(2011・10)
10月2日、思い立ってハードなウオーキング行に出かけることにしました。
長崎駅スタート、コースはワタシが参加してきたJR九州ウオーキングのなかでも最長規模となる約18km、しかも途中には、長崎街道日見峠の急峻な山道があるという・・・。
この10月2日は、この長崎のコースしか開催がないということでしたが、一時はコース長と、山道という内容にひるんで参加をやめようと考えていました。しかし、開催前日には、某駅「みどりの窓口」で長崎行きのきっぷを買い込んでいました。
こうなったらチャレンジあるのみ! もちろん、今回も末娘の乗ったベビーカーを押しながらです。
10月2日早朝の博多駅。
4番ホームから6時ちょうど発、「かもめ1号」長崎行きに乗車することにしました。
車両は、南福岡車両区所属の787系BM13編成6連。
この春の九州新幹線全線開業で「リレーつばめ」が廃止となり、この長崎線「かもめ」系統や日豊線「にちりん」系統に787系が大挙なだれ込みました。

かつて1994年から1996年にかけて、「かもめ」に787系が運用されていた時期がありました。実際にワタシも乗車したことがありますが、ビュッフェの営業もあってなかなかよかったのを覚えています。
夜が明ける中を、「かもめ1号」は二日市、鳥栖、新鳥栖、佐賀、肥前山口と停車していきます。
肥前山口から先は、時折有明海を見ながらの旅。海苔やカキ、アサリなどの養殖漁業が盛んなところで、途中の多良付近では、カキ小屋の姿も車窓から見ることができます。
諫早まできました。
こちらの発車と同時に、島原鉄道の気動車が発車していきます。

2008年に末端区間の島原外港〜加津佐間が廃止になって以後は、まだ乗れていません。島原へもまたゆっくりと行ってみたいんですがね。
8時1分、定刻に「かもめ1号」は長崎駅3番ホームに到着しました。

ワタシ自身、長崎に降り立ったのは、2年前の「ランタンフェスティバル」に来て以来、でした。

駅前でウオーキングの受付を済ませ、出発します。
スタート受付では、金平糖が配布されました。
駅を出て電車通りを渡り、その先、街のなかへ入っていきます。

長崎にはもう何度も来ているワタシですが、意外と駅から近いこのあたりには入ってきたことがありませんでね。下町っぽい雰囲気が、かえって新鮮に見えたりもしました。
さらにコースを進むと、ここ、諏訪神社の前を通ります。
長崎の秋の風物詩・長崎くんちは、この神社のお祭りです。原爆投下のあった1945年、その原爆投下から2ヶ月後におくんちをやったって話ですから、いかに長崎の人々がおくんちを愛しているか、ということだと思います。
さらに進んで、長崎電軌の蛍茶屋電停までやってきました。
国道34号を進んできた路面電車はここが終点。
坂の街・長崎らしく、ここから次第に高度を上げていきます。
国道34号バイパスから分かれて、日見峠に向かう旧道に入ってきました。
このあたりはまだ、歩道もある道路なわけですが、山の方へ進んでいくと、次第に歩道が途切れている区間が・・・。
そして、ここ、日見峠登り口にやってきました。
車道はそのままトンネルで山を抜けていくんですが、今回のコースは、ここからさらに急斜面となって峠に向かっていきます。

まさにここからが、ヘビーな道のりで・・・。
10kg近くになった末娘を乗せたベビーカーを押しながら、角度を増していく細い坂道を登るっていうのは、何かのトレーニングをしているのかと思ってしまうような重労働でした。なかなか先が見えない坂道に、思わずネを上げそうになってしまいました。
それでもどうにか、峠道の途中にある休憩所にたどり着きました。
ワタシがベビーカーを押してここへたどり着いた瞬間、休憩所の要員さんが思わず拍手をしてしまうほど、ワタシのやったことはすごかったようです。(笑)

この休憩所では、お茶に加えて、長崎のお菓子「よりより」を参加者に振る舞っていました。「よりより」は小麦粉と砂糖を使用して、細長くらせん状に巻いた棒状の揚げ菓子ですが、ちょっと硬いながらも、程よい甘さでうまいんですよね。
その先、もうしばらく急な山道を上って、ようやく日見峠に到達。

