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Part2(2001・7)
列車は岐阜に停車後、木曽川を渡って愛知県内へ。ここは、貨物列車の拠点のある稲沢付近です。EF200形、EF210形といったJR貨物の看板機関車たちが並んでいます。
そのあたりで、キハ85系特急「ひだ」とすれ違い。以前、このキハ85系「ひだ」には乗っていますが、この列車も側窓が大きくて、車窓の景色を楽しむにはかなりいい列車だと思います。
左手にはやがて、清洲城の天守閣が見えてきました。あの戦国武将・織田信長が拠点としていたところです。
信長が家督を継いだときには、織田家内部での争いもあったりして厳しい環境だったと聞きますが、信長はその当時から、天下統一の野望をこの場所であたためていたんでしょう。
そういうことを考えているうちに、列車は名古屋駅手前にさしかかっていました。
右手には新幹線、左手には名鉄線の線路が見えてきました。正面右手には、名古屋駅ビルのセントラルタワーズが見えています。
この先、駅への進入時に、列車は東海道線(旅客線)の線路から中央線のホームに入るために、ポイントをたくさん渡っていきます。線路配置の関係から、やむをえないんですが、これはなかなか大変だ・・・。
さて、11時に列車は名古屋を発車しました。名古屋からはさすがにお客さんが増え、グリーン車内もかなりにぎやかになってきました。
名古屋では、運転士さんが再び交替しました。交替した運転士さんは中央西線区間(名古屋〜塩尻間)を担当するようです。

列車は名古屋を出ると、東海道本線、名鉄名古屋本線の下を潜り抜け、金山へさしかかります。
ここでは、JRの東海道線と中央線の間に名鉄線がはさまれる格好になっており、駅舎もJR・名鉄一体の「総合駅」のスタイルとなっています。全国的にみても、非常に珍しい形態の駅ですね。
グリーン車内ですが、おしぼりが配られました。東海道新幹線で使っているのと同じ、コットン製のおしぼりのようです。
千種に停車後、列車は振子機構の威力をフルに発揮し、最高速度である130km/hでの運転がスタートします。ちなみに、この383系「しなの」の場合、130km/hが出せる区間は名古屋〜中津川間のみ、ということになっているようです。

写真は、途中左手に見えてくる、この383系電車のネグラである神領車両区を通過するときの様子。見えている電車は、383系の先輩にあたる国鉄型「元祖・振子特急」の381系電車。かつて「しなの」は1996年秋まで、定期全列車がこの381系で運転されていました。
写真右側に見えている車両は、クロ381形の10番台という車両。JR化後に改造で登場したパノラマグリーン車で、私がいま乗っている383系のクロ383形0番台グリーン車の先祖、といえる車両です。
いま381系は、限られた臨時列車での運用しか残っていませんが、それも果たしていつまで続くのか・・・。
しばらくすると、にわか雨が降りだしました。そんななかですが、電車はスピードを落とすことなく、突っ走ります。
そろそろお昼時でもあるので、車内販売からお弁当を調達することにしました。
購入したのは、米原駅構内で営業している、我々鉄道ファンの間では有名な駅弁屋の井筒屋さんが出している幕の内弁当「近江の味」(830円)。
内容は写真のとおりで、琵琶湖近辺での産物を中心に構成されているようです。けっこうお腹いっぱいになりました。(^^;)
雨はすぐにあがったようで、しばらくするとまた青空がのぞいてきました。
中津川を出るとひたすら山間部を走っていきます。かなりカーブも多く、また単線になる区間もあって、線形的にはかなり厳しいところです。
列車はやがて、木曽八景の一つ・寝覚ノ床を眼下に見下ろします。
この寝覚ノ床の奇岩は、木曽川の流れに花崗岩が長年侵食されてできたもの。かの浦島太郎がここの岩の上で玉手箱を開け、おじいさんになってびっくりして飛び起きた、という伝説もあります。いまでも、浦島太郎をまつった「浦島堂」といわれる小さなお堂が岩の上に残っているとか・・・。

この木曽谷の厳しい地形の産物ではありますが、列車がそういう景勝地を間近に見て走っている、というのは、本当にありがたいですよねぇ。
しばらくトンネルが続いて分水嶺を越え、列車は安曇野へ降りてきました。
線路端にはぶどう棚、このあたりは、ワインの産地としても知られていますよね。

「しなの15号」は12時49分、塩尻に到着しました。
塩尻は、JR東海と東日本の境界駅。ここでまた運転士さんが交替します。
松本へは、およそ10分。
直線区間を走っていると、向こう側から見慣れたカラーリングの特急が・・・189系電車の特急「あずさ」ですね。ワタシが東京にいる間、かなりの頻度でお世話になった車両です。やっぱり、懐かしい気分が先に立ってしまいますね。
12時59分、「しなの15号」は松本に到着しました。ワタシはここで下車します。
冬は寒いこのあたりですが、夏は非常に暑いです。列車を降りると、ムッとする空気が、ワタシの体を包みました。
  松本へ着いてみると、なんだか珍しい車両が・・・。
勝田電車区に所属する電気軌道検測車クモヤ442・443-1が、来ていたのでした。通常の検測であろうと思いますが。
ここからは、しばらくのインターバルを置いて、E351系「スーパーあずさ8号」で八王子へ向かいます。
期せずして振子特急の乗り継ぎ、ということになりました。
急遽思い立って旅程を組み替え、このような乗り継ぎになったわけですが、この先やりたくてもそうそうはできないだろうと思われるだけに、この際、と思って行動に移したのは正解だったように思います。
新大阪〜松本間を、昼行特急で行く、というのは、新幹線が発達した現在の鉄道事情のなかでは、けっこう難しいのです。とくに大阪〜名古屋のあいだを通しで走る定期の昼行特急は、この「しなの」1往復しかないですし。しかも、そこを前面展望かぶりつきで、という体験が出来て、趣味的にもかなり楽しかったです。
いずれは、またやってみたいなと思いますが、いつになるやら・・・。
<おわり>