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Part3(2004・6) | |
到着した「奥出雲おろち号」の機関車・DE15-2558です。 12系客車2両とこのDE15形機関車で構成されるこの「奥出雲おろち号」編成ですが、紀勢線の「きのくにシーサイド」と同じく、折り返し時の機関車付け替えを省略するために機関車と反対側になる客車の乗務員室(車掌台)の位置に運転台が設けられています。 それにしても、機関車が冬季の除雪ラッセル車対応のDE15形、というのも、鉄道好きの人からすれば非常に面白いところです。 |
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では、車内へ入ってみましょう。 こちらはトロッコ車両のスハフ13-801の車内。 木製のボックスシートが並んでいます。 この日は、私のようないかにも「乗り鉄」さんらしいお客さんが数名と、あとは観光ツアーなのか、貸切バスでこの備後落合駅までやってきた観光客10数名が乗り込んでいました。 |
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シートのテーブルには、このようにボトルホルダーが。 自動車用のもののようですね。 |
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こちらは、機関車寄りに連結されている控車・スハフ12-801の車内。 簡易リクライニングシート装備で、悪天候のときなどにこちらに「避難」することも可能です。 |
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この「奥出雲おろち号」ですが、「島根の魅力ある景観づくりに貢献」したということで、1999年度「しまね景観賞」の優秀賞として地元・島根県から表彰されています。 表彰対象はこの列車自体なんですが、この列車から沿線の自然景観を眺められるということ自体も、その表彰の意味の中に含まれるというふうに解することができますね。 |
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この「奥出雲おろち号」ですが、1998年に運行を開始し、今年が7年目ということになります。 今回、私はJR西日本の某駅で指定券を発券してもらいましたが、みどりの窓口の若い女性駅員さんが「この列車(の指定券)、初めて出しました」と言って目を丸くしていました。 |
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列車は定刻より若干遅れて、備後落合を発車。 先ほど乗車してきた芸備線と分かれ、いったん高度を下げていきます・・・が、しばらくすると今度はまた高度を上げ始めます。 このあたりは短い橋とトンネルがいくつかあります。 油木を出て、広島県から島根県へ入ります。 |
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やがて、列車はJR西日本管内で最も高いところにある駅、三井野原駅に到着です。標高726.8m、という高さです。 このあたりは冬場はスキー客で賑わうところ。ゲレンデのある場所はさすがに緑に包まれていますが。 左下写真が駅の待合室ですが、女性の乗客から「かわいい駅ねぇ」という声も聞かれました。 |
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三井野原を出ると高度を下げていくわけですが、その途中で、左手の国道314号にこんな橋が見えてきます。 この赤いアーチ橋、三井野大橋といいますが、橋の長さ392m、非常にスケールの大きなアーチ橋です。 |
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そして、その三井野大橋の先には・・・。 こちら。高低差167mを二重ループ橋で結ぶ「おろちループ」です。 さすがにこのあたりで、列車は減速、そして車掌さんの案内放送が流れます。 「おろち」といえば、今乗っている列車も「奥出雲おろち号」。いずれも名前の由来はもちろん、この出雲地方の神話に登場する「八股の大蛇」ですね。 |
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トンネルに入りながら高度を下げていくと、進行方向の左手、下のほうに、次の停車駅である出雲坂根駅が見えてきました。 かなり高度差がありますが、ここから実は、スイッチバックをしてこの下のほうの駅まで降りていくことになるんですよね。 |
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列車はスイッチバックの引上げ線に入りました。 ここから進行方向を変え、先ほど見えた出雲坂根駅のほうへ降りていくわけです。 駅へ入る線路の信号が、赤から「注意」を示す黄色に変わりました。 先頭となるスハフ13-801の運転台には車掌さんが入り、運転士さんと無線でやり取りしながら前方の安全確認をします。 |
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ゆっくりと列車は進み、駅のホームが見えてきました。 右側には、この出雲坂根から先、宍道へ向かう線路が見えています。 その宍道へ向かう線路とのダブルクロッシングポイントを過ぎて・・・。 |
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13時15分、列車は出雲坂根駅に到着しました。 この出雲坂根駅の標高は564.6m。先ほどの三井野原からは160m以上下ってきていることになりますが、それでもJR西日本管内では4番目に高いところにある駅、なんだそうです。 停車時間がありますので、列車を降りてきました。 |
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駅構内の一角に、こういうものがありました。 「延命の水」と呼ばれる、湧き水です。 このあたり、昔はキツネやタヌキが多くいて、しかも寿命100年を超えたと思われる古だぬきがこの水を好んで飲んでいた、という言い伝えがあり、この近隣の村人も「長寿の霊水」として愛飲していたのだそうです。 この水、けっこうあちこちから汲みに来る人がいるそうで、この日もポリタンクを持った人たちを何人か見かけました。 私も手にすくって少し飲んでみましたが、ほんのりとした甘みがなんともいえませんでした。 |
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駅前に出てきましたが・・・。 写真の左側、売店が出ています。 しかも、白い「お弁当」の幟に加えて、赤い「やきとり」の幟が・・・。(笑) |
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・・・ということで、昼食がまだだった私は、こちらのものを買い込んだわけなのでした。 焼き鳥、1本120円。5本セット600円のパックを買いましたが、これがなかなかの肉厚で、ガンガンに冷えた缶ビールと非常によく合いました。(爆) |
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出雲坂根を13時42分に発車し、列車は出雲横田にやってきました。 ここでも停車時間があるということで、列車を降りてきました。 この出雲横田というところ、実はアニメ「もののけ姫」に出てくる「たたら場」のモデルになったところで、現在でもたたら製鉄が行われているのだそうです。 駅舎はこういう感じの社殿造り。 右側にあるポストが、またいい感じです。 |
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こちら、出雲横田の次の亀嵩駅です。 この駅、簡易委託駅なのですが、駅舎を利用したそば屋さんが非常に有名です。それも、「亀嵩駅長手打そば」と銘打ってあります。テレビでも何度か紹介されていますよね。 この「奥出雲おろち号」の場合、下りの備後落合行きの列車では駅ホームで「持ち帰りそば弁当」(500円)を販売しているんですが、さすがにこの上り木次行きの時間には販売はありませんでした。 ちなみに、この亀嵩は、テレビドラマにもなった松本清張の推理小説「砂の器」の舞台になったことでも有名ですね。 |
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続いて列車は出雲三成へ。 ここでも、列車交換待ちでしばらく停車です。 2001年に駅舎が建て替えられたということで、以前はけっこう味のある建物だったそうなのですが、いまはこんなモダンな駅舎になっていまして、地元の特産品を扱う物産販売所「仁多特産市」やコンビニなどが入っています。 |
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「奥出雲おろち号」はさらに先へ・・・。 こちらは出雲八代駅。 さきほどの出雲三成駅のように近代的な駅舎に建て替えられてしまっているところもありますが、この木次線にはけっこういい感じに鄙びた駅舎がけっこう残っていますねぇ。 |
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列車は、終点・木次の一つ手前の駅・日登に到着しました。 このあたりはブドウの産地としても知られていますね。写真左側にも、ビニールをかけられたブドウ棚があります。 |
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15時37分、「奥出雲おろち号」は終点の木次に到着しました。 備後落合から、通常の気動車列車なら2時間弱でたどり着くところを、この列車は3時間と少しかけてのんびりと走ってきました。 風を肌で感じながら、そして木々の匂いを味わいながらのトロッコ列車の旅、満喫させてもらいました。 ここからは、写真右側に写っているキハ120形の普通列車に乗ってさらに旅を続けますが、その模様は続編にて・・・。 |
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