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Part10(2000・1)
1月16日の朝を迎えました。
釧路から長駆走ってきた「おおぞら14号」は、5時50分、定刻どおりに札幌駅5番線に到着です。
昨夜も夜行なので風呂に入っていません。さっぱりしたいなと思い、10日に地元のネット仲間さんといったサウナ風呂へ向かいます。汗も流してすっきり爽快!
「北海道フリーきっぷ」の有効期限はこの日まで。それでは朝食をとって、最後の乗り倒しに出発です。(^^;)
この日乗ろうとしている列車・・・キハ183系「ノースレインボーエクスプレス」で運転の、臨時特急「オホーツク流氷号」網走行きです。
とにかくこの冬場、JR北海道のリゾート車両は臨時列車としての運転に精力的に走り回っている感がありますね。この7日間のうちに、3本も乗ってしまうなんて、我ながらすごいなと思っていますが。(^^;)
でもって、ワタシが今回乗車するのは、最後尾に控えている5号車・キハ183-5201・・・この旅行記をずっと読んでおられる皆さんならお分かりのはずですが、踏切事故での大破から復活を遂げた車両です。
8時2分、列車は定刻に札幌駅3番線から出発です。
これが、そのキハ183-5201の車内です。「ノースレインボーエクスプレス」は5両編成で、中間の1両がダブルデッカー(売店・ラウンジあり)、あとの車両はすべてハイデッカーとなっています。この車両ももちろんハイデッカー、窓側座席の上にもガラス窓、テレビモニターつき、そしてこの明るい車内・・・いうことないですよねぇ。(^^)
テレビモニターでは映画をやっていましたが、これまた途中からは前面展望を流し始めました。
列車は岩見沢、美唄、砂川、滝川、深川と停まっていきますが、なんとこの間、5号車はワタシ一人。まさに貸切状態だったのでした。(^^;)
列車は旭川に9時34分に到着。ここで若干のお客さんが5号車にやってきました。
新旭川で宗谷本線と分かれ、石北本線に入っていきます。もちろん、単線非電化。「本線」の名がついていても、実質的には支線がすべて廃止、あるいは池北線のように第三セクターに移管されるなどして消滅しているため、名ばかり、の感は否めませんが・・。
当麻の駅で上り特急「オホーツク2号」の通過待ちで運転停車。単線の宿命ですね。
写真は、5号車後方運転台からの眺めです。石北線は初めのうち、このように平地を走っていきますが・・・。
・・・やがて列車は、山深く分け入っていきます。
写真は、石狩川の上流部です。あの大河・石狩川も、ここまで細くなってしまうんですね。
さらにこのあと・・・なんか、雪の中に動物の小さい足跡がたくさんあるなー、などと思って窓の外を見ていると、いきなりエゾシカが2頭、姿を現しました。北海道の自然の奥深さを感じますよね。

列車は海抜634mの上越信号場を通過。ここからは下り坂です。白滝村というところを抜けていくんですが、これが上から順に奥白滝、上白滝、白滝、旧白滝、下白滝と、「白滝」の名がつく駅が5つもつづきます。
「オホーツク流氷号」は11時15分、丸瀬布に到着しました。本当は終点の網走まで乗っていきたいところですが、後の予定に差し支えるため、やむなくここで下車し、トンボ帰りということになります。
丸瀬布といえば、小型SL「雨宮21号」が動態保存されている森林公園「いこいの村」があることで全国の鉄道ファンに知られているところですが、残念ながらそこに寄っていく時間すらありません。
少しだけ駅前に出てみますが、駅舎は改築中で、プレハブの待合室が置いてあるのみ。駅前にある気温計はマイナス8℃を示していましたが、日も照ってきており、全く寒さを感じない状況でした。
さて、もう札幌へ戻る時間がやってきました。折り返しの列車は、11時32分発「オホーツク4号」札幌行き。キハ183系が6両編成でやってきました。3号車のグリーン車(普通車合造のキロハ182-6)に乗るんですが、2両の増結があったために1号車から数えると5両目になるという、変則的な感じになっていました。
  時間が時間なので、車内で昼食をとることにします。
ちょうど、車内販売が遠軽から「遠軽名物かにめし」を積み込んでいたので、いただくことにしました。
この写真がその中身です。どれどれ・・・う〜ん、このカニの身が本当にかなりのボリュームです。味も程よい薄味で、おいしいんですよ(^^)。で、付け合せとして数の子のワサビ漬けなんかものっています。さすがに、道内各地にある「かにめし」のなかでも随一のおいしさといわれるだけのことはありますねぇ。

食後は、ちょっとのんびりしましょう。札幌までは、しばらく時間があるし・・・。
  14時48分、「オホーツク4号」は札幌駅に到着しました。
さて、ここでコインロッカーに預けていたトランクを取り出し、いよいよ、東京への帰路へつく準備です。
それにしてもまだ若干時間があるので、喫茶店に入ったりしながら、時間をつぶします。
  さて、発車30分前です。ホームに上がりましょう。
帰りの列車は、札幌17時13分発、寝台特急「北斗星2号」上野行きです。「北斗星」は4度目の乗車ですが、今回の旅の最後を飾るのに、これ以上の列車はありませんね。・・・え?「カシオペア」があるじゃないかって? ま、あの列車は2人用個室しかありませんし、ましてこの日、上り列車の運転はありませんでしたし・・・。(^^;)

