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Part2(2006・8)
昼食を終えて、福山駅の福塩線ホームにやってきました。
ここからは、未乗で残していた福塩線の完乗を目指します。

8番ホームに、こんな車両が停まっていました。
第三セクター・井原鉄道から乗り入れの気動車、IRT355-201です。
この車両が、どうやら13時42分発、293D〜328D列車総社行きになるようなんですが・・・。

特別企画車両「夢 やすらぎ」として、井原鉄道が昨年導入した同車。
車体の構体は従来からの同社の一般形車両・IRT355形と同じようですが、外装・内装のデザインは、JR九州の車両デザインでおなじみ、ドーンデザイン・水戸岡鋭治氏が担当しています。
そのため、同氏がデザインを担当したJR九州の車両とかなり良く似た意匠がたくさん見られます。

水戸岡氏は岡山の出身で、岡山電気軌道でも車両デザインを手がけていますから、岡山県に拠点を置く井原鉄道で車両デザインを担当すること自体は、それほど驚くことではないんでしょうが・・・。

まずは車体にあしらわれたロゴ。
こういうのロゴの配置の仕方、鉄道好きの皆さんならやはり、水戸岡氏がデザインした九州の車両を思わず連想することでしょう。
さらに、車内を見てみると、一瞬、肥薩線を走る観光列車「いさぶろう・しんぺい」を思い出してしまうかのようなこのボックスシート。
まさに、という感じであります。

窓のロールブラインドも、このとおり。

本当に、九州にワープしてきたかのような錯覚に陥ってしまいました。(^^;)
ということで、私は293Dに乗って、井原鉄道との分岐点である神辺へ。
本当は、1本あとの府中行きに、福山から乗るつもりだったんですがね・・・。

時間が余ったので、いったん駅の改札を出て、駅前のスーパーを物色。「おっ、野菜がウチの近所より安いじゃん!」とか思いながら見てまわっておりました。
それでもまだ時間があるので、結局スーパーでジュースを買って飲み干し、再び駅へ。

写真は、跨線橋から駅構内を見下ろしたところ。
そしてやっと、本来は福山から乗る予定だった253M列車府中行きが到着。

神辺14時28分発、車両は岡山電車区所属の105系電車F7編成2連。車体は延命工事が施工されていました。
福塩線のうち、電化されて電車が走っているのは福山〜府中間。この区間はもともと軽便鉄道(軌間762mm)として開業した区間で、元・私鉄という色合いを強く感じます。

こちらは途中の戸手駅。
かつては列車交換設備があったようですがすでになく、国鉄時代のものと思われる駅名標が残る向こう側のホームは、現在使用されていません。

福山近郊の住宅街と田園地帯が交錯するエリアを走りぬけ・・・。
253Mは14時56分、終点の府中に到着しました。

この府中から先は非電化区間。
乗り継ぎ列車となる14時59分発、1729D列車三次行きは、広島運転所所属のキハ120形による単行ワンマン運転となります。

この府中から先、下川辺までの一駅間は、かつていったん電化されていたものが再び非電化へ戻った、という経歴があるそうです。
列車は府中を出ると、芦田川に沿う形で山間部へ進みます。

写真は、河佐峡のあたり。
川に入っている人の姿もありました。暑い日ですから、さぞかし川の水が涼やかに感じることでしょう。
途中の上下のあたりで分水嶺を越えます。

このあたり、稲が早植えだったのか、すでに稲穂が垂れ下がり始めているところも目立ちました。
夏真っ盛り、とはいいつつも、秋に向けて確実に時は流れているわけで・・・。
高度が下がり、あたりが次第に開けてきました。

右手から、備中神代からの芸備線が合流してくると、まもなく塩町。

これで、福塩線の完乗は達成です。
乗り継ぎの関係などでなかなか乗車ができずにここまで残っていたんですが、やっと胸のつかえがとれたような心境です。(^^;)

