<Part2へ>
Part3(2000・1)
札幌へ向かう急行「はまなす」のB寝台に陣取ったワタシ。青函トンネルに入る前に寝入ってしまったようです。かなり疲れがたまっていたんですね。

翌1月10日、目がさめて、窓の外を見やると、駅の外に大きなショッピングセンターが・・・どうやら苫小牧のようです。時刻で言うと、5時15分ごろです。そろそろ起きだすとしますか。

「はまなす」は6時18分に札幌着。ホームでは、北海道在住のネット仲間某氏が出迎えてくれていました。彼は前の日に、SL「冬の湿原号」に乗車し、釧路から夜行の「おおぞら14号」に乗り込んで、私の乗った「はまなす」の少し前に札幌に到着していたのです。
ワタシが「とにかく風呂に入ってさっぱりしたい」というと、彼はおあつらえ向きの場所へと案内してくれました。そこはサウナ風呂なんですが、ちゃんと湯船もあるというところで、前日までの汗をさっぱり洗い流すことが出来ました。
さて、ここからは「北海道フリーきっぷ」のグリーン車用(7日間、JR北海道内の特急・急行・普通列車のグリーン車、B寝台が乗り放題で34860円)を使っての、北海道乗りまわしの旅が始まります。

地元ネット仲間氏と別れて乗り込む列車は、キハ183系「クリスタルエクスプレス」で運転の快速「フラノスキートレイン1号」富良野行き。パノラマ先頭車、大型の眺望窓、ハイデッカー・ダブルデッカー車連結という、この北海道ご自慢のリゾートトレインが、なんと「快速」扱いなんですよ!(一応、全席指定になっていますが・・・)
こりゃあスキーに行かなくても乗りたくなるでしょう。ほんと、乗り得列車ですよ。
列車は8時5分、札幌駅を発車しました。特急車のキハ183系の足回りを使ってますから、走りも安定しています。
で、写真はその1号車車内ですが、どうです、明るい感じでしょう?
ワタシもこの1号車に乗って、しばらく車窓を眺めていたんですが、この日は低気圧が接近していて天気は荒れており、外では吹雪いてきていました。

列車はさすがに快速らしく、苗穂、大麻、野幌、江別、岩見沢、美唄、砂川、滝川とこまめに停車して客を拾っていきますが、満席になるには至らず、空席も目立ちました。こんな乗り得列車なのに・・・。(^^;)
滝川からは、列車は函館本線と分かれ、根室本線へと入っていきます。複線電化の線区から、単線非電化の線区へ。当然、列車の走りも変わってきます。
写真は、滝川の次の停車駅・芦別駅の様子ですが、この時点でも雪はかなり降ってきており、このあたりではすでに相当量の積雪が見られます。ほんと、この先大丈夫なんかな・・・? 思わず心配してしまいます。
「フラノスキートレイン1号」は、5分ほど遅れて終点・富良野に到着しました。
ワタシはそそくさと乗り換え階段を渡ります。そこには、次なる列車・・・単行なので、あえてディーゼルカーと表現しましょう・・・がすでに待っていました。
それは、キハ12-23(正式な車号はキハ40-764)使用の臨時快速「ぽっぽや号」落合行き(写真右)。そう、あの映画「鉄道員(ぽっぽや)」の撮影に使用された車両を使っての臨時列車です。

このキハ12-23という架空の車号ですが、原作の小説の中に「キハ12」という形式名が出てきたことからつけられたもの。もともと、北海道向けディーゼルカーとしてキハ12という形式は実在しましたが、すでに全車廃車されています。そのもともとのキハ12形が22両存在したことから、その続番として「23号車」という命名になりました。
ところで、写真左側の車両ですが、この「ぽっぽや号」の増結用に同じ色に塗りなおされたキハ40-758です。右側の車両も、元はこういう形をしていたんですよね。

さて、「ぽっぽや号」の発車は10時7分、時間がありませんね。とっとと乗りましょう。(笑)
「ぽっぽや号」は定刻に、富良野を発車しました。

車内ですが、ぱっと見は一般のキハ40と何ら変わることはありません。しかしながら、映画のメイキングビデオがエンドレスで流れていたり、あるいは出演者のサイン色紙が飾ってあったりと、ただならぬ車両の匂いはプンプンしていました(笑)。さすがに、ビデオ放映用のテレビデオの予備まで置いてあったのには、思わずニヤリとしてしまいましたが・・・。
車窓の外ですが、引き続いて吹雪いています。時折渡る空知川の川面が凍りついているのが、目に付きます。
さて、「ぽっぽや号」は、11時前、幾寅駅に到着しました。そう、ここが「幌舞駅」です。ワタシはここで下車しました。
映画の撮影に使用された駅舎のセット、そのままの形で残っています。駅名の看板も「幌舞駅」。で、本名の幾寅駅の表記は、向こう側に見える電話ボックスの上あたりに、申し訳程度に小さく表示されていました。

実はワタシ、「鉄道員」の映画はまだ見ていないんですが、原作の小説は、映画の公開前に読んでいました。その中で出てきた「幌舞駅」のイメージ・・・実際に幾寅まで来てみて、本当にぴったりの場所なんだなあと感心させられました。
駅前に出ると、「だるま食堂」(写真)や「ひらた理容店」など、これまた実際に映画で使用されたオープンセットが残されています。いい感じに雪が積もってて、雰囲気出してますねぇ。
駅の横にある南富良野町の町民センターでは、「鉄道員」のロケで使われた改札ラッチや衣装・小物などの関連品などを集めての記念展示が行なわれていました。少し時間があるようなので、暖を取るのも兼ねてみて回っていました。
で、置いてあった町の観光案内パンフレットにも、しっかり幾寅でのロケのことが書かれてたりして・・。
そろそろ時間のようですね。ホームへ上がることにしましょう。

まもなく、落合方から「ぽっぽや号」が戻ってきました。
セットとして使われた腕木式信号機も残ってて、そこへ雪をつけた単行ディーゼルカーが走ってくる・・・いい感じじゃありませんか。ほんと、映画のワンシーンを見ているかのようでした。

さて、「ぽっぽや号」は11時32分、幾寅駅を後にしましたが、このあと、大変な出来事が待ち受けていようとは、この時点では知る由もありませんでした。
<Part4へ>