Part1(2000・1〜2)
さて、今回は、九州を主にした西日本方面への旅です。
先日、「INVITATION FROM SNOW LAND」の旅で東北・北海道へ行ってきたばかりなのに・・・さぞやみなさん、驚かれたことでしょうね。(^^;)
それでは、参りましょうか。
1月25日夕刻、ワタシは東京駅にやってきました。
今回も、西への旅のトップバッターは、ブルトレです。学生時代以来乗っていなかった、「富士」(東京〜大分間)に乗ることにします。もっともワタシの学生時代には、「富士」は南宮崎まで走ってたんですけどね。
この「富士」の編成ですが、昨年12月4日のダイヤ改正で「さくら」「はやぶさ」の併結運転がスタートしたことに伴い、もともと「はやぶさ」との共通運用だった「富士」の編成は「さくら・はやぶさ」との共通運用に移行。つまり、「さくら・はやぶさ」併結状態の14両編成(電源車を含めると15両)がそのまま、大分まで走ることになったわけです。ですから、「富士」だけは、改正前より編成が長くなってるんですよね。

で、ワタシが利用するのは、10号車に連結されたB個室「ソロ」。なかば定番になりつつあります。車内販売がないので、夕食の弁当を買い込み、いよいよ乗り込みます。
16時56分、「富士」は東京駅10番線を発車しました。
まずは腹ごしらえとして弁当を食べます。これも、東京駅ではおなじみとなった「釜めし弁当」(950円)。具にけっこう味がしみていて、安心して食べられる味ですね。

列車は横浜を出ると、次は熱海まで停まりません。
小田原付近で進行方向右手を見てみると、新幹線高架上を100'系G編成の「こだま473号」名古屋行きが流れていきます。たくさん人が乗ってますねぇ。向こうは小田原で停車するために減速。こちらは速度を落とさずに通過していきます。
漆黒の相模湾沿いを通り、18時22分に熱海に到着。・・・と、新幹線ホームに滑り込んでいく列車が・・・ありゃ? よく見ると、さきほど小田原で見かけた「こだま473号」ですねぇ。まさか、と思ったんですが、時刻表上もほぼ同着なんですよね。
列車は熱海からJR東海の管内に入りました。そろそろ、6号車のロビーカーへ移動することにします。
車内のほかの車両の様子も見てきましたが、平日でもあり、乗っている人は本当に少ない・・この列車は三ノ宮まで客扱いがあるので、そこまでに乗ってくる人もいるんでしょうが、それにしても、悲しくなっちゃいますね。
またしても人影まばらなロビーカー。ソファにゆったりと腰掛け、しばらくのんびりと車窓を眺めてみることにします。

函南を通過するあたり、右手の新幹線高架上を流れる新幹線・・・500系ですねぇ。「のぞみ25号」でしょう。・・考えてみれば、あちらに乗っていれば22時半ごろには九州に着いてしまうんですよね・・・。
車内放送ですが、停車駅に着くたびに車掌さんはチャイムを鳴らしています。普通は始発・終着と就寝・起床のときの放送しかチャイムを鳴らさない車掌さんが多いんですが、サービスなのかな?

18時56分、列車は富士に到着。この列車の愛称名の由来となっている富士山は、夜の闇にまかれていて見られようはずがありません。
蒲原を過ぎて、左手には東名高速と国道1号が寄り添います。由比海岸ですね。もちろん、真っ暗なんで海は見えませんけど・・。
19時25分、「富士」静岡発。帰宅を急ぐ多くの人たちが、ホームからこの列車を見ています。ブルトレが、あらゆる意味で注目される列車であることは間違いないようですが、果たしてどれだけの人が、「乗る対象」として見てくれているのでしょうか・・・?
天竜川を渡ると、左手前方に「アクトシティ」の灯りが見えてきます。20時18分、浜松着。ホームに人が並んでいるのが見えますが、「富士」を待っているのではなく、次にやってくる区間快速を待っているようです。
浜松を出ると、おなじみの西浜松の解体線が見えてきます。そこにいたのは湘南カラーの113・115系が数両。さすがに、「ゆうゆう東海」の姿は、もうありませんでした。
20時45分ごろ、豊橋通過。なぜか東海カラーの103系がいます。廃車前提の疎開留置でしょうかね。

