Part1(2004・9) | |
2004年9月。 仕事の密度がこのところかなり濃くなってきて、疲れがたまってきたので、リフレッシュするために休みを利用して旅に出ることにしました。 行き先について3週間くらい悩みました。仕事のことで頭がいっぱいになり、思考が前に進まないという状況もあって、どうしようかと思っていたところ、頭にふと浮かんだのは、このところ5年ほどご無沙汰していた、四国。 九州からだと近いはずなのに、なかなか行かないでいるうち、四国の鉄道もいろいろと変化してきているようです。 今回は、そうした四国の鉄道事情、懸案となっていたJR四国の営業路線完乗達成の模様はもちろん、うまいものや名所・旧跡など観光的な要素もあわせて、私が体験してきた「久々の四国」をご覧いただきましょう。 |
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9月17日。 まず私は、811系電車で運転の快速3326M列車で、門司港へやってきました。 「あれ?! 四国へ行くんだから、岡山経由で列車で行くんじゃないの?」と疑問を持たれる方もいると思いますが、その真相は・・・。 |
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門司港駅を出てやってきたのは、こちらの場所。 「マリンゲートもじ」、船着場です。 そうです、今回は、船で四国入りすることにしていたんです。 |
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そして、今回利用する船がこちら。 下関・門司港〜松山観光港間を1日2往復している、石崎汽船の高速船「シーマックス」です。 左右2つの胴体を組み合わせた「双頭型旅客船」としては国内最速となる最高速力45.06ノット(約83km/h)を誇るこの「シーマックス」。1998年3月に門司港〜松山観光港間に就航しました。今年3月からは、下関・唐戸への寄港も開始されています。 門司港〜松山観光港間の片道の所要時間は約2時間半。それまで、小倉・砂津港から松山観光港までを結ぶ夜行のフェリーはありましたが、この「シーマックス」の登場で、北九州から松山までは格段に近くなったな、という印象です。 |
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今回は、この「シーマックス」のスーパーシートを予約していました。通常の乗船料金は7500円ですが、スーパーシートは1000円の追加で利用することができます。 「シーマックス」は予約定員制で、座席指定はありませんので、とりあえずは列に並んで乗船の順番を待ちます。 |
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門司港発10時50分発の便に乗船です。 こちらが、定員30名のスーパーシートの室内。 一般客室が1階で、このスーパーシートは2階客室になります。 座席ですが・・・このようにかなり厚みのあるシートが並んでいました。 新幹線のグリーン車よりもごついかなぁと・・・。 |
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さらに、このシートには、肘掛収納式のこちらの液晶テレビがついていました。 客室乗務員さんによるドリンクサービスまであるということで、トータルで見るとJRのグリーン車並み、あるいはそれ以上のサービス内容ですね。 これが、通常運賃にわずか1000円の追加というのは・・・かなりお得かもしれません。 |
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定刻より3分ほど遅れて、「シーマックス」は門司港岸壁を離れ、関門海峡に出てきました。 関門橋の下をくぐり、周防灘へ進みます。関門海峡近辺では、安全のため速力を落としての航行です。 |
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お昼には少し早いんですが、このあとの行程も考えて、ここで昼食をとることにしました。 門司港駅のキヨスクで買ってきたこちらの「巌流島弁当」(1050円)。昨年の大河ドラマ「武蔵」放映を受けて発売されたものです。 内容は、関門とその近隣の食材を使ったもので、小倉牛やフグのおにぎり、小倉南区・合馬産のタケノコ、クジラの竜田揚げなどのほか、小倉発祥といわれる焼きうどんまで入っているというもの。 なかなかの食べ応えでございました。 |
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門司港出航時点では曇っていましたが、瀬戸内海に入ってくるとこのように青空も見えてきました。 「シーマックス」は持ち前のスピードで、グイグイと波をかき分け進んでいきます。 スピードの遅い貨物船を次々に抜き去っていくんですが・・・いやぁ、ほんとに速いですねぇ。 2750馬力のディーゼルエンジンを4基搭載しているというこのスーパージェット、やはりただものではありませんでした。 |
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島々の景色を見ながらのんびりしているうちに、「シーマックス」は松山沖へ。 前方に、松山観光港の桟橋が見えてきました。 |
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定刻より15分ほど遅れましたが、「シーマックス」は13時35分に松山観光港に入港しました。 思ったよりも揺れが少なく、快適な船旅でした。機会があればまた利用してみようかなと思います。 |
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さて、市街地から少し離れたところにあるこの松山観光港からは、伊予鉄バスのリムジンバスでJR松山駅へ向かいます。 このリムジンバスは、JR松山駅のほか、伊予鉄の松山市駅、そして道後温泉のほうにも足をのばします。 |
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松山観光港から20分ちょっとで、リムジンバスは松山駅前に到着しました。 ここ松山駅にやってくるのも、実に8年ぶりということになりました。 |
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ここ松山駅の「みどりの窓口」で、今回の旅で使うこちらのきっぷを調達しました。 「四国グリーン紀行」。4日間有効、JR四国と土佐くろしお鉄道の全線が特急も含めて乗り放題、しかもグリーン車にも乗れるというもので、お値段は20000円。 かつての「九州グリーン豪遊券」に負けず劣らず、使いでのありそうなきっぷです。 |
