Part1(2001・4)
いよいよ、といいますか、私の東京暮らしもまもなく終わりになるわけで、そうすると、東日本地区を拠点に乗り鉄してまわるのも、いよいよおしまいかなぁ、とか考えているうちに、いつのまにか乗り鉄計画が出来上がってしまいました。(笑)
といいますか、実は、私が昨年、VIEWカード(JR東日本のクレジットカード)のサンクスプレゼントでゲットしていた「グリーン席利用券」(JR東日本エリア内のみ有効)を使わずにため込んでいるのが発覚しまして(笑)、九州に行ってしまっては使う機会もないだろう、ということで、この際その券を利用してみることにしたのでした。
行く先は、南東北エリア。往復に新幹線を利用しながら、いままで乗ったことのない路線にもアタックする、という乗り鉄紀行です。
4月2日早朝、まずは、八王子駅へ。こうしてここから旅に出る、というのも、もう最後なんだなぁ、と思うと、なんかしんみりとしてきますが・・・いくら、通勤その他で嫌な思いをさんざんしたとはいっても、やはり7年強の間、この駅が拠点だったわけですから。
今回は、6時13分発の中央特快東京行きに乗ります。いつもの201系電車ですが・・・こんな時間なのに、かなりの人が電車を待っていて、八王子発車時点で席は埋まっていました。
東京駅には7時3分に到着。東北新幹線の発着する22番線へ向かいます。
今回の往路は、7時20分発、山形新幹線の「つばさ113号」新庄行きで、まず山形へ向かうことにしました。
7時12分頃、上野方から、私の乗る列車が回送されてきました。・・・「つばさ113号」は、福島まで「Maxやまびこ113号」と併結される列車で、併結相手の車両はオールダブルデッカーのE4系車両8連。このところ、東北のみならず上越新幹線にも進出するなど、増備が急速に進んでいるようです。
そして、私の乗る「つばさ」のほうは、こちら、400系車両。山形新幹線の開業当初から使用されている車両です。秋田新幹線「こまち」と同タイプのE3系車両も使用されるようになりましたが、まだ少数派。大多数はこの400系です。
一昨年12月の新庄延伸以後、400系もそのE3系車両にあわせて、塗色の変更が進んでいます。この車両(L11編成)はすでに新色になっていました。
こちらが、E4系「Max」との併結部です。在来線の規格に合わせて小柄な車体になっている400系を、オール2階建てのE4系が飲み込まんとする図にも見えたりしますが(笑)、近く山形新幹線「つばさ」と併結する「やまびこ」は、すべてこのE4系になるそうで、この姿がスタンダードということになっていくんでしょうか。
冒頭に書いた「グリーン席利用券」ですが、この列車で使うことにしました。ということで、私が乗り込むのは、グリーン車の11号車です。
行先方向幕を見ると、「山形・新庄」という書き方になっています。「新幹線」と名のつく線路の終点が県庁所在地以外になる、というのは、この新庄が初めてのケースでした(在来線扱いの博多南、ガーラ湯沢を除く)ので、乗客向けの分かりやすさを優先したんでしょうけども・・・。
私も初めて乗ることになった、400系「つばさ」のグリーン車車内です。うれしいことに、この400系のグリーン車は3列シートが採用されています。最近では、先述した塗色変更とあわせてアコモデーション改善工事が施工されているため、ひょっとしたら、最近のJR東日本の標準となっている4列座席になってしまうのか?という噂が一時飛び交いましたが、それは杞憂だったようです。
こちら、そのシートです。アコモ改善の際にシートモケットが変わっているようですね。フル規格新幹線のグリーン車並みにシートが大きくて、なかなかいい感じです。
「つばさ113号」は定刻に東京駅を発車。この列車は、大宮、福島、山形、新庄にしか停まらない速達タイプの列車で、上野の地下ホームも停まらず通過していきます。
グリーン車サービスのドリンクとおしぼりが届けられました。今回も私はコーヒーです。ちょっと朝が早かったから、コーヒーは欠かせないっすね。
大宮手前、さいたま新都心のビル群を間近に見ます。
大宮でグリーン車にもっと乗ってくるかと思っていたら、そんなに・・・。ということで、グリーン車の乗客は、私も含め、東京から乗車の3人だけ。そんなもんなんでしょうか・・・。
北関東地域をあっという間に走り抜け、気が付けばすでに福島県内。左手には安達太良山の景色が見えています。まだ雪をかぶってます。
このあたりでの最高速度は240km/h。270km/hがデフォルトの東海道新幹線「のぞみ」なんかに乗り付けている私などは、遅く感じてしまいます・・・別に、スピードマニアってわけじゃないんですけどね。(^^;)
福島で2分停車の間に「Maxやまびこ113号」との切り離し作業。「つばさ」のほうが先に発車し、新幹線の高架から在来線の地平の線路へ下りていきます。
ここからは、線路のレール間隔が新幹線規格の1435mmになっている(通常の在来線は1067mm)だけで、その他は在来線の規格の中を走ります。
山すそをまわりこみ、福島盆地を後にします。
ここからは、かつての鉄道の難所、板谷峠を越える線路です。
福島と山形の県境をまたぐ、この板谷峠の山越え区間は、かつて4ヶ所のスイッチバックを利用していたほどの難所でした。最大勾配は38‰(パーミル・1km進むと38m上昇する勾配、という意味)、かつての信越本線碓氷峠(横川〜軽井沢間)の66.7‰には及びませんが、その碓氷峠と並び称されるほど、この区間は有名な峠の鉄路だったんです。往時は、特急列車も含めて、この峠を越える列車には補助機関車が連結されていました。
線路勾配は、新幹線車両が走るようになった現在も変わっていませんが、車両の性能が向上したことによって、いまはスイッチバックに頼ることなく、山越えが可能になりました。

