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Part2(2004・2)
出水を通過した試乗列車は、山間部の区間へ。
ただいま、列車は今回の開業区間でいちばん長い「第3紫尾山トンネル」(9987m)を通過中・・・。

このシート、おとなしくじっと座っているのはもちろん初めてでしたが、やわらかいクッションでありながらも、けっこう弾力があるんですよねぇ。
列車が川内を通過しようという頃、車内には客室乗務員さんのアナウンス。

「列車はあとおよそ10分で、終点・鹿児島中央駅に到着いたします」

・・・ええーっ、うそぉ、もう着いちゃうんかい??って感じでしたね。
新幹線が劇的に到達時分を短くすることは分かっていたはずですが、こうして実際に、川内の手前で「あと10分」なんて言われると・・・。

川内を通過する頃には、こんどは運転室から運転士さんのアナウンスが。列車が営業最高速度の260km/hで走行していることを案内していました。
まもなく、列車は川内新幹線車両基地の横を通過していきます。
川内を過ぎてしばらく、列車はトンネルを次々に通過しながら、次第に速度を落とし始めました。

九州新幹線では、ATC(列車自動制御装置)によるブレーキングのショックをやわらげるべく開発された「デジタルATC」を採用しています。
新幹線の場合、駅構内で停止する直前に速度が30km/hまで落ちると手動ブレーキを使用しますが、そこまではATCによって自動的にブレーキがかかり減速する仕掛けになっています。
従来のATCでは自動ブレーキが作動した際に若干のショックがありましたが、この800系「つばめ」ではデジタルATCのおかげでショックもほとんどなく・・・。

そう言っている間に、列車は最後の薩摩田上トンネルを出て、終着駅に進入していきます・・・。
この薩摩田上トンネルのある山の上のほうに住んでいる人たちから、新幹線がトンネルを走行する際に振動が起こるという苦情が出されているのだそうです。本格的に調査も行われるとのことですが、便利さと環境の調和、というのはなかなか難しいものですね。
住民のみなさんに不利益が極力残らないように努力してもらいたいということしか、今の私には言えませんけども・・・。

13時32分、試乗列車は「鹿児島中央駅」13番ホームに到着しました。
なんだか、あっという間の試乗体験でした。
ホーム先端から、1号車の先頭部を撮ろうとしましたが・・・。
広角のレンズがないと、全体を画角に入れるのはかなり厳しいですねぇ。ちなみに、6号車側も同じような状況で、あまりゆとりがないもので・・・。
ホームの発車案内表示。
もう、本番さながら、の状況でした。
ホームからは・・・。
桜島が見えていました。
この日は雲がかかって、山頂は拝めませんでしたが。

新幹線を降りると、そこには桜島・・・。
なんだか、雰囲気出てますよねぇ。
ということで、ホームからコンコースへ降りてきました。
こちらのベンチのクッション、これはあの、800系のシートと同じモケット・・・。
改札のほうもだいぶその姿を現してきましたねぇ。
自動改札機もカバーが外れて、ごらんのとおり。
ここで、試乗客向けのプレゼント。
受付のときにもらっていた引換券でもらったこちらのお饅頭、鹿児島の有名どころのお菓子屋さんのもの。

同じくプレゼントでもらった健康飲料とともにいただきました。
西鹿児島駅の東口前に出てきました。
いよいよ、「西鹿児島駅」の看板文字を「鹿児島中央駅」に取り替える工事が始まったようで、このようになっていました。3月13日のダイヤ改正には間に合わせることになるだろうと思いますが・・・。

駅前の商店街は、一足先に「中央駅一番街」に変身済み。
「西駅」という地元で親しまれた呼び名も、(まぁ俗称としては残るかもしれませんが)過去のものになってしまうわけで・・・。
いったん駅に入ってみました。

そこに、私たちが熊本まで乗車していた「つばめ7号」が到着していました・・・って、私たちは熊本でこの列車を降りてから1時間ちょっとあとに試乗列車で出発してるんですけどねぇ・・・。
改めて新幹線の速さを実感させられました。
しばらく外で時間をつぶしたあと、再び駅構内へ。

駅コンコース内のカウントダウン、いよいよこんな数字になってきました。
長年親しまれた「西鹿児島」の駅名も、まもなく歴史の中へ消えていこうとしています。
まだ実感わかないですけどもねぇ・・・。
さて、帰路の列車が入線して来ました。
「つばめ20号」博多行きは、さきほどの「つばめ7号」の折り返し、ということで、787系Bk-7編成とBM110編成連結の11両編成です。

私たちは基本の7連のほうではなく、付属の4連のほうの9号車の指定を持っていましたので、そちらに乗り込みます。
通常より4両増結になっているにもかかわらず自由席までいっぱいになり、座りきれないほどの人を乗せて、「つばめ20号」は西鹿児島をあとにしました。

鹿児島総合車両所の構内には、こちら、3月13日からデビューする特急「はやとの風」用のキハ140・147形2両編成が留置されていました。
しかしこの色、写真を撮るにはつらい色ですなぁ・・・。(^^;)

