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Part2(2011・3)
3月12日朝。
テレビをつけると、やはり地震のニュースをずっとやっている。
少しくらい、九州新幹線の話題をやるかと思ってたけど、出てくる気配すらない。徐々に明らかになっていく被害の大きさに、ただただ驚くばかりだった。

宿泊した「ホテルユニオン」の朝食では、奄美の郷土料理である鶏飯を出していた。
茶漬け風にダシ汁をかけて食べるんだけど、これがけっこううまいのさ。
震災のことは気になりつつも、旅先にいるわけだから、変に自粛ムードに飲みこまれるのも何だなと思い、予定していた行動に移ることにする。
食後しばらく部屋でのんびりしたあと、10時近くになってチェックアウト。鹿児島中央駅に行ってみる。

駅改札前。ちょうど、新大阪からの一番列車「みずほ601号」が到着したところで、ツアー客をはじめ多くの乗客が新幹線改札を出てきて、ごったがえしていた。
一方で在来線のほうは、この時点でまだ日豊線隼人〜鹿児島中央間と、指宿枕崎線が津波警報のために運転見合わせになっていて、改札も閑散としていた。
東口の駅前広場へ。

ここでは九州新幹線全線開業記念のイベントが開催されていたが、震災を受けてステージプログラムが中止となるなど、規模は縮小されていた。
駅前の商店街・中央駅一番街へ歩を進める。

駅前にはそれなりに人出があったが、ここまでは流れてきていない。
さらに足を進めて、JRの鹿児島総合車両所へ。

久しぶりにやってきたもんで、敷地の外周をぐるりとまわってみることにする。
写真は、817系Vk-6編成。
元「福北ゆたか線」の車両だが、車体に北九州市の観光PRのステッカーを貼られた広告車となっていた。
別の場所には、地震に伴う津波警報の影響で「最後の出番」を失った485系が佇んでいた。

今回のダイヤ改正で九州の485系は定期運用を失った。これらの485系編成も、なんともすっきりしない形で引退を迎えることになるのか。
その485系編成の隣には・・・。

485系にかわって「きりしま」の運用に入る787系4両編成2本が、連結されて停車していた。
写真手前の上り方からBM101、BM104の2編成。・・・というか、これらの編成は今回改正で南福岡車両区から大分車両センターへ転属するので、Bo-101、Bo-104と表記するほうが正しいか。ダイヤ改正前に送り込まれていたもののようだ。

Bo-101編成のほうは「きりしま 国分」の幕を出した状態だったが、この時点では運転見合わせの影響で出番待ちだった。
このダイヤ改正でデビューするキハ47改「指宿のたまて箱」も、出発式のとりやめのみならず、津波警報による指宿枕崎線の運転見合わせのために、ダイヤ改正当日の運行はなかった。
このほか、車両所構内にいた車両。

左上写真は、「はやとの風」用キハ140-2066。車体側面のロゴ類がない状態、入場中か。

左下写真には、485系Dk-10編成3連と、415系Fk-514編成4連。Dk-10編成は、以前大分車両センターにいたDo-21編成7連から編成短縮されたものだが、やはり今回の改正で行き場がなくなったものと思われる。
鹿児島総合車両所をあとに、歩いて鹿児島中央駅前へ。

電車通りに沿ってさらに歩き、天文館方面へ。
お昼前になり、天文館から近いこのお店に入る。

「黒福多」鹿児島本店。ここに来るのは実に7年ぶり。

食べたのは、黒豚を使ったヒレかつの定食。いままでこのお店でロースかつを食べたことはあったが、やっぱりこのヒレかつの肉厚はいいねぇ。
すっかりお腹いっぱいに。
昼食を終えて、再び歩き始める。

天文館通のアーケードには↑の看板が。
「さくら」開鹿宣言、かぁ。うまいこと思いつくもんだねぇ。
商店街を抜けて行き、ここは西郷隆盛の銅像前。
上野の西郷さんと違い、こちらは軍服姿。
港にも行ってみた。

向かい側に見える桜島から、ちょうど勢いよく噴煙が上がり始めた。
そこからまた歩いて、鹿児島中央駅へ戻ってきた。

タイミング良く、駅前のイベント会場では青森りんごの無料配布が始まった。先着100名までということで、同行の嫁さんが列に並んでりんごをゲット。
そして、帰りの列車には少し早いが改札を通過。

改札のなかには、焼酎バーがある。
鹿児島近辺で醸造されている焼酎を190種類も扱っているんだけど・・・。
「本日のおすすめ焼酎」ということで、九州新幹線記念焼酎「さくら」というのが出されていた。