21時、就寝放送です。「すでにお休みのお客様も見受けられますので、放送でのご案内は特別の場合を除きまして、明朝6時半ごろまでお休みさせていただきます」・・・。
三河安城を過ぎるころ、新幹線ホームには「こだま481号」名古屋行きの姿が見えます。

21時半過ぎ、列車は名古屋に着きました。新幹線ホームには、広島行き最終の700系「のぞみ29号」が同時に滑り込んでいきます。在来線ホームでは帰宅を急ぐ人たちの長い列ができています。発車は、定刻3分遅れでした。

岐阜を目前にして、右手に見える東の空に、下弦の月が昇りはじめました。
22時35分、米原で運転停車。221・223系や413系、313系など、JR西日本・東海両社の車両が留置線に見えます。ここで、運転士がJR西日本の乗務員に交代します。
そろそろ、寝ることにしましょうか。明日も大移動が待ってますので・・。
1月26日、目がさめたのは5時半。カーテンをあけて窓の外を見ると、ちょうど櫛ヶ浜駅を通過するところでした。とりあえず、顔を洗いに洗面所へ向かいます。外を見ると・・・なんと、雪が降っています。
6時13分、列車は小郡発。ここまで来ると、JR九州の415系電車の姿も見られるようになります。

まだ人がいないロビーカーに来てみました。
ソファに座ってみます。車輪の響きと、エアコン・換気扇の音しかしませんね。静かですよ・・・。
小野田を過ぎたころ、やっと東の空が白んできました。そして、空の上には白く輝く「明けの明星」が・・・。昨夜、岐阜のあたりで昇ってきた下弦の月は、これから西へと沈んでいこうというところです。

厚狭を過ぎたところで朝の車内放送が始まります。「おはようございます。きょうは1月26日水曜日です」、車掌さんの声が響きます。
そういえば、さきほどから右手に見える山の上のほうに、なにやら白いものが・・・まさか、積もってるのか?!
7時14分、「富士」は下関に到着しました。ここで、機関車がEF66-42から、関門区間専用のEF81-410に交代します。
その停車時間を利用して、朝食を調達します。ホームの売店で売っていた「ふく寿司」(830円)を仕入れました。ロビーカーでさっそく食べます。・・・う〜ん、ふぐの身をはじめとして、海の幸が一杯ですよ。海のものがうまいというのは、幸せなことですねぇ。

列車は、7時20分に下関を発車。関門トンネルをあっという間に駆け抜け、まもなく九州に上陸です。
列車は私の故郷・門司に到着しました。ここで再び機関車交換。九州内の牽引を担当するのはED76-70。山型の「富士」のヘッドマークがついています。
列車は7時30分、定刻4分遅れで門司を発車しました。やがて右手には、門司機関区、そしてSL時代から使われていた扇形機関庫が見えてきます。すでに機関庫内にレールはありません。この機関庫跡地などを利用して貨物ターミナルを整備する計画が進行中で、まもなくこの機関庫も取り壊されることになっているんです。
長らく機関区の象徴だったこの建物がなくなるというのは、この門司で生まれ育ったワタシにとっては、残念でなりません。残して整備すれば、「産業文化財」としての価値だってあると思うんですけど・・・港町と同時に鉄道で栄えた町・門司の、貴重な象徴が・・・。
列車は7時39分、2分遅れで小倉を発車。西小倉から日豊線へと歩みを進めます。右手にはJR九州小倉工場が見えてきますが・・・おや、815系に似た黄色い前面の車両が見えますね。横のほうを見ると正体が判明。この3月ダイヤ改正から投入される予定の、783系「ハイパーサルーン」の先頭車化改造車ですね。車両工場のそばって、時として思わぬものを見ることができて、楽しいですよね。

街並みを抜けてくるころ、車窓から見える山々のうえには、白い雪がかぶっています。それが、苅田のあたりまで来ると、線路のそばまで雪のパウダーがかかっていますよ。そんななか、上り線を、883系「ソニック2号」が猛然と小倉へ向かって走っていきます。

