Part1(2004・2)
3月13日の九州新幹線新八代〜鹿児島中央(西鹿児島)間開業まであとわずか。
そんななか、2月28日から3月7日にかけ、週末を中心とした5日間、一般向けの800系新幹線「つばめ」の試乗会が行われました。もともと定員1万人の募集にたいし、はがきやインターネットでなんと12万を超える応募が殺到。それを見てJR九州では急遽、試乗会の定員を倍の2万人にして対応しましたが、非常に競争率の高い試乗会になりました。

その試乗会に、私自身も参加する機会を得ることができました。
一般向け試乗会2日目の2月29日、いざ出発!
朝、まずは門司駅までやってきました。もちろん、わけありで・・・。

一緒に参加するネット仲間と合流して、最初にやったことといえば・・・。
・・・こちらのものを食することでした。(爆)

門司駅の1・2番ホーム上にある立ち食いうどん屋さんで、えび天うどんをいただきました。ここでは、ねぎとともに味のよくしみたかしわの肉をこのようにたくさん入れてもらえますので、出てきたときには、下のうどんの麺が少ししか見えていない・・・。(^^;)
うどんを食している間に、特急「いそかぜ」用の送り込み回送で下関から小倉へ向かうキハ181系編成がやってきました。
思わず箸を置いて、とりあえず振り向いて1枚・・・。(笑)
食後、ホームを移動して、私たちが乗車する列車を出迎えます。

ブルトレ「さくら・はやぶさ」長崎・熊本行き。
ブルトレ、といえば寝台列車ですが、昼間の走行時間が長い一部の列車では、「立席特急券」というのを発券してもらえば寝台に座席扱いで乗ることができます。(これを業界用語で「ヒルネ乗車」と言ったりしますが)
この「さくら・はやぶさ」の場合、下り列車の山口県下松から先の区間でその取り扱いが適用になります。

ということで、今回はその立席特急券の発券を受けて、博多までこの列車に乗ることにしました。
乗り込んで、そそくさと「はやぶさ」編成の5号車に連結されているロビーカーへ向かいました。
ここがいちばんくつろげるだろうということで・・・。

やはり日曜の朝、ということもあってか、けっこうお客さんがいました。
次の小倉からは、もう一人合流。

ということで、まずは今回の計画の無事を祈って乾杯・・・朝からいきなりこれかい?という気もしましたが、まぁせっかくの休日ですから。(笑)
一杯やりながらマターリと話し込んでいるうちに、列車は福岡近郊にさしかかります。
こちらは福間付近。菜の花が咲いてますねぇ。
ほぼ定刻に、「さくら・はやぶさ」は博多駅8番ホームに到着しました。

特急とはいえ客車列車。私としてはいつも高速の特急電車で走り抜けている区間ですが、こういうマターリとした移動も非常にいいもんです。
「さくら・はやぶさ」が発車したあと、同じ8番ホームに、このあと乗り継ぐ列車が入線してきました。

10時5分発「つばめ7号」西鹿児島行き。通常は787系「つばめ」仕様7両編成のみでの運転ですが、この日はさすがに新幹線試乗会の参加者輸送ということもあって、7連のBk-7編成に、4連の「有明」仕様BM110編成が連結された11両編成で運転されていました。

「つばめ7号」は定刻に博多を発車。今回の私たちの指定席は、通常だと自由席車になっているはずの5号車。
同じ目的の人たちもたくさん乗っているようでした。
次の停車駅の鳥栖では、先に発車した「さくら・はやぶさ」が停車中。
向こうはこの鳥栖で、熊本行きの「はやぶさ」と、長崎行きの「さくら」に分割するための作業中。そのすきに、「つばめ7号」は追い抜いていくわけで・・・。

ワゴンサービスの客室乗務員さんから、コーヒーを買い求めました。
考えてみたら、博多から先でこうして「つばめ」の普通車の席に座るのも久々でした。
ここのところ、ずっとグリーン車ばかりでしたので・・・。(爆)
このページ一番上の門司駅の写真でも分かるように、この日の北部九州地方は朝から雨の空模様でしたが、熊本県に入る頃になると、このように青空が・・・。
絶好の試乗会日和になりそうですね・・・。
「つばめ7号」はほぼ定刻に、熊本駅1番ホームに到着しました。
試乗会集合の関係で、私たちはここで下車です。
で、まずは試乗会の受付を済ませました。
駅前のタクシープールのところには、試乗会受付のテントとともに、観光物産展のテントも出されて賑わっていました。

受付を済ませると、800系「つばめ」のパンフレットなどとともに、記念乗車証、そして試乗会参加者であることを示すワッペンを渡されました。

さて、いよいよですねぇ・・・。
出発前に、まずは腹ごしらえから(笑)、ということで、熊本駅構内営業でおなじみ、仁志甲さんの鶏めしのお弁当を食べることにします。
しばらくぶりに食べましたが・・・やはり味のよくしみた鶏めしはうまいです。
では、いざ試乗列車へ、ということで。

私たちの試乗コースは、熊本から新八代まで在来線の試乗会専用列車に乗車して、さらにそこから新幹線に乗り継ぐ、という行程になっていました。
熊本駅4番ホームから12時24分発で新八代へ向かう試乗会列車・試9325Mには、写真の南福岡電車区811系・813系7両編成が充当されました。下り方の811系は「三井グリーンランド」カラーのPM9編成4連、813系はRM7編成3連ということになっていました。