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さっそく鉄道での移動を開始するために、松山駅の構内に入ってきました。 四国カラーの気動車も、久々に見ると新鮮に映ります。 |
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ここからの移動は、1番ホームから発車の特急列車ということにしていましたが・・・。 左の2枚の写真。 左上と左下で、同じホームの電光表示ながら内容が違っているのがお分かりですね。 |
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私は、「2つの表示」の真相を確認すべく、隣の2番ホームからしばらく様子を見ることにしました。 まずは、今治方面から、特急形の8000系電車8両編成が姿を現しました。 岡山からの「しおかぜ11号」と、高松からの「いしづち15号」の併結列車。ここ松山で折り返し、「しおかぜ・いしづち24号」岡山・高松行きとなる車両です。 所定での折り返し時間がわずか8分、というのもすごいですが。 |
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そして、同じ1番ホームに、宇和島方面からも特急形の2000系気動車4両編成がゆっくりと入線してきました。 宇和島からの「宇和海14号」ですね。折り返し「宇和海13号」として宇和島へ向かう車両です。こちらも、折り返し時間はわずか8分です。 |
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結局、どうなったのかというと、1番ホームに、松山から東へ向かう特急と、西へ向かう特急が向かい合わせに停車する形になっていたわけなんですね。 階段の昇り降りなく、同じホームで相互の乗り継ぎができる、ということでもあるんですが、こういう形のホームの使い方、というのは、全国的に見ても珍しいのではないかという気がしました。 |
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私は、ここから「宇和海13号」のほうに乗車することにしました。 2000系気動車にももちろん、久々の乗車です。 この2000系気動車ですが、高速道路の整備が進む四国で特急の高速化を図るため、世界初の制御振子式気動車として開発された車両。1989年に試作編成が登場、1990年11月から量産車が本格的に運用に投入されました。営業運転の最高速度は120km/hです。 |
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「宇和海13号」は2分ほど遅れて、松山を発車しました。 次の市坪駅そばには、プロ野球の公式戦も行われる松山坊っちゃんスタジアムがあります。 |
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列車は伊予市を通過し、山手のほうへ進みます。 向井原を過ぎると、列車は伊予長浜を経由する海側の線路と分かれ、内子へ向かう山側の線路へと進んでいきます。 |
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山へ入ってしばらく、盆地地形の内子の街が見えてきました。 古い街並みが残っていることで知られる内子。観光客にもいま人気のある観光スポットです。 内子駅は、内子線を含む向井原〜伊予大洲間の山側の短絡ルートが全通した1986年に高架駅になっています。 |
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内子を出ると新谷までは内子線を走ります。 山を下り、新谷からは再び予讃線、ということになります。 時刻表などの路線図を見ると分かりますが、向井原〜伊予大洲間の山側短絡ルートのうち、内子〜新谷間のみが内子線、ということで、一般的には違和感があるところです。 かつて、内子線は、現在予讃線海沿いルートの駅である五郎駅から分岐し、新谷を通って内子までを結ぶ路線でした。1986年の短絡ルート開業の際、内子線の五郎〜新谷間が廃線となり、新たに予讃線の一部として新谷〜伊予大洲間に線路が敷かれたことから、こういう変則的な路線形態となっているんですね。 列車は、海沿いルートとの合流ポイントにさしかかりました。 |
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15時55分、「宇和海13号」は伊予大洲に到着しました。 私はとりあえず、ここで下車します。 |
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伊予大洲の駅前に出てきました。 一応ジャンクションではあるんですが、駅舎はこういう感じのたたずまいです。 |
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この大洲というところですが、実は鵜飼で有名なところです。 市内を流れる肱川で、「日本三代鵜飼」の一つに数えられる鵜飼が行われています。夏場がシーズンの鵜飼、この大洲の鵜飼も9月20日までということで、そろそろ終わろうか、という時期ではありましたが。 |
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再び列車で移動するために駅に入ってきました。 駅ホームから、このようにお城の天守閣が見えています。 こちらは、大洲城の天守閣。1888年に一度は取り壊されたということですが、大洲市制50周年を記念してこのほど復元されました。四層、高さ19.15mという木造天守閣の復元、戦後では日本一の高さのものということです。 |
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ここからですが、いったんもと来た道を戻ります。 「宇和海18号」松山行き、2000系気動車ですが、こちらの車両は、四国ではすっかりおなじみになった「アンパンマン列車」になっていました。 4両編成ですが、そのすべてでベースの色が違っていました。先頭から黄、緑、ピンク、青というカラーリングに、アンパンマンのキャラクターたちが様々描かれるという趣向です。 |
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この列車には1号車にグリーン席がありましたので、利用することにしました。 3列配置の大柄なシートが並んでいます。 |
