Part1(2001・7)
2001年7月。ワタシは4月に東京での仕事を辞めて郷里の九州へ戻り再就職。その後、いよいよ八王子の自宅を引き払う段になり、その引っ越しの最終作業をするために東京へ向かうことに。どうせ行くならば、ということで、ちょっとした「乗り鉄」気分を味わおうということにしたのでした。
7月19日早朝、ワタシは小倉駅にやってきました。
乗車する列車は、博多発の東京行き「のぞみ」1番列車である「のぞみ6号」。500系車両での運転です。
左の下り側ホームには、100N系「グランドひかり」のV1編成を短縮して組成された4連の「こだま」用P1編成。かつて東京〜博多間直通列車の主役だった車両です。その後の新車のスピードアップがめざましく、あっという間に後景に追いやられてしまいました・・・。
「のぞみ6号」ではグリーン車に乗ることにしました。それも、直前に普通車から乗車変更かけました。
普通車のシートは、特に長距離の乗車になるとちょっと窮屈な印象があるだけに、このグリーン車のゆったり感を覚えてしまうと、もう病みつきです。
「のぞみ6号」は、最高300km/hを出しながら東へ向かいます。
途中、運転士さんからの車内アナウンス、「この列車はただいま、世界最高の時速300kmで走行しております。この後も、『500系のぞみ号』での快適なご旅行をお楽しみください」。やっぱり、このスピード感は、非常に心をくすぐりますね。
車内でノートパソコンを開いて、モバイル更新をおこなっているうちに、列車はすでに新大阪へ。右手眼下には、宮原総合運転所の留置線が見えてきます。
写真では、北陸特急の485系や681系、近郊型の113系などの車両が休んでいるのが見えていますね。このほかにも、通勤型電車や機関車、客車などさまざまな車両が見えて、なかなか鉄道ファンにはたまらない眺めです。
新大阪には8時52分に到着。小倉からだとジャスト2時間、これは速いですよね。
「のぞみ6号」にそのまま乗っていれば昼前には東京駅にたどり着くんですが、ワタシはこの新大阪で降りました。
到着した向かい側の25番線には、真新しい700系編成が「試運転」幕を出して停まっています。JR東海が新しく投入したC27編成の試運転のようでした。

さて、乗り継ぎがありますので、先を急がないと・・・。
今回、ぜひとも乗ってみたいと思っていた列車、それは、こちらの特急「しなの15号」長野行き。JR東海神領車両区の383系電車で運転されるこの列車、「しなの」では唯一、大阪始発となる列車なのです(「しなの」はほとんどの列車が名古屋〜長野間の運転)。国鉄時代からの大阪直通がいまでも続いている結果なんですが。
この列車だと、大阪から名古屋を通って長野まで、JRでいうと西日本、東海、東日本の三社間を直通で運転することになります。昼行の特急列車で、こういうJR三社間直通、という列車はいまのところ、他にはなかったと思います。

この日、「しなの15号」は基本編成6連+付属編成4連の計10両編成。夏休み対策で増結をかけたのでしょう。

列車は9時2分に発車。ワタシはさっさと席につきます。
で、その座った席というのは、先頭1号車に連結されているグリーン車。383系のグリーン車は片側2列の4列配置ではありますが、写真のように背もたれが非常に高いハイバック仕様です。

さらにいえば、ワタシの座った席は・・・。
・・・こういう感じ。つまり、1号車の最前列の席だったわけです。
この383系のグリーン車は、パノラマグリーン車をうたっているだけあって、運転室との仕切りはガラス張り、当然、前面展望がばっちり楽しめるっていうことですね。

ワタシが持っていた指定券は、運転士さんの真後ろにあたる1番A席(最前列の1番の席を「指名買い」しましたよ、当然・笑)だったんですが、車内改札にきた車掌さんは「まぁ、空いているうちはよく見えるほうに座ってたらいいですよ」と、助士席側に座るよう勧めてくれました。いやぁ、ありがたいですね。(^^;)

写真では、運転士さんが信号を指差し確認しています。「第一閉塞、進行ォ〜」といった喚呼の声もばっちり聞こえていました。
すれ違いや追い抜きといった展望も、当然楽しめるわけで・・・。こちらは、「サンダーバード」の新型・683系電車とのすれ違い。ほかにも、関空特急「はるか」の281系、新快速の223系などなど、ご当地自慢の車両たちが車窓を賑わしてくれました。
列車はほどなく京都府内へ。
右手には、京都総合運転所(かつての向日町運転所)の留置線が見えてきます。
手前側には、国鉄色485系の姿が見えていますね。ここ京都総合運転所には、現在北陸特急用に485系9両編成10本の配置がありますが、今後、新型車両が増えてくると、どう変化していくのか、気になるところです。
新大阪から20分ほどで、列車は京都に到着です。右手の中線には、智頭急行線との乗り入れ特急である「スーパーはくと」のHOT7000系気動車が停まっています。
ここ京都からもう少しお客さんが増えるかと思ったんですが、案外そうでもなかったですね。
京都を出ると、列車は東海道線を琵琶湖東岸沿いに北上していきます。
草津までは複々線区間となっていて、内側の緩行線を走る電車を追い抜くシーンも見られます。
そんな前面展望を楽しんでいるうちに、列車は京都から40分弱で米原に着きます。
留置線に見えているのは、485系「しらさぎ」のニューカラー版の増結編成3連です。「しらさぎ」といえば長年国鉄メークの485系で運転されてきましたが、今年、「スーパー雷鳥」消滅で転用されたグレードアップ改造車が新塗色で投入され、国鉄メーク、ボンネット車の使用も、じきになくなることになっていますので・・・。
米原はJR西日本と東海の境界駅ですので、運転士さんもJR東海の乗務員さんに交替しました。
北陸本線が左へ分かれ、列車は関ヶ原へ向けて山登りです。やがて、前方にはご覧のように、伊吹山が見えてきました。
関ヶ原越えを終え、列車は岐阜県内へ。ここは大垣駅です。JR東海の近郊型標準となっている313系電車の姿が見えますね。
「しなの15号」はここは通過ですが、ここには中京圏を走る近郊電車の一大拠点・大垣車両区があります。
余談ですが、「サンライズ瀬戸・出雲」に運用されている寝台電車の285系「サンライズエクスプレス」の5編成のうち、JR東海に所属する2編成の「戸籍上の拠点」も、実はこの大垣車両区で・・・とはいっても、通常はこの大垣は夜中に素通りするだけで、大垣に入庫することはまずないんですけども・・・。

列車は中京圏の線形のいい区間を、最高120km/hでグイグイ進んでいきます。
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