私にとっての宿願であるJR全線完乗に向け、あと残る路線は2路線。
石巻線の前谷地〜女川間、そして越美北線の越前花堂〜九頭竜湖間のみ、となりました。
越美北線に関しては2年前の水害によって、現在も一乗谷〜美山間が不通のままになっているので、その復旧を待ってからの乗車になるでしょうが、いよいよ、ゴールが近くなってきました。
塩町から先は、芸備線の線路を走ります。

次の神杉で、芸備線の360D列車と行き違い。360Dは若干遅れてやってきました。
同列車は本来、備後落合までの運転ですが、やってきたキハ120形の行先表示は「備後西城」。
芸備線では、この梅雨の豪雨による土砂流入のため、この日の時点でも備後落合〜比婆山間が不通になったままで、そのため、備後落合〜備後西城間でバス代行の措置がとられていました。
360Dとの行き違いによる遅れで、私の乗った1729Dは3分ほど遅れて終点・三次に到着しました。

ここからは、本来のダイヤで1分接続の16時44分発、芸備線1833D列車広島行きに乗車。1729Dからの接続を待っていましたので、大急ぎで乗り換えます。
車両はやはり広島運転所所属のキハ120形。2両編成で、途中の志和口までは車掌が乗ってはいるもののワンマン運転扱い、その先は車掌乗務となります。
1833Dの車内から、三次駅の三江線ホームが見えました。
ホームには、三江線を走る浜田鉄道部のキハ120形1両がぽつねんと佇んでいます。

三江線もまた、この梅雨の豪雨被害で、この日の段階でも全線が運転見合わせとなっており、バスまたはジャンボタクシーでの代行輸送となっていました。
運転再開には相当の期間がかかる見込みとのことで、もともと厳しい状況の路線だけに今後が非常に気になります。

しばらく芸備線と並行して走る三江線のレールは、すでに輝きを失いつつありました・・・。
一日も早い復旧を願わずにはいられません。
列車は芸備線を進み、ここは井原口駅。
いい雰囲気の佇まいですね。

こんな山間部ですが、ここはすでに広島市内。
広島市って広いんですよねぇ・・・。
列車はさらに、太田川の上流にあたる三篠川に沿って走っていきます。
これより下流寄りのところでは、川辺でバーベキューをしていたり、川に入って釣りをしていたり、といった光景も見られました。
途中、行き違いでの停車を繰り返しながら、気がつけば市街地に入ってきていました。
広島貨物ターミナルを左手に見ながら、列車は広島駅へと入っていきます。
18時57分、定刻に到着しました。
すでにお腹ペコペコの私は、迷わず改札を抜けて、駅ビルの中へ。

広島ですから、やっぱりお好み焼きでしょう。(笑)
今回は、「おゝ井」というお店に入りました。

「おゝ井焼スペシャル」(1155円)を注文。
生のイカとエビ、肉、卵。もちろんそば入りで、上にはネギたっぷり。
とにかく、このボリューム! しその葉も入っていて、その香りもなかなかでありました。(^^;)
お腹もいっぱいになりましたので、あとは帰るだけです。

広島19時29分発、「ひかり477号」博多行きに乗車。
車両は、700系7000番台「Rail Star」E9編成8連。

この列車、最近の「ひかり」では珍しく、徳山にも新山口にも停車せず、広島を出ると小倉まで停まりません。
この「ひかり477号」の9分前に広島を出る「のぞみ39号」(700系16両で運転)は新山口に停車しますが、そのために、小倉時点での両者の差は5分に縮まる・・・「ひかり」が「のぞみ」を追い上げる、という「珍現象」が起こるわけで。
2つの大きな目的を無事に果たし、今回の日帰り旅は順調そのものでした。
列車の旅というのは、得てして運行トラブルや悪天候などの影響でどこかしら行程に狂いが出るものですが、今回は少し余裕を持った行程にしていたら、思ったよりも順調に行ってしまった、という稀な例となりました。最後の新幹線も、本来ならもう少し遅い時間の列車を考えていたんですが・・・。

とりわけ「瀬戸内マリンビュー」の乗車の際に感じましたが、もっとゆとりのある旅も、これからはどんどんしてみたいと、この旅のなかで強く思った次第で・・・。
<おわり>