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Part5(2004・11)
18時。
夕食の時間となりました。

7号車に連結されている食堂車「グランシャリオ」へと、足を進めます。
「北斗星2号」のディナータイムは、18時からと19時半からの2回設定されていますが、ワタシが手配していた18時からのディナー、テーブルは予約のお客さんでいっぱいになっていました。

ワタシは今回も、フランス料理のコース(7800円)を予約していました。
テーブルにつき、夕食コースとは別料金でドリンクを持ってきてもらいました。
数種類あるワインのなかから、ワタシが選んだのは十勝ワイン「トカップ」の赤。
肉料理のときには、やはり渋めの赤、ですね。
さて、前菜が出てまいりました。
「雲丹風味のクレープ包み海の幸サラダ仕立て」です。

このあと、魚料理として「真鯛とアスパラのクリームスープ」、メーンの肉料理として「牛フィレ肉のソテー 野菜のメロディー赤ワインソース」、さらにはデザート「ココナッツミルクのスープ仕立て 小豆のアイスクリーム添え」が出てまいりました。

そして、このディナーではおなじみの、シナモンパウダーのかかった胚芽パンも健在でした。

赤いランプシェードの灯のもとで、車窓を流れる街灯りを眺めながらのおいしいディナー。
とても言葉では言い表せない、至福のひとときです。

こうした食堂車の連結されている列車が、もはやごく一部となってしまっている日本の鉄道。
この食堂車でのひとときが、多くの人々の汽車旅の楽しみとしてこれから先も末永く残っていくことを願ってやみません。
食事を終え、個室へ戻ってきました。

すでに列車は長万部を過ぎ、八雲に到着。

ワタシは、個室でパソコンを開き、音楽を聴きながら写真の整理をしていました。

「いかめし」で有名な森を過ぎたあと、前夜の疲れもありましたので、寝る準備に入りました。
食堂車ではそろそろパブタイムが始まる頃ですが、今回はさすがにそこへ出かけるまでの余力は残っていませんでした。
21時40分。
列車は函館に到着しました。

この函館発車後、ワタシは消灯して眠りにつきました。
明けて、11月5日の朝。

5時に目覚めました。
列車はすでに仙台を出て、福島へ向かっているところ。

写真には写っていませんが、明けゆく東の空には、明るい星が2つ。
ちょうどこの時期、金星と木星の見かけの位置が、「大接近」していました。

窓から空を眺めながら、しばらくマターリと過ごします。
6時。

列車は、福島に到着。
福島から丸森を経由して槻木までを結ぶ、第三セクター・阿武隈急行の8100形電車が停車しています。
同社は1986年4月に国鉄丸森線(槻木〜丸森間)を引き継ぎ、さらに福島までの延伸と、民鉄では初めての交流電化を実現。槻木から北、仙台方面のJR東北線との乗り入れも行っています。
6時を過ぎて、食堂車のスタッフがモーニングサービスの紅茶を持ってきてくれました。
これも、ロイヤルならではのサービス。

やがて、朝日が顔を出しました。
6時半。

食堂車「グランシャリオ」では朝食タイムが始まります。

朝日が差し込む食堂車。
夜とはまだ違った趣があります。
今回、ワタシはこちらの「和定食」(1600円)にしました。
ワタシ自身、これまでこの「グランシャリオ」での朝食を5回食していますが、そのうち4回は「洋定食」でして、「和定食」はわずかに1回だけでした。

一番手前の焼鮭をはじめとして、いかにも、という感じの定食です。
このお膳に、あと味噌汁がついてきます。

仙台名物の笹かまぼこも入っていますね。「和定食」の食材が、仙台で積み込まれることと無関係ではないと思います。
おいしく朝食をいただいたあと、アフターコーヒーを。

本当に、時間がゆったりと流れていく感じがします。
やっぱり、列車の中で温かい食事がいただける、というのは、いいですよねぇ。
朝食を終えて個室に戻り、しばらく横になったりしながら過ごしているうちに、すでに列車は埼玉県に入ってきていました。

このあたりでは、列車を撮影している撮り鉄さんもいらっしゃったようで。
大宮を過ぎて、やがて東京都内へ。

すぐ隣には、京浜東北線の通勤電車209系が並走しています。

向こうは、通勤客で大混雑。
ワタシは下車前とはいいつつも、のんびりくつろいでいます。
これが脱日常の醍醐味、なんでしょうね。
終着手前の尾久。
駅の隣には尾久客車区、田端運転所といった広大な車両基地があります。

見えているブルトレ客車は、中越地震による上越線・信越線一部区間の運転見合わせのために運休が続いている、上野〜金沢間の「北陸」の編成。
このほかにも、JR西日本金沢総合車両所所属の急行「能登」(上野〜金沢間)用489系電車の編成1本が、ここで足止めされていました。

本当に、不通区間の一日も早い復旧を願わずにはいられません。
9時41分、「北斗星2号」は定刻に終点・上野に到着しました。

青森からの牽引機は、EF81-80でした。

食堂車の赤いランプシェードは、外から見てもやはり、インパクト大です。
またいつか、その光のもとで食事をする機会がくることを信じて・・・。
終着駅の上野は、ビジネス客や旅行客で賑わっていました。

今回のワタシは、東京は通過するだけ。
このまま、羽田空港へ向かい、九州へ戻ります。
ワタシにとって7回目となった今回の北海道上陸。
久々の「北斗星」利用、そしてなんといっても、日高本線や札沼線といった、未乗で残していたローカル線を制覇して、いままで知らなかった北海道を、また一つ知ることができたのかな、と思います。

何よりも、現地で札幌在住のネット仲間某氏が出迎えてくれ、車を出してくれたり、地元ならではの差し入れをしてくれたりと、いろいろ気を遣ってくれたことに感謝しなければなりません。
本当に、ネット仲間の存在は大きいですね。

来るべき次なる上陸の機会への期待が、いっそう膨らむ今回の旅でした。
<おわり>