7時58分に行橋を発車。とうとう、降ってきちゃいました、雪が・・・(^^;)。九州まで来て雪の洗礼を受けるとは、全く予想外の展開です。
さすがに、中津に着くころにはやみましたが・・。

杵築付近の単線区間で行き違いをしながら、山の中を走ると、やがて日出付近から、別府湾の景色が見え始めます。天気もよくなってきたようです。
別府で、温泉観光をする乗客が降りていきます。高崎山のふもとを抜けると、終点・大分はもうすぐです。
「富士」は定刻の9時36分、大分駅に到着しました。
到着してすぐ、行先方向幕が「富士 東京」に変わりました。・・・おっと、4号車の幕がなんか違うの出てますね・・あれ!? 「富士 西鹿児島」になってますよ! 「富士」は今でこそ大分止まりですが、かつては、東京〜西鹿児島間を日豊線経由で走り、文字通り日本一長い距離を走る列車だったんですよね。もう西鹿児島へ行かなくなってずいぶん経つんですけど、まだこの幕があったんですねぇ。驚きました。(^^;)
それでは、大分からさらに南へ向かうことにしましょう。
列車は、485系4連で運転の「にちりん3号」宮崎空港行きです。この列車、小倉の発車は「富士」の24分後ですが、大分到着時点では11分差まで追い上げています。やはり、ここが電車と客車の差、なんでしょうかね・・・。

9時49分、「にちりん3号」は大分を発車しました。
ここからの旅は、「九州グリーン豪遊券」を使います。当然、座席はグリーン席! ただ、このクロハ481-204のシートは簡易リクライニングでしたけど・・・。
  臼杵付近でちらりと豊後水道の景色を見ながら、列車は南下を続けます。寝台での睡眠不足がたたってか、ウトウトしてしまいます・・・。(^^;)
佐伯付近で目がさめました。列車はここから、山の中へ入ります。・・・そう、大分・宮崎県境の「宗太郎越え」ですね。
列車のスピードが落ち、次第に高度が上がります。直見の駅で787系「にちりんシーガイア10号」と行き違います。
やがて列車は杉林の中をゆっくりサミットにかかります・・・って、よく見ると、杉の枝に大きなつぼみがたくさん・・もうじき、ここからたくさんの花粉が飛び散るんでしょうなぁ・・・。(花粉症の皆さん、ゴメンナサイ^^;)
ここらで、車内販売からサンドイッチと、ポンジュース(!)の缶を購入。最初は「こんなところでポンジュース?」と思ったんですが、やはり海を隔ててすぐ向こうだからかな?
  峠を下りて列車は延岡に到着。自由席のところにかなり長い列ができてますねぇ。
実は、3月のダイヤ改正から、「にちりん」の減便と引き換えに、延岡〜宮崎空港間に特急「ひゅうが」4往復が登場する予定になっています。この宮崎の県内移動の多さ、そして、「宗太郎越え」の壁が、そうした変動を促したのかもしれませんが・・・。
「にちりん」の名跡は、「ソニック」、そして「ひゅうが」の登場で8往復にまで減ってしまうんですよね。ワタシ自身、なじみの深い名跡だけに、非常に寂しいです。

延岡を出てから、線形がいいせいかスピードがかなり出てますねぇ。
美々津駅付近、右手を見るとこんな建物が見えます。これは鉄道総合技術研究所の所有する宮崎リニアモーターカー実験線の基地なんです。この美々津〜都農にかけての区間、この日豊線に寄り添うように実験線の高架がのびています。・・・いまはほとんど使われていないようですが・・・それにしても、なぜこの宮崎で実験してたんでしょうかね?
  で、左側の車窓に目を移すと、日向灘の海岸線が見えてきます。
天気もいいし、ほんと、すがすがしいですよねぇ・・・。なんか、とても冬の海には見えないですよ。・・・ここが、こないだまでいた北海道との違いなんでしょうね。
「にちりん3号」は順調に走り、13時ちょうど、宮崎駅に到着しました。
列車はここから全車自由席となり、空港アクセス列車へと変身します。宮崎〜宮崎空港間は、特急も乗車券だけで乗れてしまうんですよね。

さて、ワタシですが、ここから次なる列車に乗り換えます。さて、その列車とは・・・。
<Part2へ>