物を使った温かい料理などが出されており、ワタシも温かいクリームシチューをいただくことにします。・・うん、大きなジャガイモが入ってます!(^^)
まだ戻りの列車まで時間があるので、しばらく街の中を歩いてみます。

ここは、釧網線の線路沿いにある桜児童公園。向こう側にある覆い屋根のところに、横断幕が下がってますね。実はこの屋根のある場所は、C11-171が復活に向けた整備が始まるまで静態保存されていた、その場所なんです。で、横断幕には「WELCOME! おかえりなさいC11-171」の文字が・・・。
この場所からいなくなったのは寂しいとしても、やはり地元の人たちにとってみれば「わが町のSL」が再び煙を上げて本線を走っているというのは、たまらなくうれしいことなんでしょうね。
ということで、ワタシは標茶駅まで戻ってきました。
立派な木彫りの看板がかかっていますね。下のところには「道東の鉄道発祥の地」と書かれています。確かに、鉄道の要衝であったことは間違いないようですが・・・。
構内ではC11-171と客車編成の入換が行なわれていました。
現在、この標茶にはターンテーブルがないため、復路のC11は逆向き運転となります。数度の入換を繰り返して、ご覧のような形に落ち着きました。

さあ、そろそろ13時42分、復路の発車時間になります。
SL「冬の湿原号」は定刻に標茶駅を発車しました。
ワタシはこの復路、3号車の「カフェカー」の指定券をとりました。
もともとは1号車の指定券を持っていたんですが、朝、釧路駅でマルスを見てもらったら、空いてるんですよね、これが・・・ということで、迷わず替えてもらいました。

で、これがその「カフェカー」スハシ44-1の車内です。かつてはC62-3牽引の「SLニセコ号」で使用された車両で、元をたどればスハフ44からの改造車です(JRになってから唯一の旧型客車新形式、ということになりますが・・・^^;)。一度は「ニセコ号」運転終了後、C62-3とともに車籍が抹消された同車でしたが、やはりSLに縁があるのか、「すずらん号」運転開始とともに復活を遂げました。
なお、向こう側のカウンターは売店として使われ、飲み物やSLグッズなどを販売していました。私もコーヒーをいただくことにします。
茅沼に停まった後、列車は14時14分に塘路に到着しました。ここで再び16分もの停車時間。ワタシはまたしても、ダッシュで写真を撮りに向かいます(^^;)。SLって、前向きのほうがもちろんかっこいいに決まってるんですが、この後ろ向きというのも、なかなかいいもんですねぇ〜。

ワタシの場合、タンク機関車の列車に乗るのは初めて(いままではC57-1+C56-160「やまぐち号」、D51-498「碓氷号」、そしてC57-180「ばんえつ物語号」と、いずれも「テンダ機」だったもんで)なんで、えらく新鮮に見えたもんでした。
塘路を出た列車は、湿原の景色を見ながらゆっくりと走っていきます。
写真に見えるのは、釧路川です。この日は天気もよかったので、展望台の上から見たら、さぞかしいい眺めが見られたんだろうなと思いつつ・・。

14時43分、SL「冬の湿原号」は定刻に釧路駅にたどり着きました。
  さあ、ここからですが、ある目的がありまして、東を目指すことにします。乗車する列車は、16時12分発5637D根室行き。キハ54-526の単行運転となります。車内は集団見合い配置の簡易リクライニングシート、車端部ロングシートです。

定刻に釧路を発車した列車、東釧路で「厚岸湖白鳥ノロッコ号」と離合です。この列車は釧路〜茶内間を1月30日まで毎日1往復する列車で、厚岸湖に飛来する白鳥を眺められるというのが売りだとか。
30分ほど走り、上尾幌を過ぎるころには、完全に夜の帳がおりました。もう真っ暗です。・・・それにしてもこのあたり、路盤のよくないところに多い上下動による揺れがひどいですねぇ。
そしてもう一つ、鹿笛を鳴らしては急ブレーキをかける場面が非常に多いんです。ときには非常ブレーキでプシューとエアが抜ける音が・・・。もちろん沿線はかなりの自然が残っているところで、おそらくシカやキツネが線路上に出没しているんでしょう。それにしても、車両にはかなりつらそうですな・・。
厚岸を目前にして、右手前方に街灯りが見えてきました。・・・さきほどから、後ろのロングシートに座っているオッサン2人組がタバコを吹かし始めました。この列車の場合厚床までは禁煙区間なんですけどね・・・というか、1両しかない列車で、客室に灰皿をつけるというのはそもそもどうかと・・。

厚岸でかなり乗客が減ってます。ここからはかなりローカルっぽくなってきます。
途中、茶内で3分延、「ムツゴロウ動物王国」で有名な浜中でも3分延。やはり、あの「鹿笛→急制動」が遅れの原因なんでしょうか?
  落石に着くころ、必死の走りのおかげもあってか、遅れは1分くらいに縮まっていました。
花咲を過ぎると列車は左にカーブを切り始めます。そのカーブの途中、列車は停まりました。「日本最東端の駅」の標柱が見えます・・東根室です。ここは残念ながら無人駅です。
5637Dは定刻の18時31分、根室駅に到着しました。ご覧の通り「朝日に一番近い街」の看板が出迎えてくれました。

ここ根室にきた、唯一にして最大の目的、それは、駅前の洋食屋「ニューモンブラン」でエスカロップ(800円)を食べることでした。この店が、エスカロップの発祥の店といわれています。
エスカロップとは、バターとラードで炒めたライスに豚ロースかつをのせ、特製デミグラスソースをかけて食べる料理。食べてみると、なんともなめらかな味わいで、ソースの風味が口の中に甘く広がります。ロースかつもやわらかく、いい感じでした。
  さて、これから釧路へトンボ帰りするわけですが、なにぶん、この日の上り最終となる20時50分発快速「ノサップ」まで列車がないんですよね。仕方なく、駅の待合室で時間をつぶすことにします。・・・それにしても、人がいない(^^;)。発車30分ほど前になるとさすがに人の姿が増えてきましたが、それまではガランとした待合室にワタシ一人。なんとも寂しいもんです。

で、これが快速「ノサップ」のキハ54-521。ささやかではありますが、ヘッドマークもあります。
定刻に根室を発車したこの列車ですが、なんだか車内の暖房が効きすぎで、私はトレーナーまで脱ぎ捨てている始末。しかも、また「鹿笛→急制動」は続いてるし・・・。(^^;)
さすがに快速だけあって、落石、厚床、浜中、茶内、厚岸のみの停車で先を急ぎます。私は釧路でさらに乗換えがあるので、やはり時間が気になる・・・。(^^;)
  「ノサップ」は何とか無事に釧路へ到着。ワタシは地下通路を通り、2番線に停まっている札幌行き特急「おおぞら14号」へと急ぎます。基本はキハ183系の編成ですが、私が乗る2号車と3号車は14系寝台客車。ワタシは2号車のスハネフ14-507に乗り込みます。本来なら電源エンジンが回っているはずの車両ですが、この車両はその音もせず、非常に静かでした。
ドアから荷物を持って駆け込むと車掌さんが待っていて、「お客さんは寝台? じゃ先にチェックさせてください」と、そこで寝台券を確認。発車後に確認しなくてもいいように、という配慮でした。
23時ちょうど、この旅3泊目の夜行での移動がスタートしました。ワタシは疲れていたので、早々に眠りにつきます。
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