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Part2(2007・7)
明けて7月16日。
いよいよ、その日がやってきた。

宿泊した「ランドホテル福井」の朝食。
和食で、これだけの量を朝から食べるということは普段はないワタシだけど、旅先だとこれが食べれてしまうから不思議。
ちなみに玉子は生ではなく、温泉玉子だった。
宿をチェックアウトして福井駅へ。
9時8分発の越美北線九頭竜湖行き725D列車に乗車する。

列車は、越前大野鉄道部所属のキハ120形2両によるワンマン運転。
福井寄りの1両・キハ120-204は越前大野止まり、九頭竜湖寄りのキハ120-203のみが終点・九頭竜湖まで運転される。

キハ120-204の前面には、左下写真のようなヘッドマークが取り付けられていた。
これから乗車する越美北線は、3年前の豪雨災害で足羽川が氾濫して5本の橋梁が流失し、長らく一乗谷〜美山間が不通となっていた。

今年6月30日、その不通区間が復旧した。この不通のためにJR全線完乗がお預けとなっていたワタシは、その復旧を首を長くして待っていたのだった。
ちなみに、NHK-BSの番組でJR全線完乗を果たした、かの関口ジュニアは、この区間が不通だったため代行バスに乗車していた。一応、代行バスでも「乗車」したことにはなるんだろうけど、ワタシとしてはやはり「鉄道で乗る」ということにこだわりたかった。
福井を定刻に発車した列車は、次の越前花堂までは北陸線の線路を走行。

越前花堂から、越美北線へ進む。写真の向こうには、北陸線ホームの跨線橋が見える。
国鉄時代は、福井〜越前花堂間は北陸線と越美北線の「二重戸籍」区間だった。越前花堂駅で北陸線ホームのほうがあとから作られたことが原因だが、JR化とともにその「二重戸籍」状態は解消され、越美北線は現在の越前花堂〜九頭竜湖間となったのだった。

しばらくは田園地帯を進むが、やがて山が迫ってくる。
一乗谷は、かつて戦国大名・朝倉氏の根拠地だったところ。
この駅から先が、不通区間だったところ。

このあたりも、足羽川が大暴れをしたところ。
この日も、雨の名残で水かさが増しているようだった。
10時4分、越前大野に到着。

ここで10分の停車時間のあいだに、福井寄りの1両を切り離し。ここから先は単行運転となる。
九頭竜川の流れを見ながら、列車はさらに山間部へ進む。

こんな景色も、旅人を出迎えてくれる。

そして、いよいよ終着駅が見えてきた。
10時45分、列車は九頭竜湖駅に到着!

ここで、ワタシのJR全線完乗は達成となった。

駅前にも出てみた。
いい雰囲気の駅舎だよね。
本当は降りてゆっくり観光してみたいけど、そういう時間は今回なかった。

帰りがけに、委託で駅業務をやっている観光会館の職員さんに、到着証明書を発行してもらった。
こういうのを発行してもらえたことも、いい記念になった。

九頭竜湖から折り返し、728D列車で福井へ戻る。
ここで、新潟県中越沖地震で鉄道にも大きな被害が出ていることを知った。新潟県内の鉄道が大きな被害を受け運転見合わせになっているということで、かなり驚いた。
地震の発生した時間は、ワタシは九頭竜湖へ向かう車中。福井ではそれほど大きな揺れは観測されず、ワタシが揺れに気づくことはなかった。
時刻はもうお昼。

この看板にひかれて、福井名物・ソースカツ丼を食べてみようと思い立った。(笑)

駅前にある「小川家」へ。
ソースカツ丼の並盛り。ロースカツ(380円)とヒレカツ(480円)があるけど、ワタシはあえてヒレカツのほうを頼んだ。

うん、カツも揚げたてでサクサクとした歯ごたえ。程よくお腹いっぱいに。
昼飯を終えると、名残惜しいが帰路につく。

「サンダーバード26号」大阪行きに乗車して、福井を後にした。金沢総合車両所所属の683・681系電車での運転。
この日、この列車は5分ほど遅れていた。さらに、本来は9両編成なのだが、この日は12両編成。
通常の「サンダーバード26号」は、富山始発で来る基本6両編成に、金沢始発の3両を増結するのだが、この日は中越沖地震の影響で、金沢始発の3両のかわりに、和倉温泉からやってきた遅れの「サンダーバード20号」の6両編成が連結されることになったと聞いた。
そのため、3両しかない自由席は大変な混雑になっていたようだ。
この日は湖西線の風規制はなく、北陸特急通常のルートを走っていった。

琵琶湖のあたりは、どんよりと曇っていた。
その後、京都を出たあたりから遅れがさらに拡大。前に列車がつかえていたからか、雨のなか徐行状態が続き、新大阪到着はおよそ20分ほどの遅れになった。
新大阪に到着後、新幹線に乗り換えて一気に九州へ。

乗車するのは、500系W4編成16連で運転の「のぞみ33号」博多行き。
こちらも、狙って500系への乗車にした。
しかも、こちらもグリーン車

左上写真が車内、そして、左下写真がシート。

このシートはやはりいい。往路で乗ったN700系のシートもかなりいい仕上がりだと思うけど、やはりこの500系のグリーン車シートは秀逸だと思う。
500系は、日本の新幹線における鉄道営業運転の世界最高速度・時速300km運転の元祖。「ただいまの速度は300km/hです。 We are now travelling at 300km/h.」とスクロールしていくこのLED表示は、それを象徴的に示すものだった。

やはり時速300km運転を行う新型・N700系がデビューし、今後大きく数を増やしていくことから、今後500系は徐々にその活躍の場を追われることになる。
ワタシ自身、今後何回「のぞみ」の500系に乗車する機会があるのだろうか・・・。
そんな思いをよそに、列車はフルスピードで九州へ。

定刻の18時35分、「のぞみ33号」は小倉に到着。
これで、ワタシのJR全線完乗をめざす旅は終わった。
ワタシ自身、サイトをやめた経緯のなかでいろいろ考えてきたことがある。

これまでは、それこそ乗ることがメインの旅が多かった。いろいろなところに行くには行ったが、その土地の名物やうまいもの、名所・旧跡などにふれ、その土地を文字通り楽しむようなことは、あまりやれていなかった。
これからは、もうそんなことはしたくない。ゆっくりと旅を味わいたいのだ。
サイトの更新にしばられることももうない。誰よりもまず自分が楽しいと思えるような旅のあり方を追求したい。

今後、新線の開業などで「完乗」のタイトル返上となった場合に、その区間へ乗りに行ったりすることはあろうが、いままでのように、血眼になってひたすら乗りまくるような乗り鉄をすることは、もうないだろう。

ワタシにとって、今回のJR完乗達成は一つのゴール。
同時に、ワタシ自身の「新しい旅」へのスタートでもある。
<おわり>