ここからは、帰路の旅路をば・・・。
さて、今回私たちは、この新幹線試乗会に向けて特別に発売された「新幹線つばめ試乗会きっぷ」というものを利用していました。
試乗会の行程に合わせて、往路は熊本まで、復路は西鹿児島から、という、通常ではあまりない発券方法なわけですが・・・。
乗車して、まずは西鹿児島駅で買い込んできた発泡酒で、同行者と乾杯です。
ここから「居酒屋」状態はヒートアップしていきます。(笑)
伊集院駅に到着。
ちょうど窓の横にきた7両編成の停止位置標。下には、かつて「つばめ」にも充当されていた783系「ハイパーサルーン」用の停止位置標もまだありました。

従来、修学旅行輸送の団体臨時列車で、783系が鹿児島線を通って西鹿児島まで下ってくることもあったわけなんですが、3月13日以後、787系はもちろんのこと、ここに783系が来ることはまずないんでしょうねぇ・・・。
「次は阿久根です。」の案内表示が出たところで、こちらの品を食することにしました。
ワゴンサービスは車内混雑で動くことができていませんでしたので、10号車デッキで待機しているワゴンのところまで買いだしに行っていました。(笑)

「つばめ」の車内販売ではおなじみの品、阿久根農業高校の生徒たちが実習で作った「豚味噌」「いわし味噌」の缶詰です。実は私、まだこちらを食べたことがありませんでしたので、ちょっと興味津々だったんですが・・・。

結果は・・・これはほんとにうまいです! お酒のつまみとしてもいけますが、ご飯のお供にはもってこいの内容になっています。
率直に言って、想像以上のうまさでした・・・。(^^;)

高校生たちの作ったものをこうして車内で扱っているというのも、「つばめ」ワゴンサービスの大きな特色のひとつだったんですよね。
阿久根を過ぎて、東シナ海を望む区間へ列車は進んでいきます。

「つばめ」はここを走らなくなりますが、この景色を見るために、肥薩おれんじ鉄道に乗ってトコトコと・・・そんな機会も、あるかもしれません。
ビールが終わると、今度は焼酎へ。(爆)
こちらも「つばめ」車内ではおなじみの「石の蔵から」をいただきます。
以前はビュッフェで氷をもらって、ロックでクイッと飲んでましたよねぇ・・・あの頃が懐かしくもあるわけですが。
出水を過ぎて列車は熊本県へ。

水俣では、475系国鉄急行色のGk-5編成3連が、2435M列車西鹿児島行きとして発車を待っていました。
この車両も、ここ水俣で見ることはできなくなりますよねぇ・・・。
水俣通過、ということで、私はこちらを。・・・そう、水俣の福田農場ワイナリーで製造されている甘夏サングリア「つばめワイン」の赤、です。
またまた乾杯。(爆)
やがて「つばめ20号」は、八代海沿岸の区間にさしかかります。
日が下がってきて、なんだか非常にいい感じです。

はぁ〜、ため息が出る景色ですね。
別の場面を、音声なし動画のほうでご覧いただきましょう。(wmvファイル・201KB、16秒)
八代を出て、新八代駅の新幹線ホームへのアプローチ線との分岐ポイントのところまで戻ってきました。
3月13日からは、向こうが鹿児島へのメーンルートになるんですもんねぇ。787系自体も、こちら側の本線を走ることはなくなるわけで・・・。
ここで再度、ビールに戻って乾杯します。・・・というか、さきほど食べた豚味噌のほうが程よく喉の渇きを誘っていましたのでねぇ。

よく飲むなぁ・・・。すでにかなりの量を飲んでいたのは事実で、あとから冷静に考えても、こんなに飲んで大丈夫なんだろうかと・・・。
ほぼ定刻に、「つばめ20号」は熊本駅4番ホームに滑り込んでいきます。

まだまだ、ほろ酔いの旅が続きます。
熊本を出た列車。
暮れ行く空の下、博多へ向けて北上を続けていきます。

なんだかマターリした雰囲気の中・・・。
この期に及んでも、まだまだ飲めるぞとばかりに(笑)、こちらのデザイン缶のビールをいただくことにしました。

まったく、何回乾杯すれば気が済むのやら・・・って私か。(爆)
でもまぁ、楽しくしゃべりながら飲むというのは、いいもんですね。
そんなことをしているうちに、窓の外はすっかり暗くなっていました。
「居酒屋」状態もそろそろ閉店、ということで・・・。

「つばめ20号」は定刻の19時18分、終点の博多駅5番ホームに到着しました。
西鹿児島から4時間近い在来線特急の旅も、3月13日以降はもう味わうことができなくなってしまう・・・実感がなかなかわかないながらも、一抹の寂しさを覚えずにはいられませんでした。
ここからは、885系で運転の「ソニック51号」に乗り継いで、北九州へ引き上げるだけです。
ほろ酔い気分でグリーン車に乗り込み、つかの間の揺りかご気分を味わって帰ったのでした。
ということで、一足先の「つばめで翔ぶ」体験、楽しませてもらいました。
往路の新幹線の試乗で、文字通り新幹線「つばめ」の速さを実感しました。車内の快適さを含めて、ファーストインプレッションとしてはかなり強烈なものを感じたわけで。実際にデビューしたらどんな感じなのかというのも、いまから楽しみではありますが・・・。
時間的に帰路のほうがギャップで長く感じるのではという心配もしましたが、それはまったくの杞憂でした・・・まぁ、上の有様を見てもらえればよくわかるかと。(爆)

とにかく、驚きと楽しさと、マターリ(笑)とで盛りだくさんな一日でした。
<おわり>