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Part5(2002・1)
1月14日朝、「豪遊券」の有効期限はきょうまでです。
朝4時に起き出して、黒崎駅まで出てきました。

ちょうど、博多行きの上り「ドリームにちりん」が、1番ホームを発車しようとするところでした。
私は、2番線にやってきた上り初電の門司港行きに乗ります。
この時間だというのに、813系3両編成の車内はかなり混雑していました。次の八幡で座ることはできましたが、それまで立つ羽目になるという・・・。
さすがに前日までの疲れと、起きるのが早かったのとで、思わずウトウトしてしまいました。気がついてみると、電車は門司駅に着いていました。
この電車が停まっている8番線のホームは、まもなく役目を終える運命です。私にとってはなじみのあるホームですがねぇ・・・。
門司港に着きました。
ちょうど向かいのホームには、昨日「きらめき6号」で乗ってきた885系編成が、下りの「かもめ5号」として発車を待っていました。
この門司港から発車する885系の列車はこの「かもめ5号」だけです。私自身も、この車両が門司港の頭端式ホームに停まっているのは初めて見ましたが、なんだか見慣れないなぁ、という感じでした。
駅前に出てみました。駅舎のライトアップはこの時間されていませんので、駅前広場から駅舎の全体を撮ろうと思っても、暗くて思うようにいきません。ということで、このように出入り口のところだけを撮ってお茶を濁したわけで・・・。
改札へ戻ってくると、私の乗る列車の案内表示が出ていました。特急「つばめ3号」西鹿児島行き。実はふだん、私が熊本への通院に使っている列車なんです。いつもは黒崎からの乗車ですが、今回は始発から終点まで乗りとおしてみよう(笑)という計画にしていたので、わざわざ門司港まで早起きしてやってきたというわけで・・・。
しばらくすると、5番線に「つばめ3号」となる787系編成が入換で入線してきました。いつものように、「つばめ」編成7連と「有明」編成4連とを併結した11両編成。実は「つばめ」編成7連のほうは、私が前日に西鹿児島から博多へ来る際に乗っていた「つばめ24号」に使用されていたのと同一編成。博多到着後、「きらめき8号」として門司港へ送り込まれる運用になっていたのでした。
こちら、私が利用するグリーン車の客室内です。大柄なシートが並んでいます。
このところしばらく、この「つばめ」のグリーン席を使っていないんですが、今回は往路だけでも5時間はかかる予定なので、シートでのんびりする時間も当然出てくると思いますが・・・。
列車は定刻6時59分に門司港を発車。右手にちらちらと関門海峡を見ながら、夜明けの空の下を走り出します。さすがにまだ、外をとってもブレてますね。
写真は、門司駅1番線に到着したところ。門司、小倉と停まっていきますが、グリーン車に乗ってくる人の姿はありません。実のところ、博多まで1号車は私1人の状態が続きました。
戸畑を通過する頃、右手には赤いつり橋・若戸大橋が見えます。
このあと黒崎、折尾、赤間と停車していきますが、折尾を出た後、やはり、というか、私の記憶はしばらく途切れています。
8時11分、「つばめ3号」は博多に到着しようとしています。
客室乗務員さんがここからの乗務となります。グリーン車にも、担当の乗務員がつき、車内サービスが始まるわけですが・・・。
・・・博多を出てしばらく、客室乗務員さんが私のところへも声をかけにやってきました。「お客様、西鹿児島までの乗車でよろしかったでしょうか?」。さきほど、門司港を出たところで車掌さんの車内改札があっていますので、その引継ぎを受けている客室乗務員さんが、改めてきっぷの提示を求めることはありません。
その後、グリーン車サービスのドリンクが届けられました。私の注文はアイスのウーロン茶。コーヒーじゃないの?と思われるでしょうが、それはあとのお楽しみにとってありました。(笑)
大牟田にさしかかるところで、4号車ビュッフェに向かうことにします。熊本通院のときには、下車時間の関係からビュッフェの営業が始まるとさっさとここへ来てしまうんですが、今回はそんなに慌てることはありません。(笑)

で、ここでコーヒーを頼むわけですが、2月までコーヒーフェアをやっている、というなかですので、そのコーヒーフェアで出されている期間限定品のコーヒーのほうを注文します。この日は、長崎県大村で栽培された国内産の豆を使用している「大村寿古コーヒー」(350円)でした。・・・ふむふむ、程よく酸味が効いていて、ちょっと酸味がかったくらいの味が好みの私にはちょうどいい感じです。
このあと、「焼きラーメン」を注文して食べながら、外の景色を眺めていました。
列車は間もなく熊本へ着こうとするところ。しかしながら、この日は天気が悪く、このあたりも雨が降ると同時にかなり景色が霞んで見えていました。
後ろ4両の「有明」編成を切り離し、熊本を9時31分に発車。いつもなら熊本で降りないといけないわけですが、この日ばかりはビュッフェでコーヒーのおかわりをいただき、そのままのんびりと過ごしていました。

