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Part2(2004・7)
7月12日早朝。
ホテルをチェックアウトしたワタシは、青森駅へやってきました。

この日の青森は非常に気温が低く、半袖姿のワタシは寒くて仕方がない・・・。(^^;)
この時間の青森駅。
まだ5時半ですが、この時間から各地へ出かけていく乗客の姿がけっこう見られます。

ワタシのこの日の一番手は、新潟行き特急「いなほ8号」。
3番線から6時7分発。このダイヤは、かつて新潟を通り大阪まで走っていた特急「白鳥」のダイヤをほぼ踏襲しています。
ホームにやってくると、「いなほ8号」になる新潟車両センターの485系T17編成6連が、すでに入線していました。

新潟車両センターというのは、この3月まで「上沼垂運転区」といわれていた新潟の車両基地。鉄道ファンの間では「新カヌ」という所属標記がおなじみになっていましたが、今回の区所名変更で「新ニイ」に書き換えられています。

このT17編成は、自由席号車となる4・5号車に、かつて「白鳥」「雷鳥」などに運用されていたグレードアップ改造車のモハユニットが連結されています。指定席よりも自由席号車のほうがグレードが高いという「逆転現象」なわけで・・・。
こちらが指定席の車内。
もちろん、シートはフリーストップリクライニングになっていますが、シートピッチはかつてのままですね。
ただまぁ、このほうがいかにも485系っぽいなぁと・・・。

とりあえず、いったんホームへ出て、温かい駅そばを食べました。
この時期、普通なら冷しものを食べたいところですが、先ほど書いたように、なにしろ寒い・・・。(^^;)
「いなほ8号」は、曇り空の下、南へ向けて走り始めました。
左手のほうに、八戸へ向かう東北本線が分かれていきます。
しばらくすると、列車は新青森を通過。
写真中央、奥の方に三つの横札が並んだ赤と白の標柱が立っています。その標柱は、ここが新幹線の通る予定地であることを示すもの。
この新青森は、東北新幹線の終点、となる予定の場所です。
大釈迦を越え、列車は津軽平野へ入っていきます。
このあたりは、水田とリンゴ畑がまじりあっている場所。
台風などの被害にあわず、おいしいリンゴが実るといいんですが・・・。
弘前に停車し、列車は大館に停車。
ここで、大阪から函館へ向かうブルトレ「日本海1号」と行き違いです。
続いて列車は、鷹ノ巣に停車。
ここは、角館へ向かう第三セクター・秋田内陸縦貫鉄道との連絡駅。
頭端式のホームに、黄色い気動車が停まっていました。
次の停車駅・二ツ井駅では、この看板がお出迎え。

世界遺産・白神山地というと、アクセスとしては五能線のほうが注目されがち(「リゾートしらかみ」も走ってますしねぇ)ですが、この二ツ井から入るルートもあるんですよね。
さらに次の停車駅・東能代では・・・。

駅構内に、電気軌道総合検測車であるキヤE193系「Easti-D」編成が停まっていました。同編成は、電車バージョンであるE491系「Easti-E」と同じような外観をしていますが、主に非電化線区を中心に各種検測を行っています。先だっては北海道にも足をのばしたそうで・・・。

この東能代では、上野発で青森へ向かうブルトレ「あけぼの」と離合です。
列車は、右手に八郎潟を見ながら南下を続けます。
広大な穀倉地帯、なんだか日本の水田地帯っぽくないようなイメージもありますが、おいしい日本のお米がここからたくさん供給されるんですよね。
稲作は日本の文化。大事にしていかなければいけませんね。
8時45分、「いなほ8号」は秋田に到着しました。
この時点で、かなり激しい雨が降っていました。
ここでお腹が空いてきてしまい(笑)、ワタシはこちらの駅弁を買い込んできました。
「おばこ弁当」(950円)。八角形の容器を三つに仕切って、上下にはおかず、中央にご飯が入っています。減農薬栽培のお米を使ったご飯の上に鶏の照焼やそぼろ、錦糸玉子が載っています。おかずは焼鮭や煮物など。

「おばこ」というのは、こちらの方言で「女の子」「少女」をさす言葉。女性を意識したお弁当のようですが、買ったお店の方の話では、性別や年齢層を問わず人気がある、とのことでした。
秋田を出た列車は、奥羽本線から分かれて羽越本線へと足を進めます。
依然として、時折雨がぱらつく空模様です。

