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Part2(2005・6)
「SLあそBOY」は、立野に到着しました。
ここでは8分の停車、ということで、お客さんがいっせいに降りてきまして、記念撮影タイム・・・。

こうしてたくさんの人が記念撮影に降りてくる、というのも、SL列車ならではですね、ほんとに。
立野を出ると、いよいよ、この豊肥線の一番の見せ場。阿蘇外輪山を登るスイッチバックに入っていきます。

今回は、SLの反対側にDLが連結されていますので、そのDLが列車を牽引するかたちで、列車はいったん退行・・・。
その頃、車内では、こちらの乗車証明書が配布されていました。
厚紙の、手にするとかなり重厚な感じの乗車証明書です。裏面には、牽引機・58654の簡単な経歴も記載されていました。
そして、退行を終えた列車は、阿蘇へ向けて再び前進を始めました。

下のほうに、先ほど通ってきたスイッチバック線を見ながら、さらに高度を上げていきます。
その先には、この「SLあそBOY」の最も有名な撮影ポイントとなっている場所があります。
写真でも分かるかと思いますが、かなりの人数が待ち構えておりました。ざっと40人くらいは・・・さすがに、衝撃の発表の直後ということで、急遽来られた人もいたのではないかと思われます。

今後、夏場に向けてさらに撮影者が増えることと思いますが、くれぐれも事故やトラブルのないよう、十分気をつけていただければと思います。
阿蘇に到着。

停車時間があるということで、列車からは再び多くの乗客がホームへ出てきました。もちろん、阿蘇へ観光目的でやってきた人たちは、ここ阿蘇駅で下車していくわけですが・・・。

梅雨の中休みが長すぎる今年の九州ではありますが、この日ばかりは、晴れてくれてよかったと思いましたね。
ということで、まもなく終点の宮地です。

気がつけば我々、こんなにビール空けてました。
まったく、昼間っから・・・。(爆)
列車は、宮地に到着しました。

宮地に到着した「SLあそBOY」の編成は、そのまま入換を始めます。
まずは、いったんSL先頭の状態で波野方へ引き上げ、折り返して側線のほうへ入っていきます。
側線に入った後、SL・58654は切り離され、いったん波野方へいったあと、転車台のほうへ入ってきます。

58654は、転車台に載り、給水位置へ移動。
SLは、水がなくては走れません。
このあと、我々は昼食と買いだしを済ませまして、宮地駅へ戻ってきました。

もちろん、復路も「SLあそBOY」に乗車します。

宮地駅構内に入ると、すでに「SLあそBOY」は、入線していました。

熊本へ戻る復路の編成は、58654を先頭に、その後ろにカニ24-15、さらに50系ウエスタン風客車編成が続き、一番後ろにはやはりDE10-1756、という形になります。
帰りの列車も、指定席は完売になっていた模様です。
で、我々は、乗車すると早速、買い出しをしてきたものをテーブルに広げ、宮地発車とともにまたまた宴会の始まり・・・。(爆)

このときと同じく、またしても地元の馬刺しと、地鶏のたたきが登場。
これがまた、うまいんですわ・・・くせになりまっせ。(笑)
列車はカルデラの中を走ったあと、外輪山を抜けてスイッチバック区間を通り、立野へ戻ってきました。

わずかな停車時間の間、信号がかわらない間にホームへ降りてみました。
立野の駅名標を入れて撮ってみたんですが、SLと電源車しか写っていません。こうなると、豊肥線でSLがブルトレを牽引している図に見えてしまったり・・・まぁ、実際にあったら面白いだろうな、という願望の範疇でしかありませんがね。(^^;)
立野からは、熊本へ向けてさらに高度を下げていきます。

SLを先頭に、その後ろにブルトレの電源車、さらにウエスタン風客車・・・本当に、ものすごい編成ですよね。
もちろん、この日の編成は「あそBOY」オリジナルの姿ではないんですが、こういうこともあったんだと記録や記憶にとどめておく、ということは大事なことだと、この趣味をやっていて常々感じていますので・・・。
帰りの車内でも、酒を呑みながら仲間とのんびり語らっているうちに、列車はもう、熊本市内へ戻ってきていました。

いつものことではありますが、楽しい時間はあっという間に過ぎてしまいますね。
「SLあそBOY」は、終点・熊本駅2番ホームに到着しました。

入れ換えで中線に入ってきた、787系の旧「つばめ」カラーBM15編成6連と、しばらくの並び。
このあと、「あそBOY」の編成は、後ろについていたDLに牽引されて、熊本運輸センターのほうへ引き上げていきました。
熊本駅に隣接していた熊本運輸センターは、この春、熊本駅の八代方にあたる熊本操車場の位置に移転しました。もちろん、九州新幹線の関連工事に伴うものですが・・・。

かつての運輸センター構内は、レールの撤去も進んでいます。かつて58654が整備を受けていた、写真に写っているレンガ造りの車庫も、やはり取り壊されてしまうんでしょうかねぇ・・・。
ということで、我々一行は、さきほど見かけた787系BM15編成充当の「有明36号」門司港行きに乗車して帰路につきます。
実は、この列車でも、1号車のグリーン個室をとっていた我々・・・もちろん、車内では買い込んできた焼酎を、これまた買ってきた氷でロックにして、一杯やりながら語らいの時を過ごしていたのでありました。(^^;)
復活から17年、58654号機は、再び火を落とそうとしています。
SLの運行を維持するのには、さまざまな好条件の重なりが必要とされます。まずは運行に供されるSL自身の状態が良好であること、転車台や給水設備などSL運転に必要な設備が運転線区に整備されていること。また、運行する鉄道会社の経営体力がある程度整っていなければ、とりわけ費用がかかるSLの運行整備はままなりません。さらには、地元の観光振興とのリンケージを含め、SL運行を支える集客体制が整っていることも必要・・・それ以外にもいろいろあるでしょうが、そうしたさまざまな条件が重なってはじめて、SLの継続的な運行が可能になるんです。
今回の「SLあそBOY」の一件で、そのことを改めて強く感じました。

58654号機について、JR九州はプレスリリースで「復活の可能性を精査します」としています。各種報道を見ると、ボイラーを支える車両台枠の傷みが激しく、またそれを修理しようにも図面がなく、修理できる技術者もいない状況であるということで、果たして再度の復活があるのかどうかは、現時点では分かりません。むしろ、現在の話を聞く限りでは、見通しは厳しいと言わざるを得ません。
ただ、同機の復活か、別の機関車かどうかを問わず、九州でいつかまたSLの煙が上がることを、私としては大いに期待したい・・・そのことを最後に述べて、筆を置くことにしたいと思います。
<おわり>