八代を過ぎ、八代海沿いの区間へさしかかります。
やはり天気が悪く、向こう側に見えるはずの天草の島影は見えてきませんね。
このあたりで、いったん自分の席に戻り、パソコンを開いて「雑記帳」の更新をかけることにしました。

水俣付近。やはり、九州新幹線の工事は着々と進んでいます。高架橋が次々に立ち上がり、その威容を現してきている様を見ていると、ひるがえっていまこの列車が走っている線路=八代〜川内間の第三セクター線化が予定されている線路の今後が、やはり非常に気になってしまいます。
水俣を出て、米ノ津の駅で行き違い停車。その相手は、博多行きの「つばめ8号」ですが、車両は日本初のラッピングエクスプレスということで話題になった「GLAY EXPRESS」仕様の787系Bk-5編成7連でした。この1月16日をもって、この姿での運行を終えることになっていまして、こうして見かけるのも、これが最後なのかな、と思いましたが・・・。それにしても、かなり話題をさらったことは疑いないでしょうね、この車両・・・。
出水平野にさしかかってきました。前日はすでに夜だったために、飛来しているツルを見るということはかなわなかったわけですが、きょうはこのとおり、おそらくナベツルでしょうが、このようにたくさん群れていました。

ツルは通常、親子単位で、3〜4羽ほどの群れになって行動することが多いんですが、このように多くの数が群れているというのは、なかなか珍しいですよね。
列車は、この鹿児島線南部のビューポイントの一つである東シナ海沿いの区間へ出てきました。
これで天気がよかったら最高だったんですがねぇ・・・。

このあたりを走る九州新幹線は、短絡するために山の中をトンネルで突っ切る格好になるため、このような眺望は望むべくもないでしょう。
列車は川内に到着しました。ここの駅でも、新幹線ホームの建設工事が行われていました。
いや、実はかなりこの時間に眠気を感じまして、もう西鹿児島が近いのにこんな状態じゃ困る、と思った私は、ビュッフェにコーヒーを飲みに来ていたのでした。

列車はこの先、串木野、伊集院と停まって、終点の西鹿児島へ向かいます。
伊集院を出て、列車は西鹿児島へ続く複線区間に入っていました。

このちょっと前に、客室乗務員さんが私のところにも、「西鹿児島から指宿枕崎線をご利用ではありませんか?」と尋ねてきました。・・・そういえば、この列車、少し遅れているようでしたが、さては接続時間があまりないんだろうな・・・。
12時6分、「つばめ3号」は終点の西鹿児島に到着しました。結局、3分ほど遅れていました。

門司港から5時間を超える旅。なかなか乗り応えがありましたよ。日本列島は縦に長い、とよくいいますが、九州も、実は縦に長いんだよなぁ、なんて、このとき思ったもんでした。
西鹿児島駅の前に出てきました。
新幹線対応のこの駅舎になってからしばらくたちますが、本当にこの駅に新幹線がやってくる日も現実に近づいてきて、にわかに慌しくなっているような雰囲気を感じました。駅舎の上のほうには、すでに九州新幹線用の新型車両・800系のフォルムを描いた看板も出ていました。
ちょうどお昼時なんですが、やっぱり鹿児島まできたら、ラーメン食べないといかんでしょ、ということで、駅から近い和田屋さんというお店に入ります。ここはチェーン店になっているようで、ここの店のほかにも市内に何軒かお店を持っているようです。

まず、店に入ってラーメンを注文すると、付け出し(?)の漬物が出されました。こちら鹿児島では、こうして漬物などを最初に出すのが流儀のようです。
出てきた普通ラーメン(700円)ですが、とにかくもやしをはじめ具がたくさん! このボリュームに驚きました。
後日調べたところでは、スープのほうは豚骨や鶏がらのほかに昆布などをブレンドして煮込まれた出汁でできているとのこと。もちろん全部飲み干しましたが、見た目よりあっさりしていて、食べやすかったですね。

ちなみに、鹿児島ラーメンというのは、これ、という定義がきちんとないのだそうで、店によってさまざまな個性があるとのことですので、またそのうち、別の店のものなども試してみようかなと思いました。
食後、西鹿児島駅に戻ってきて、駅の売店でお土産を買います。前日に「つばめ」のビュッフェでさつま揚げを食べて以来、ちょっと気になっていたので、駅構内にお店を出している有村屋さんのさつま揚げを買いました。ここには真空パック入りのものも置いてありまして、常温でも2〜3日なら大丈夫、ということでした。