さすがにこのあたり、まだかなりの雪が残っていました。
サミットを越え、下りに入ります。
急なカーブも多く、スピードを抑え気味にして下っていきます。
米沢盆地に下りてきました。このあたりも、雪が残っています。
米沢駅も、かつては峠越えの機関車の基地として有名でしたが、「つばさ113号」は通過です。駅構内には、米坂線の列車に使用されるキハ52形ディーゼルカーの姿がありました。
さらに列車は走り、山形が近づいてきました。
右手には、蔵王連峰の姿が見えます。3年前に山形へ来た際に、この蔵王にも車で登りました。
9時49分、「つばさ113号」は山形に着きました。列車は新庄へ向かいますが、私はここで降ります。
次にこの山形新幹線に乗れるのは、果たしていつになるんでしょうか・・・。
時間があるので、山形駅前へ出てきました。
本当は、土産物でも物色しようと思ったんですが、まだ時間が早いらしく、店が開いていませんで・・・。仕方なく、また改札を通ることに・・・。
朝が早かったのでそろそろお腹が空いてきました。駅構内で食べるものを買い込み、次の列車に向かいます。
こちらがその次の列車、仙山線経由の快速「仙山8号」仙台行きです。仙山線にはまだ乗ったことがなかったので、今回、初乗りをしてみることにしました。
この快速「仙山」、車両は元急行用の455系あたりが来るのかと思ってましたが、停まっていたのは写真の近郊型・719系電車。顔のつくりは、東海道線や東北(宇都宮)・高崎線などで走っている211系電車と同じですが・・・。
車内はセミクロスシート。写真のようなボックスシートもあります。まぁ、ロングシートの701系が来るよりは、こちらの車両のほうがいいですよ、ほんと。
10時28分に「仙山8号」は山形を発車。羽前千歳までは新庄へ向かう標準軌の線路と併走します。羽前千歳でその標準軌線の奥羽本線と分かれ、山へ向かいます。
こちら、山寺駅停車中に撮ったもの。ここが、松尾芭蕉の「閑さや 岩にしみ入 蝉の声」の句で有名な、その場所・立石寺(りゅうしゃくじ)なんですよね。切り立った岩肌の上に建物があるんですが、なかなかコワイですね。(^^;)
いつか、ゆっくり訪ねてみたいもんだなぁと思います。
次の停車駅、面白山高原の駅の手前で、左手車窓に滝のようなものが目に入りました。詳しくは知らないのですが、雪解け水が流れ出しているんでしょうかね?