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再び、内子を通ります。 向かい側には、宇和島行きの「宇和海15号」。4両編成のうち3両には、2000系の試作車両である「TSE」(Trans Shikoku Experimental)が充当されていました。 そのうち、内子の街をゆっくり歩いてみたいもんだとも思いますが。 |
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伊予中山に停車したあと、「宇和海18号」は伊予市に到着。 私は、ここで下車しました。 それにしても・・・やっぱり派手やなぁ・・・。 |
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こちら伊予市駅ですが、駅を出てすぐ近くに、伊予鉄道郡中線の終点となる郡中港駅があります。駅前の交差点を少し右手に行くと、すぐに見えてきました。 率直、こんな目と鼻の先にあるとは思っていなかったので、郡中港駅を見つけたときは「えっ!」と思ってしまったわけですが。 |
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駅の近くには、こちらの手づくり交流市場「町家」がありまして、地元の名産品や食品などを売っていました。 この伊予市には駅弁はなく、見える範囲にコンビニなどもありませんでしたので、夕食をここで買い込んで列車に乗ることにしました。 |
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さて、ここ伊予市からは17時16分発、伊予長浜経由の海沿いルートを通る八幡浜行き737D列車に乗車することにしました。 松山方から、キハ47形気動車の4両編成がやってきました。 帰宅の高校生たちとともに、この列車に乗り込みました。 |
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737Dは伊予市を出ると、向井原で山側の短絡ルートと分かれ、いったん25‰(パーミル)の勾配を登ります。キハ47はあえぐようにゆっくりと・・・。 こちらはキハ47の車内。 シートのモケットはワインレッドになっていますね。 |
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高野川を出ると、右手には瀬戸内海が見えてきます。 伊予上灘を過ぎると、その海との距離が次第に近づいてきました。 |
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17時54分、737Dは下灘に到着しました。 今回、私はここで途中下車をする計画を立てていました。 駅舎の前に出てきました。 いかにも鄙びた感じの駅ですねぇ。 この下灘駅は、海に近いことで有名な駅です。 そのロケーションゆえ、全国のJRの駅に貼り出されるJRグループ「青春18きっぷ」の宣伝ポスターに、これまでに3回も起用されているということで知られていますね。もちろん、これは最多の数です。 ここは、今年NHK-BSで放映された、「列島縦断鉄道12,000kmの旅 最長片道切符でゆく42日」の中継地点としても登場しましたね。 いまは、駅の海側を国道378号が走っていますが、かつてはこの駅のすぐそばまで海が迫っていたそうです。 なんでも、かつては駅舎の前を走る狭い道がメーンルートで、大型車も含めてかなりの交通量があったそうです。とてもそんな道には見えなかったんですが。 なお、駅はかつて1面2線配置の島式ホームでしたが、いまは海側の線路だけが残され1面1線の形式。山側のほうは埋められてしまっております。 |
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ここで、さきほど伊予市で買い込んできた夕食用のいなり寿司を取り出しました。 まさしく、駅のベンチで海を眺めながら食べよう、という寸法で・・・。 |
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ホームで食事している間に、少しずつあたりは暗くなり始めていました。 いい感じですねぇ・・・。 |
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そろそろ、移動するとしましょうか。 下灘18時30分発、739D列車八幡浜行きに乗車します。 高校生が入れ替わり立ち代り乗っては降り、している間に・・・。 |
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列車は、伊予大洲に到着しました。 ここからですが、一足先に発車する列車があるということで、階段を渡ってそちらへ乗り換えることにしました。 伊予大洲19時15分発、4665D列車宇和島行き。 キハ54形の単行ワンマン運転でした。 |
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キハ54形は、国鉄の分割民営化直前に投入された、いわばJR四国への置き土産的な車両です。 同じキハ54形でも、北海道で走っている500番台の車両とは違って、車内はオールロングシート、乗降ドアも引戸ではなく、バスなどで見られる折戸式になっています。 |
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列車はやはり高校生の乗り降りが多いですねぇ。 途中の八幡浜でもかなりの入れ替わりがありました。 写真は卯之町駅。 上りの4670D列車八幡浜行きと離合です。向こう側はキハ32形気動車で運転されていますね。 |
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やがて、列車は予土線との合流点である北宇和島に到着しました。 すでに、かなりお客さんの数が減ってきていました。 |
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20時40分、4665Dは定刻より若干遅れて終点・宇和島に到着しました。 頭端式のホームが待ち受けるこの駅、まさしく終着駅、ですね。 気動車が1両ポツンと佇む姿も、旅愁を感じさせます。 |
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きょうの旅はここまで、ということで、私は駅を出て、宿へ向かいます。 宇和島駅舎は1998年に、JR四国グループのホテルクレメント宇和島を含む6階建て、南国を思わせる雰囲気の近代的なビルに建て替えられています。 この日はもう夜ですので、あまりよく分からないですが・・・。 とりあえず投宿して、明日への英気を養いましょう。 |
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