焼酎一杯に、それこそサツマイモが入ったさつま揚げが1枚ついて400円。
もちろん、ワタシは焼酎はロックでしか呑まない。(笑)

コンコースを行き交う人たちを眺めながら一杯。
これも、なかなか贅沢なもんだね。
さて、じゃホームに上がるか・・・。

今回、九州新幹線全線開業後の初乗車に際して、新大阪〜鹿児島中央間最速列車となる「みずほ」をチョイス。
どうせ乗るのなら、やはり「最速の列車」にこだわりたいと思った。

12番ホームから17時58分発、「みずほ604号」新大阪行きの指定券を持っていた。
車両はJR九州所属のN700系8000番台R6編成8連。

実は、2週間前に今回のきっぷを購入した際、博多駅の「みどりの窓口」でこの「みずほ604号」の鹿児島中央〜博多間の指定券をあたってもらったら、「2席並びではとれない」と言われ、「みずほ」をいったんあきらめて、1時間前に出発する「さくら422号」の指定券を出してもらっていた。
で、今回、鹿児島中央に到着してから再び「みどりの窓口」であたってもらったら、とれちゃったんだよね・・・震災の影響でキャンセルが出たりもしたのだろう。

いったん、山陽〜九州直通列車の愛称に公募で「さくら」が決まっていながら、その後さらに最速列車として「みずほ」の愛称が決まったことについては、異論もいろいろと出されていた。
基本的には航空機との対抗という課題があって、新幹線の速さを象徴的に現す列車が必要だったんだということだと思う。
「みずほ」という名前については、瑞々しい稲の実りという、ある意味日本を象徴する言葉でもあり、以前のブルトレの愛称、という固定観念で見るべきものではないと、ワタシは思う。
折り返し整備が済んだ車内に入ってみる。

昨年10月、川内新幹線車両センターでの車内公開で、このN700系R編成の指定席には座ってみたこともあるんだけど、やはりこの指定席シートはなかなかいい仕上がりだと思う。高級感、ホールド感もあって、ずっと座っていたい衝動に駆られる。
「みずほ604号」は定刻に鹿児島中央駅を発車。

鹿児島中央駅発車の模様を車内から動画撮影↓してみた。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=Hq5HgC6xAns

N700系の乗り心地は、これまでも東海道・山陽新幹線「のぞみ」で何度も体験してきているところだけど、その基本を受け継いでいる山陽・九州直通仕様でも、当然ながら静粛性、快適性は同じだ。
出水〜新水俣間では、不知火海を左手に望みながら走って行く。
新八代以南の部分開業区間ではトンネル区間が多いんで、景色、という点ではやはり厳しいが。
昨日までは新八代で在来線への乗り換えが待っていたけど、きょうからは乗り換える必要はない。
新八代通過の様子も、車内から動画で撮影してみた。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=zKFeYJbfiag

速度を落としながら新八代を通過し、新規開業区間へ進む。
緑川を渡る車窓風景も、やはり新鮮だ。
18時42分、熊本に到着。
ホームには、最速列車の「みずほ」を見物に来た人たちがたくさんいた。

熊本を出ると、新玉名、新大牟田、筑後船小屋、久留米、新鳥栖と通過。
分かっていたことだけど、駅間距離が短いことに、改めて驚かされる。

新鳥栖を通過すると、すぐに筑紫トンネルに入る。九州新幹線最長のトンネルだけど、このトンネル内では携帯電話が使用できる。
トンネル内には最大33パーミルの連続勾配があり、トンネルに入ってしばらくは明らかに坂を登っているのが感覚として分かる。そしてサミットを越えて下りに入る瞬間も、明らかに分かる感じだった。
そして「みずほ604号」は、定刻の19時17分に博多駅14番ホームに到着。鹿児島中央からの所要時間は1時間19分。

昨夜の「リレーつばめ」〜「つばめ」の乗り継ぎでかかってた時間を考えると、かなり早いと感じる。
さらに以前、博多から特急「つばめ」で4時間かけて西鹿児島まで行ってた頃を考えると、まさしく隔世の感。鹿児島と福岡って、こんなに近くていいのか?っていう感覚だった。

これで、ワタシはJR全線完乗のタイトルを無事に維持することができた。
祝宴を兼ねて、駅近所の居酒屋で軽く一杯。(笑)
今回の九州新幹線全線開業に伴うダイヤ改正で、九州内の特急体系など在来線にも大きな変化が生まれている。
そういった様子なども、今後じっくりと見ていこうと思っている。
<おわり>