ここを過ぎると宮城県、そして仙台市に入るんですが・・・けっこう雪が残ってますよねぇ。
山を越えて、仙台市内、作並駅に停まります。
この作並という場所は温泉でも有名ですが、もう一つ、日本鉄道の交流電化の発祥の地、といわれています。家庭用電源と同じ交流電気で列車を走らせると、地上設備を節約できるだけでなく、直流より少ない電力で大きなパワーを引き出せる、ということで、この仙山線の仙台〜作並間で交流電化の試験がおこなわれ、1955年には、電気機関車での走行試験に成功しています。

その後、交流電化は新幹線でも採用され、地方線区では交流電化のところも多いのですが、そのおおもとは、仙山線にあったわけなんですね。

列車はさらに山を下ります。でも、まだ仙台市内、という実感はわきません。(笑)
愛子に着きました。
向かい側ホームには各駅停車の電車がいますが、快速より長いんですね、編成が。こちらの「仙山8号」は4両、向こうは6両・・・まぁ、仙台近郊の輸送力列車と見ることもできますが、ラッシュ時じゃなく昼間だし・・・。
そろそろ、街っぽくなってきました。
北仙台を出ると、まもなく東北線を高架でまたぎ、仙台駅へ入っていきます。
「仙山8号」は11時36分に仙台に到着です。

で、ここからなんですが、ちょっと東北線を北へ向かってみます。
こちら、再び719系ですが、東北線小牛田行きの普通列車。4分の乗り継ぎでした。
そして、2つ先の岩切で下車。地下通路を通ってこちら1番線へ。
ここからは、東北本線利府支線の電車が出ています。私が乗るのは、写真の701系1000番台の2連。昼間、この岩切と利府の間をピストン輸送しています。

この利府支線、という線路ですが、かつては東北本線の一部として、青森へ向かう線路を構成していた路線なんですね。岩切〜品井沼まで、かつては「山線」とも呼ばれた線路が、現在の本線とは別につながっていたんです。いまは利府で線路が切られ、盲腸線となっています。
電車は岩切から6分で終点の利府に到着です。
折り返しの電車まで6分しかないので(笑)、大慌てで駅舎の写真を撮ります。
そして、こちらが利府駅構内。駅構内はかつて車両を留置するスペースがあったためにけっこう広々としています。そのなかに、ED75、ED77、ED78、EF71などの交流電気機関車が、かなり外板が傷んだ状態で置かれていました。国鉄の交流電化の歴史を語る上で貴重な生き証人たちのはずですが、なんとか保存の手立てをきちんととってもらえないものでしょうかね?
折り返しの電車は12時6分に利府を発車。もと来た道を戻っていきますが・・・この利府支線は、その路線の大半が、JR東日本の新幹線の拠点基地・整備工場である仙台総合車両所の敷地の横を通っていきます。こうして、横に目をやると検測車「ドクターイエロー」なんかが停まってたりします。

この利府支線、鉄道的には濃い環境のなかを走ってますねぇ、話には聞いていたんですが・・・。
岩切からは8分の待ち合わせで、東北線の上り仙台行きの電車に乗ります。
よく見ると、701系のなかでも最近になって投入された1500番台の車両でした。

昼間時間で、しかも4両もつないでいたのに、いやぁ、かなりの混雑でしたねぇ。
仙台に戻ってきた私は、そのまま地下へもぐり、通路をあおば通の方向へ歩いていきます。
実は、仙台と石巻を結ぶ仙石線が、市営地下鉄との乗り換え利便の向上などを目的に地下乗り入れ・あおば通延伸、ということになっていたので(地下区間開業は昨年3月)、今回、改めて訪ねてみようと思った次第で・・・。
前回、4年前に来たときは、もちろん仙台駅の仙石線ホームがまだ地上にあったころでしたしね。
こちら、あおば通駅の入り口です。旅行センターの「びゅうプラザ」まであったのには驚きましたが、これはまぁ、仙台駅より中心街に近い駅ですからねぇ、無理もないでしょう。
改札をとおり、ホームへ下りてきました。
開業してまだ1年しかたっていないこともありますが、こぎれいな感じですねぇ。ほんと、モダンな感じがします。・・・ただ、停まっている電車は・・・。
・・・こちら。これは地下化前から、ですが、仙石線の電車は、首都圏の通勤路線から転じてきた103系電車です。ただ、塗色や内装も含め、大幅にリニューアルされています。(大幅、といってもJR西日本のものには及びませんが)

本当は、13時ちょうど発の快速「うみかぜ11号」にここから乗ろうと思ってましたが、停まっている各駅停車の12時43分発・東塩釜行きに乗ることにしました。

前回仙石線に乗ったのは4年前のこと。地下化も含め、ずいぶん変化もあるでしょう。今回は、全線完乗を果たすつもりですが、果たしていかに・・・?
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