17時7分、「北斗星2号」が札幌運転所(手稲)からの回送列車で到着しました。時間もないですし、とにかく乗りましょうか・・。
今回も、ワタシが確保したのはB寝台個室「ソロ」。一般開放寝台と同じ寝台料金(6300円)ですから、そんなに負担になりませんし・・。
  列車が南千歳を過ぎて、18時。今回も、ワタシはディナーを予約していました。7号車の食堂車「グランシャリオ」・スシ24-503へと向かいます。
今回も、フランス料理のコースを予約してありました。7800円というお値段が若干気になるところではありますが・・。

ところで、メニューですが、以前ワタシがいただいたときとは変わっていました。
前菜がサーモンといくら、アスパラガスなどをマリネ風に味付けしたもの。つづいて、ホタテや白身の魚、カニの身などが入ったクリームシチュー。さらに、牛ヒレ肉のソテー、シナモンパウダーのかかったやわらかいパン(おかわりも可)、塩のかかった冷たいトマト、そしてデザート・・・。

赤いランプシェードと車窓を流れる街灯り・・・たまりませんねぇ(^^;)。料理ももちろんおいしいんですが、そうした食堂車の雰囲気が、なによりのごちそうになるのかなぁ・・・などとぼんやり考えておりました。
ただ、やはり高額なのがたたってか、ディナーを食べていたのはワタシと、もう一組だけでした・・・。
  そうこうしているうちに、列車は先を急いでいます。
20時52分に森を発車すると、列車は駒ヶ岳、大沼方面へ向けて山登りを始めます。いくらDD51形DLの重連牽引とはいっても、ここで特急型気動車と同じような走りを期待するというのはどだい無理な話。どうしても走りは重くならざるをえません。
一方、大沼を過ぎて下り坂に入ると、とたんにスピードが上がります。こういう列車の特性上、仕方のない話ですが・・。

山の上から見えていた街灯りが次第に近づき、列車はやがてその街灯りの中に飲み込まれていきます。
21時39分、列車は函館駅8番線に到着しました。ここで7分の停車時間の間に機関車交換(DD51重連→ED79)、そして、青森まで進行方向が逆転します。

そして「北斗星2号」は、いよいよ北海道を後にし、本州へ向かいます。
ワタシは、パブタイムとなっていた食堂車「グランシャリオ」に再び赴きました。つまみのチーズを食べながら外を見ていると、遠くに函館山、そして函館市街の街灯りが見え、それが次第に遠ざかっていきます。さらば、北海道。また来るぜぇ〜。(^^)/~~

列車が青函トンネルに入ったころ、ワタシは眠りについたのでした。
  1月17日、目覚めてみると、列車は福島駅に着こうというところでした。時刻は6時前です。
着替えて顔を洗い、6号車のロビー室にやってきました。ぼちぼち明るくなり始めている空を、だれもいないロビー室の中から眺めています。・・雪、さすがに積もってないですねぇ。(^^;)

郡山到着目前、6時半になると、食堂車の朝食が始まります。いの一番にやってきたワタシ、今回は洋食ではなく、限定10食のみという和食(1600円)を食べてみることにしました。
メニューは、紅鮭の塩焼き、焼き海苔、厚焼き玉子、かまぼこ、根菜の煮物、つけもの、梅干し、デザート(果物)、トマト、味噌汁などで、飲み物もセットになっています。普段は朝食トースト派のワタシも、なぜか旅に出ると、こうした和食メニューも平気で食べてしまうんですよねぇ。不思議なもんです。

食後、再び睡魔に襲われ、個室のベッドで横になります。そして目覚めてみると・・・列車は古河付近で、利根川を渡っているところでしたが、なんか雪が降っているような・・・予報では聞いていたんですが、まさか首都圏で雪の出迎えを受けることになろうとは思っていませんでした。(^^;)

列車は9時12分、順調な足取りで大宮に到着。もうまもなくです・・・。
  9時35分、「北斗星2号」は終点・上野駅の地平16番ホームに滑り込みました。青森から牽引してきたEF81-96の前面につけられたヘッドマークには、うっすらと雪がかぶっていました。
あとから入った情報では、10時過ぎに大宮駅で信号故障があり、宇都宮線(東北線)の上りが一時運転を見合わせたとか。後続の「北斗星4号」に乗っていたとしたら、間違いなく遅れに巻き込まれていたでしょう。
・・・ということで、10日間に渡った大旅行も、これで終焉と相成りました。
出かける前は、果たして最後まで体が持つだろうかと懸念していた面もありましたが、それも杞憂に終わり、体調を大きく崩すことなく、旅を終えることができました。これで少しは、夜行の旅にも自信が持てそうな気がします。(^^;)
そして何よりも、北海道の雪景色を満喫できたこと・・・以前から北国の冬に憧憬(あこがれ)を抱いてきたワタシにとっては、感激に堪えないことでした。

今回の旅でお会いした方々、ネット上から激励してくださった方々、その他、お世話になったすべての方々に、この場を借りてお礼申し上げます。本当にありがとうございました。

最後に、この駄文を最後までお読みくださったすべての方々にも、感謝の気持ちを表明したいと思います。
<おわり>