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Part8(2006・2)
列車は11時49分、谷汲口に到着しました。

谷汲、と聞いて、かつての名鉄谷汲線を思い浮かべる人もいると思います。私は乗車する機会がありませんでしたが・・・。
桜や紅葉の名所として知られる谷汲山華厳寺の最寄は、以前は名鉄の谷汲駅だったわけですが、同線が廃線となった現在は、この谷汲口駅からバスを利用することになります。

ここ谷汲口の駅前には、かつて樽見鉄道で使われていた旧型客車・オハフ502(旧・国鉄オハフ33形)が置かれています。
桜の時期には、この客車も桜の花で包まれるような感じになるようですが。
谷汲口の次は、神海に停車。

国鉄時代は「美濃神海」という駅名で、ここが樽見線の終点でした。
この神海から先、樽見へと続く線路は、第三セクター経営になった後、1989年に新規に開業した区間です。
神海を出た列車は、いっそう山深い区間に入っていきます。

鍋原〜日当間、根尾川を渡っていきます。
このあたりは金山渓谷と呼ばれ、樽見鉄道の沿線でも一番の見せ場と言われています。
さらに進み、水鳥を出たあたり。
このあたりには、1891年に濃尾地震を引き起こした根尾谷断層が走っています。国指定の特別天然記念物となったその断層を観察するための施設も、水鳥駅の近くにあるとか。

列車は、また根尾川を渡ります。
このあたりまで来ると、雪景色ですね。
12時13分、列車は終点の樽見に到着しました。
樽見駅は、ホーム1面2線の配置。客車列車の場合に機関車の機回しも可能な配線になっています。

かつて、国が敷設すべき鉄道路線として設定した予定線リスト(改正鉄道敷設法別表、1922年4月11日公布)では、樽見線はこの樽見から先、山を越えて、越美北線の越前大野を経由し金沢まで至る路線として規定されていたようです。
いまとなっては、夢のまた夢、というところでありましょう。
樽見からは、折り返しの12時31分発、22列車に乗車し、もときた道を大垣へ戻ってきました。

大垣で下車すると、JRの改札を通るための降車駅証明が配られました。
こちらの証明書は、自動改札も通れるタイプになっていました。
大垣へ戻ってきた私は昼食をとり、ここから次の目的地へ向かいます。

大垣から乗車する列車は、14時28分発、特急「しらさぎ9号」富山行き。
JR西日本金沢総合車両所の683系2000番台8両編成で運転です。
貫通型のクモハ683形を先頭にやってきました。
大垣を出た「しらさぎ9号」は、南荒尾信号場から新垂井経由の別線へ進みます。
大垣〜関ヶ原間のこの別線は、下りの優等列車、および貨物列車のみが使用する、勾配緩和のための迂回線です。
かつては、途中に新垂井駅がありましたが、国鉄時代の1986年に廃止されています。

列車は別線を駆け抜け、まもなく関ヶ原、というところ。
垂井へ続く本線上り線を跨ぎ、関ヶ原駅構内へ入っていきます。
やがて、右手には雪を頂いた伊吹山が見えてきました。
新幹線からも見ることができますが、この景色は何度見てもいいですねぇ。
米原に着いた列車は、乗務員がJR東海からJR西日本へと交代。
進行方向を変えて北陸本線へと入ります。

左手に、余呉湖が見えてきました。
このあたりを過ぎると、まもなく湖西線と合流する近江塩津です。
近江塩津からは、この旅の初日に「トワイライトエクスプレス」で通っている区間になりますね。

少し眠くてウトウトしているうちに、列車は加賀温泉まで来ていました。
金沢を出て、七尾線が分岐する津幡を通過。

貨物列車が、私の乗った「しらさぎ9号」の通過を待っていましたが、牽引している機関車は、国鉄型・EF81形の後継機としてJR貨物が増備しているEF510形。
「ECO-POWER RED THUNDER」という愛称を持つ同機が、やがて日本海縦貫線を席巻する日が来るのでしょうかね。
17時22分、「しらさぎ9号」は終点・富山に到着しました。

富山までやってきた、ということで、この時期の目的はもちろん、アレ、です。
・・・そう、これです。

2月28日の運行をもってJR富山港線が廃止となるということで、その最後の姿を記録しに来たのでありました。

もちろん、富山港線については、4月29日から「富山ライトレール富山港線」として、路面電車としての再出発をするわけで、完全に消滅してしまうわけではありません。
しかしながら、このJR富山港線としての最終盤には、国鉄色に塗られた475系電車が2編成投入されるなど、全国的に注目される動きもありました。
私がこれから乗車する1149M列車岩瀬浜行きにも、その国鉄色の475系A19編成3連が充当されました。

最終盤にあたり、記念のヘッドマークも用意されていました。
17時51分に富山を発車した1149Mは、駅間の短い富山港線をゆっくりと進んでいきます。

すでに沿線では、路面電車化に向けた工事がさまざま進みつつありました。
こちらは越中中島の駅ですが、ここもすでに工事のため、ホームが仮設のような感じになっていました。
終点の岩瀬浜に到着し、折り返し発車までの20分余り、駅でのバルブ撮影をしていました。

運行最終日の前夜にもかかわらず、この時間、岩瀬浜で撮影している人の姿は少なく、のんびりと撮影することができました。
岩瀬浜からは、折り返しの1150M列車に乗って、そのまま富山へ戻ってきました。

駅では、こういう並びが。
北陸カラーに塗られた457系電車と、先ほど乗ってきた国鉄色の475系電車の並び。これまた、バルブで撮影しておりました。
ひととおり撮影を終え、宿へ引き上げる際に、駅ビル内でこちらを買ってきました。

こちら、「白えび亭」の「白えび天丼」(630円)。お店でいただくこともできますが、私は今回、宿に持ち帰っていただくことにしました。

富山湾名物の白えびを天ぷらにし、富山産コシヒカリのご飯の上に乗せて出されるこちらの天丼。淡白な白えびの甘みがたまりません。
しかも、これが、この630円という値段で出されること自体がスゴイ! はっきりいって、安いと思いました。

明日は旅の最終日。まだまだ、盛りだくさんです。
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