いやぁ〜どうですか?? 遠くに海が見えています。橘湾ですね。
向こうには島原半島が見えています。

こういう景色を見ると、疲れがスッと引いて行くような感覚を味わえますね。
登って来てよかったと・・・。
日見峠を越えて、そこから一気に山を下っていきます。

コース沿いには、長崎街道の旧跡がいろいろと。
左上写真は歯痛観音の鎮座する岩這薬師堂、左下写真は腹切坂。
ここではあえて書きませんが、街道沿いにはさまざまな物語が息をひそめているものです。
矢上宿の街道筋を通り抜け、田園地帯に入ってきたところで、このお店を見かけたもんで、寄り道。

「松井糀屋」さん。おいしそうな甘酒饅頭を売ってましたんで、嫁さんと二人で食べてみましたが、漉し餡が甘すぎない程よい味でグー!
1歳の末娘には・・・餡の入っていない「すぶくれ」という饅頭を買ってみました。小さい子には餡は食べさせられないもんでですね。
左下写真の上が、ワタシの食べた甘酒饅頭、下がすぶくれです。なぜかすぶくれのほうが大きいんですが、末娘は全部食べてしまいました。(笑)
饅頭を食べて、再び歩き始めました。
あたりでは稲刈りが進んでいました。ヒガンバナも咲き誇っているなか、秋の実りが風に揺れていました。
そしてようやく、ゴールの肥前古賀駅に到着。
歩き始めて、実に4時間・・・まぁでも、だいたいこのコースの標準タイムだったようです。ベビーカー押しながらってことを考えれば、なかなかいいペースだったんじゃないかと。
毎度のことですがね。ほんと鍛われますばい。(笑)
肥前古賀では、長崎行きの列車を1時間近く待つことに・・・諫早方面へは、快速「シーサイドライナー」の臨時停車など便宜が図られていましたが、長崎方面へ戻る便ではそうした手配はなかったようで・・・これはぜひ次回以降、JRさんに改善をしてほしいと思いますね。

13時6分発、長崎行き829M列車に乗車します。長崎運輸センター所属の817系VN28編成2連での運転でした。
長崎に到着した我々。すっかり腹ペコです。
駅ビル・アミュプラザ長崎にある、こちらのお店「御飯大甚」に入ってみました。

到着したらさっそく、一杯やらせてもらうことにしました。
このお店、1リットルのメガジョッキに生ビールを入れて出してくれます。900円するんですがね。これはド迫力!

で、このお店に入った理由は・・・。
・・・これを食べようと思ったからなんで・・・。

アミュプラザ長崎のレストラン街ではこの時期、長崎の地元食材を使った料理を打ち出した統一キャンペーンを行っていました。そのなかで、この「御飯大甚」が押しだしてきたのが、「つしま地どりを使った大人のトルコライス」(1260円)。地鶏飯と唐揚げ、そして、サラダになっている生ハムも鶏由来。
「トルコライス」はいまや長崎の名物料理。それをこういうアレンジにするってのも、なかなか面白いもんですね。
お昼も食べたところで、そろそろ帰路につきます。

長崎駅4番ホームから15時53分発、「かもめ32号」博多行きに乗車。またしても787系の列車、BM7編成6連での運転でした。
で、指定席をとってみたら、ここでした。

ここは3号車のサハ787-207。
もともとはビュッフェ車のサハシ787-7だった車両。
この旅行記にも出てきますが、サハシ787-7は、2003年2月に787系最後のビュッフェ営業を行った車両、ワタシにとっては思い出の車両ということになります。
ビュッフェ当時からの天井のエッグラインは、いまも健在です。
車内販売のワゴンから缶ビールを購入。
さっきビール1リッター呑んでるのに、まだ呑むんかい?(笑)

「かもめ32号」は、佐世保線との合流点にあたる肥前山口を通過する列車。肥前大浦に停車して、その次は佐賀になります。
長崎・佐世保線系統の特急が、九州新幹線全線開業で昼間時間帯は1時間に3本になったことも、影響しているんだろうと思います。
17時53分、定刻より少し遅れて、「かもめ32号」は博多駅3番ホームに到着しました。
さすがに、あれだけの距離を歩いて少し疲れが出たようで、車中で少し寝ました。末娘もぐっすり・・・。
今回はかなりハードなウオーキングでしたが、有名観光地とはまた違った側面の長崎を垣間見ることができました。
あの坂本龍馬も歩いたといわれる日見峠。いまはトンネルも出来ていますが、あの険しい峠道しかなかった頃、龍馬は何を思いながらあの山を歩いたんだろうと、思いを馳せていました。
末娘が物心ついた頃に、また行けたらいいなぁ・・・。
<おわり>