これも後日、自宅で食べてみましたが、一般的に美味いとされるごぼう入りはもちろん、ニンジン入りのものがなかなかうまかったですよ。ニンジン嫌いな人にもぜひ試してもらいたい味でした。ほんと、お酒のつまみにもいいですしね。
ということで、早くも戻りの列車の時刻となりました。
戻りの列車は、西鹿児島13時25分発、「つばめ16号」博多行き。実は、またしてもさきほどの「つばめ3号」と同一編成(鹿児島総合車両所Bk-6編成)での運用でして、この「つばめ」での1往復半の旅はすべて同じ編成のお世話になることになりました。(^^;)

客室乗務員さんが、この写真を撮った直後に列車に向かって深々と一礼をしていました。
列車は定刻に西鹿児島を発車。左手に鹿児島総合車両所の留置線を見ながら、右にカーブを切って加速を始めます。
ここ鹿児島総合車両所は、787系「つばめ」編成の基地であるとともに、JR九州の南九州地区での拠点基地でもあります。
次の停車駅は、伊集院。ここからはかつて、枕崎へ向けて鹿児島交通の鉄道線が延びていました。
この鹿児島交通の線路は、豪雨被害によって寸断された路線の復旧をあきらめて廃線となった経過があります。
写真に写っている、駅舎のすぐ手前のところが、かつての鹿児島交通線のホームだったところです。
そして、伊集院駅を出て少し行くと、分岐していた線路跡の土手のところに、このように信号機も残っていました。すでに廃線から18年になろうとしていますが、まだこのような構造物が残存しているんですね。

かつての鹿児島交通線の沿線には、いろいろな形で鉄道の足跡が残っているとも聞きますので、いずれは車でそういうところをまわってみたいですね。
川内を出る頃、席を立ってビュッフェに向かいました。
車窓には、先ほども眺めてきた東シナ海の風景。ほんと、この「つばめ」は明媚なところを走っているなぁ、と実感します。
さて、ビュッフェにやってきたからには、当然飲み食いするわけですが(笑)、今回はお初となる冷酒を頼んでみることにしました。ここで出されていたのは、「天心」というお酒で、実は私の住んでいる北九州市内でつくられているものなんですね。少し甘い感じで、あまり悪酔いはしなさそうな味でした。
隣にあるのは、佐賀産の三瀬鶏のつくねです。
そうこうしているうちに、出水に到着。ここでも、新幹線ホームの工事が進んでいますね。工事車両の姿も見えます。
さて、出水といえば、今朝方も見てきたツルですが・・・。
出水発車後、今朝ほどツルが群れていたのと同じあたりに、この時間もツルが群れているのが見えてきました。
ビュッフェ担当の客室乗務員さんが、やはりこんな数で群れているのはなかなか見られない、と話していましたが・・・。

そうそう、この頃からですよ、私がビュッフェに来る前から、カウンターで冷酒を飲んでいる50歳くらいの男性と話し始めたのは・・・。(笑)
最初は、このツルの話で、客室乗務員さんと3人で盛り上がってたんですが・・・。
・・・次の水俣を過ぎたところで、状況が変化します。

水俣から、ポータブルMDプレーヤーのイヤホンをした若い女の子が、ビュッフェの窓側の隅に陣取り、立ったまま窓の外を眺めていました。自由席のほうはこの日、前日に指宿でおこなわれた「菜の花マラソン」に出場した人たちの帰り時間と重なったこともあって混雑しており、おそらく席に座れなかったんでしょう。

八代海沿いの区間にさしかかったころ、さきほどの50歳くらいの男性が、まずは私に「まぁどうぞ」といって冷酒を1本おごってくださいました。さらに、その立っていた女の子にも、客室乗務員さんにお金を渡して「コーヒーを持っていってあげてください」と頼んでいました。・・・そのことをきっかけに、その女の子も含めての会話に・・・。
聞けば、その女の子は実家に帰省して成人式に出席した帰りで、この後熊本で列車を乗り継いで大学のある下宿先に戻るとのこと。「いやぁ、それはおめでとう!」ということで、ひとしきり話をしていました。

その後、その女の子がお手洗いに行くといってその場を離れたまま、下車予定の熊本が近づいても戻ってこないため、客室乗務員さんと2人「どうしたんでしょうかね」と心配していたところ、到着直前になって戻ってきた女の子は、「実は気分が悪くて・・・でも、大丈夫です」。
もう時間があまりなかったこともあり、帰省荷物を持ってデッキへ向かう彼女に「気をつけるんだよ」と声をかけることしかできませんでした・・・。このあと無事に帰れたんだろうかと、いまだに気になっています・・・。
熊本を過ぎてから、私は自分の席に戻り、パソコンを開いてHPの更新をしていました。
さきほどのことがあったので、あまり気分的には晴れないままでしたが・・・。

南福岡を通過、博多到着を知らせる自動の案内放送が流れ始めました。
17時15分、「つばめ16号」は博多に到着です。いつものターミナルの喧騒が、体を包み込みます。

このあと、帰るにはまだ時間が早いので、さらなる列車の乗り回しを計画していました。「豪遊券」紀行も、いよいよ最終章へ進もうとしています。
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