で、今回「試9325M」というように、列車番号の頭に試運転列車であることを示す「試」の文字が入っているのは、新八代駅の新幹線ホームと、鹿児島本線からその新幹線ホームへ向かうアプローチ線がまだ正式な営業区間として開通していないということもあったのだろうと・・・。
若干遅れて発車した「つばめ9号」のあとを追うように、試乗会列車・試9325Mは熊本を発車しました。
列車は豊肥線と別れ、新しい熊本運輸センターができる予定地の横を通り抜けていきます。
こちらは川尻運転派出の構内。
肥薩おれんじ鉄道の気動車・HSOR100形がつながれて置かれていました。
そこでも書いたとおり、ここ川尻は、3月13日から肥薩おれんじ鉄道のエリアになる区間(八代〜川内間)には入っていませんが、開業前でもあり留置場所が基本的に限られている状況もあるため、この場所に置かれているという話を聞きました。
列車は線形のいい区間をグイグイと飛ばしています。編成連結部の運転台のスピードメーターを確認したところ、811・813系の最高速度である120km/hが出ていたようで・・・。
熊本発が若干遅れていたということもあったんでしょうが・・・私自身、この車両でフルスピードの力走を味わった記憶はありません。(^^;)

気がつくと、列車はすでに新八代駅目前。
鹿児島本線から、新八代駅の新幹線ホームへ向かうアプローチ線に入っていきます。
いつも左側に見える本線のほうから見ていたこの線路を走っているのが、なんとも不思議な感覚でした。
そして・・・。
ついにやってきました、この場所へ。

私たちの列車は、新八代駅11番ホームに入線。
向かいの12番ホームには・・・いますよいます、800系新幹線「つばめ」の試乗列車が、私たちの到着を待っていました。
ホームに降り、在来線と新幹線との並びを・・・。
ホームでは、新幹線の発着する12番ホーム側にだけ、安全柵とホームドアの設置がされています。

山形・秋田新幹線のような在来線の車体規格の車両が走る路線ではない、いわゆるフル規格新幹線の路線で、このように在来線の車両が新幹線ホームに横付けして新幹線列車と接続する、という仕掛けは、もちろん従来はなかったこと。

それにしても、実際に開業すると、在来線が乗り入れる11番ホームのほうには787系特急「リレーつばめ」しか入線しないことになっているわけで、今回のように811系や813系といった近郊形電車が入ってくるということは、開業後にはまずよほどのことがないと見られないかなと。
12番ホームで待っていた800系の試乗列車、第1編成のU1編成でした。もちろん、昨年8月に川内での車両基地公開で車内見学に供されていた編成ですね。

側面LEDには、そのときと同じ「試乗会」の表示が出されていました。
車内に入りました。
私たちが乗車するのは、6両編成の4号車。
試乗人数は定員いっぱいという設定にはなっていなかったようで、空席が多くあったのが驚きでしたね。

こうやって通路を歩いていると、シートの背もたれの大きさが非常に印象的です。
車端部ドア上のLED表示器には、九州新幹線「つばめ」試乗会にご参加いただきましてありがとうございます、といった内容のメッセージが流れていました。

さて、いよいよです。
12時58分、800系「つばめ」試乗列車は新八代を発車しました。
この800系車両は、東海道・山陽新幹線の700系車両をベースに開発されています。その700系譲りの、本当に静かな滑り出しです。

まずは、八代の市街地を見ながら、上りの試乗列車と行き違い、徐々にスピードを上げていきます。
この九州新幹線の部分開業区間、その路線延長の7割がトンネル、といわれています。
実際に乗ってみても、やはりトンネルに入っている時間が非常に長いという感じでしたね。

それにしても、車内は揺れも少なく、非常に快適です。感覚的には、JR西日本の700系「Rail Star」編成に近いものを覚えました。

車内を通りかかった客室乗務員さんが、「お写真撮りましょうか?」と声をかけてくれましたので、同行者たちと写ることにしました。
新八代の次の駅・新水俣を、試乗列車は通過していきます。
私たちの試乗列車は、途中駅には停まらず、まっすぐ終点をめざしていきます。
次の駅・出水に向かう途中、わずかながら海を見通せる区間があります。

鹿児島本線を走る在来線特急「つばめ」の場合は、しばらく海を眺めながら走るという区間もけっこうあったわけですが、トンネルで山を貫くことが基本になっている新幹線の場合は、こうした車窓風景もまさに瞬間的、といった感じで、この写真を撮るのもけっこう苦労しました。

この間の地元マスコミでの報道を見ても、やはり車窓風景を撮るのが難しいような感じの内容がけっこう出ていましたのでねぇ・・・覚悟はしていたんですが。
出水を過ぎて、列車は再び山の中へ入っていきます。

出水駅からしばらく、昨年5月に試験走行開始前のレールウオークで歩いた区間を駆け抜けていきます。
あのときはずいぶん時間をかけて歩いた記憶があるんですが、さすがに新幹線ですよねぇ、あっという間に通り過ぎてしまいました。

快走を続ける800系試乗列車、続きは次のページで。
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