右手には、日本海が見えてきました。
秋田の次は、30分余りで羽後本荘に停車。

ここからは、かつての国鉄矢島線を引き継いだ由利高原鉄道の列車が、矢島までの間を結んでいます。
列車は秋田・山形の県境を、日本海沿いに越えていきます。
右手には、時折こうして日本海が・・・。
山形県に入りしばらくすると、こんどは庄内平野の水田地帯が広がってきます。

この天気ですから、鳥海山を拝むことは今回もかないませんでしたが。
10時26分、「いなほ8号」は酒田に到着しました。
ワタシは、ここで下車することにしました。

青森を出てからかれこれ4時間以上、ということで、485系の列車にこれだけの時間乗っているというのもしばらくぶりでした。しかしまぁ、揺れも少なく、安心して乗れる車両ですよね。
酒田駅前に出てきました。
この駅で降り立つのも、ずいぶん久々です。

一度ゆっくり、おいしい食べ物と地酒を味わいに来てみたいですねぇ。
以前、「堺の車窓から」でもやってましたもんねぇ。
乗り継ぎですが、ここからは初乗りとなる陸羽西線の列車に乗ることにしました。
新庄行き154D列車。車両は、こちらのキハ111・112形の2両編成です。

側面窓下に赤いラインが入っているので、この車両はもともとは陸羽東線仕様(陸羽西線仕様の車両は黄色いライン)なんですが、陸羽東・西線のキハ110系車両はすべて小牛田運輸区の所属で、共通運用されているようですね。
10時39分に、154D列車は酒田を発車し、まずは余目まで羽越本線を走ります。
本線ということで、非常に走りも軽やかです。

写真は、最上川を渡るところ。雨の影響か、茶色く濁っています。

さきほどから、駅ホームにガードマンがものものしく立っているのが目立っていました。
沿線には三脚を立てた撮り鉄と思われる皆さんがいますし・・・。
154Dが余目に進入しようというところ。

前方に、煙を吐く黒いもの・・・SLがいますっ!
これは、まったく頭になかったです、ハイ。
余目で少し停車時間があったので、ホームへ降りてきました。

どうやら、陸羽西線で7月17〜19日に運転予定の「SLもがみ号」の試運転のようですね。

先頭のSLは、C11-325。普段は真岡鉄道で走っている機関車ですが、時折、JR東日本にレンタルされて、ローカル線でのSL列車運転に活躍しています。
そして、後ろにつながった3両の客車は、高崎車両センター(旧・高崎運転所)の旧型客車。

こりゃ、乗る方としても、撮る方としてもたまんないですなぁ・・・。
ひとしきりSLを眺めた後、154Dは羽越本線と分かれ、陸羽西線へと歩を進めます。
途中、南野から狩川へ向かう途中、左手に風車が見えてきました。
このあたりでは、年間を通して風が強いということで、その風を利用して風力発電が行われています。
環境にもやさしいエネルギー、ですね。
列車は平野を過ぎて、最上川の渓谷沿いに走っていきます。

さきほど、下流のほうで一回渡っているわけですが、このあたりでももちろん、このように濁流になっていました。
こちらは、最上川舟下りの終点となる船着場から程近い、高屋駅。
この駅もそういえば、かつて「堺の車窓から」で登場していましたねぇ。

川下りなんかも、いずれやってみたいですねぇ。
きょうみたいな濁流の日はちょっと・・・ですが。
その次の古口駅は、最上川舟下りの起点となる乗船場から近い駅です。

ホーム向かい側には、新庄へ向かう157D列車が行き違いで待っていました。
列車はさらに新庄盆地へ向けて走っていきます。

やがて、終点の新庄駅が見えてきました。
11時45分、154Dは新庄に到着しました。

ここからは、山形新幹線に乗り継いで東京へ戻ります。
左写真の右側、1番ホームに、11時56分発、「つばさ114号」東京行きがすでに待っていました。
この「つばさ114号」の編成は、400系車両のトップナンバーである先行試作車のL1編成だったんですが、以前のLED電光式の行先表示が、すべて量産車と同じデザインの幕式の表示に交換されていました。

