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Part4(2006・2)
14時28分、気動車CR70-6の単行運転で、714Dは北見を発車しました。
満席に近い状態になった車内の乗客は、やはりお名残乗車と思われる鉄道ファンがかなりの割合を占めておりました。

まずは、北見盆地を南西方向へゆっくりと進んでいきます。
直線的な区間も見られ、いかにも北海道だなぁ、と思わされることしきり。
次第に山が迫ってきて、15時15分、置戸に到着です。

北見を1本前に発車した置戸止まりの746D列車が、折り返しの751D北見行きとして発車を待っています。
こちらの714Dには、その746Dで先に着いていたと思われる人たちが、わんさと乗り移ってまいりました。
置戸を出ると、列車は網走支庁から十勝支庁へ向かう山越え区間に入ります。
雪景色となった白樺の林のなかを、こうして走っていく風景もまた、北海道らしさを感じさせます。
置戸から15.9kmの山越え区間を走り、次の駅は、小利別。
第三セクター化後の1990年に、コミュニティセンターと合築のしゃれた駅舎に生まれ変わっているんですが、廃線後にはどのように活用されるのでしょうか?
15時53分、714Dは陸別に到着。
ここで、北見行き快速「銀河」701D列車との行き違いで、7分停車します。

ふるさと銀河線のほぼ中間にあたるこの陸別町というところは、環境庁(現在の環境省)から「星空の街」の選定を受けるなど、星空のきれいな街として知られています。
ふるさと銀河線、という路線愛称も、星空がきれいに見られるというところから名づけられたと聞きます。

陸別駅、といえば、2003年の暮れにNHK「ゆく年くる年」の中継に登場したのも記憶しています。厳しい冷え込みのなかで、気動車が暖機運転していた様子が目に焼きついています。

なお、この日は、有志でチャーターした団体臨時列車が池田発北見行きで運転されており、ちょうどこの時間、跨線橋の向こうの3番ホームに停車していました。
そこには、鉄仲間が数人乗車をしていました。714Dが発車する際に、ホームでこちらを撮影している仲間たちが見えましたので、手を振ってみましたが・・・。(笑)
次第に、北の大地に夕闇が迫ってきました。

それにしても、雪の積もった平原を走っていく列車、というのは、乗車していると現実世界から遊離したかのような錯覚にも陥ります。

かつて、このふるさと銀河線が「エビスビール」のCMに登場し、闇のなかを走る列車がやがて空へと舞い上がる、という映像がつくられたことがありましたね。
そのCMを見ていて、このふるさと銀河線がそういう幻想的な雰囲気を持ち合わせているのだろうなぁというふうには思っていたんですが、今回乗車してみて、その片鱗が垣間見えたような気がしました。
列車はさらに進み、16時31分、愛冠に到着。

この愛冠という地名は、もちろんアイヌ語に当て字されたものなんですが、当て字された漢字のイメージから、この駅の入場券がたくさん売れた時期があるのだそうで。
それにしても、かわいらしいたたずまいの駅舎ですね。
16時53分、列車は本別に到着。
7分の停車ということで、ホームに降りてきました。

駅ホームには、左下写真のように国鉄時代の「指差確認 釧路鉄道管理局」の看板がまだ残されていました。

駅舎は新しくなっていましたが、駅構内にはこんな感じで国鉄テイストが色濃く残っていました。
日もとっぷりと暮れてしまいました。
まだ時刻は17時過ぎなんですが、東だし、冬場だし・・・。

長いようで短かったふるさと銀河線の旅も、まもなく終わります。
17時34分、714Dは終点の池田に到着しました。

もともとは、道央と網走を結ぶ幹線鉄道の一部として、1911年に全通した池田〜北見間。石北本線の全通によってその位置づけが大きく変わり、さらには自動車交通の発達によって利用者が減少する中で、このふるさと銀河線は歴史のなかへまもなく消えていこうとしています。
鉄道路線がまた一つ消えていく、という点では、残念、というほかありません。

聞くところによれば、陸別〜川上間では、鉄路を残して観光鉄道として活用する検討もされているようで、ふるさと銀河線で活躍している気動車のうち6両を、その観光鉄道用に動態保存する模様です。
今後の展開がどのようになるのか、注目していきたいと思います。

池田駅で下車の際、料金を支払うのと引き換えに、左下写真の精算済証明書を受け取りました。JRの改札を通る際に右の半券を切って渡すんですが・・・なかなかしゃれたデザインの証明書ですね。
ここからですが、6分接続のこちらの列車で移動します。

17時40分発、根室本線芽室行き2528D列車。キハ40-779の単行運転でありました。
池田から約30分で、列車は帯広に到着。

帯広の駅前にこうして出てくるのも、3年ぶりですか・・・。

時間が時間ですので、夕食をとろうということで・・・。
こちら。

帯広駅ビル内にある、「ぶたはげ」の豚丼です。豚肉が6枚乗った1155円のものをいただきました。

地元の豚肉を、醤油ベースのたれをつけて網焼き・・・かぁ〜っ、もうこの香りだけでたまりませんぜ、旦那!(笑)

肉がまた、箸でも切れるやわらかさ。
これが美味くないわきゃないでしょう!

帯広まできたら、駅構内で手軽にいただけるここの豚丼、お薦めです!
ここ帯広からは、いったん札幌に戻るため、19時10分発、特急「スーパーとかち12号」に乗車します。

「スーパーとかち」は、「スーパーおおぞら」でもおなじみ、キハ283系気動車での運転です。
かつて「スーパーとかち」といえば、2階建て車・キサロハ182形を連結したキハ183系の列車でしたが、現在はこのキハ283系。
私が前回8年前に「スーパーとかち」に乗ったときはまだ、キハ183系だったんですけどもねぇ・・・。

キハ283系の「スーパーとかち」は5両編成がデフォルト。しかしきょうの「スーパーとかち12号」は7両編成でした。
札幌寄り先頭車から6号車、5号車の順となっていて、2号車と1号車の間に、禁煙指定席の「増1号車」が連結されるという形でした。
ところが、喫煙指定席の1号車の指定券を持ったお客さんが、間違えて「増1号車」の席に陣取り、タバコを吸い始めて車掌さんに注意される一幕もありまして・・・まぁ、3月18日ダイヤ改正から、JR北海道管内相互発着の特急列車は客室内全面禁煙となりますから、そうした事態もなくなると思いますが。
さて、その「増1号車」に乗車した私は、車内販売の客室乗務員さんから缶ビールを買い求め、「一人宴会」。(笑)
ビールとセットで、豚肉を使った「とんちゃんジャーキー」をおつまみとして購入。これがほどよい歯ごたえで、ブラックペッパーの香りとあいまってビールにぴったり、という感じでした。
「スーパーとかち12号」は、芽室、十勝清水、新得、トマム、占冠、新夕張と、こまめに停車していきます。

途中、トマムではスキー場のナイター照明の灯りが見えたり、新夕張では「紅葉山」の駅名標が見えたり、暗い中ではありましたがいろいろなものを見ることができました。

列車は、強馬力振子気動車の面目躍如、という感じで、バリバリに飛ばしておりました。
追分、南千歳、新札幌に停車し、列車は定刻の21時39分より若干遅れて、終点の札幌駅6番ホームに到着しました。
車両はそのまま、手稲の札幌運転所へと回送されます。

札幌のこの時間の気温は、マイナス2度。
この時期としては、やはり暖かいようでした。

明日は、JR北海道の営業線で最後に残した未乗線完乗の行程となります。
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