私が乗車した14号車指定席の車内は、左下のような感じです。
次の停車駅である大石田までは、私1人でした。(^^;)
新庄を発車した「つばさ114号」は、しばらく小牛田へ向かう陸羽東線の線路と併走していきます。
写真の場所は南新庄駅。線路は併走していますが、ホームは陸羽東線側にしかありません。

陸羽東線の線路は、この先で左へ分かれていきます。
そのうち、「東線」のほうにも乗りにこないとなぁ・・・。
そろそろお腹が空いてきたなぁ、と思っていると、車内販売でお弁当を、という案内放送があったので、ワゴンが来るのを待っていました。

そして、購入したのはこちら。
「特製牛肉弁当」(1020円)。もともとは米沢の駅弁ですが、もちろんこの「つばさ」の車内でも売られています。
このように、味のよくしみた米沢牛のお肉が敷き詰められております。

でもって、このお弁当はいつでも温かい状態で、ということで、弁当の下に発熱材が入れてあります。ですので、もちろんホッカホカの牛肉をいただくことができたわけで・・・。
美味くないわけがありませんわね、こりゃ。
このあたり、やはり山形県ということで、サクランボ園が沿線にもたくさんありました。
6月あたりがシーズンですので、もちろん実は残っていませんが。
羽前千歳付近。
左手から、仙台からやってくる仙山線の線路が合流してきました。

こちら、山形新幹線の走っている奥羽本線は、新幹線にあわせた標準軌、仙山線は従来の在来線規格である狭軌軌道です。ここから山形までは、標準軌と狭軌の線路が併走する単線並列、という形態になります。
12時39分、「つばさ114号」は山形に到着しました。
向かいホームには、ここ山形で折り返し「つばさ116号」になる、E3系1000番台L52編成が待機していました。
ワタシは、E3系の「つばさ」にはまだ乗ったことがありません。「つばさ」用のE3系1000番台はいま2編成しかありませんので、12編成ある400系と共通運用となると、乗車する機会はかなり限られると思いますが。
山形を発車した列車は、次の停車駅・米沢をめざして加速していきます。
かみのやま温泉、赤湯、高畠といった駅は通過・・・。

左手車窓、蔵王が見えてくるはずのところですが、やはり雲をかぶっていました。
山形からおよそ30分で、「つばさ114号」は米沢に着きました。
このあたりのローカル列車には、写真の719系5000番台車両が主力として使用されています。仙台近郊の東北線や仙山線など狭軌の在来線を走っている719系基本番台を、標準軌にあわせてアレンジした車両です。
米沢を出ると、板谷峠を越えるための山登りとなります。

この板谷峠区間は、最大勾配38‰(パーミル)という鉄道の難所。大沢、峠、板谷、赤岩と、かつてはスイッチバックの駅が4つ連なっていました。いまでも、その遺構は随所に残されています。
400系「つばさ」は、スピードを落としただけで、余裕を持ってこの難所を通過していきます。

左写真は板谷駅のスイッチバック跡のシェードです。
「つばさ114号」は13時47分、福島に到着しました。
ここで、仙台からやってきたE4系「Maxやまびこ114号」と連結し、ここから15両編成となって東京へ向かいます。

連結作業をしている間に、上り通過線を「はやて・こまち14号」が駆け抜けていきました。
福島を出た後、さすがに朝が早かったのでまぶたが重くなりまして・・・。(^^;)

気がつけば、列車は大宮を過ぎ、荒川を渡っていました。
浮間舟渡のあたりで、埼京線の205系電車と併走します。
15時25分、「Maxやまびこ・つばさ114号」は東京駅23番ホームに到着しました。

ここからは、羽田空港へ向かい、九州へ戻るだけです。
あたふたとプランをたてて出かけた割には、ローカル線やおいしいものをいろいろ満喫させてもらいました。
東北というと、九州からだとなかなか足をのばすのがためらわれるところ。東京で暮らしてた頃はなんとも思わなかったんですが、やはり日本の「南北の長さ」と、東京という場所の便利さ、というものを、思い知らされた感じです。

そのうち機会があれば、また東日本方面など出歩いてみたいと思います。

最後に、青森でご足労願ったネット仲間氏に、改めて感謝を表したいと思います。
<おわり>