(2006・4)
JR全線完乗に向けて未乗線を乗りつぶしてきた私ですが、実は地元の福岡県内に、まだ未乗の鉄道が残っていました。
一つは、西鉄甘木線。もう一つは、甘木鉄道甘木線。いずれも甘木を終着点とする路線です。
早々に乗ってしまいたいと思いつつ、なかなか行く機会がなかったんですが、たまたま同じ未乗線を乗りたいという客人が現れましたので(笑)、便乗して乗ることにしました。
4月23日朝。

「ソニック8号」に乗って博多へ。883系Ao-4編成7連での運転。
883系のリニューアルもずいぶん進みました。登場時のカラーリングを残す883系は全8編成中、このAo-4編成を含めてわずかに3編成となっています。
博多から、この列車に乗ります。

寝台特急「はやぶさ」熊本行き。
下り「はやぶさ」は従来、博多駅8番ホーム発着でしたが、3月のダイヤ改正から7番ホームに変更となり、キハ71系「ゆふいんの森3号」との並びも見られるようになりました。

寝台特急ということで、立席特急券利用、いわゆる「ヒルネ乗車」ということになりました。
車内で、すでに乗車していた客人と合流しました。
鳥栖を過ぎると、博多〜新八代間で建設が進む九州新幹線の高架が車窓から見えます。

この九州新幹線博多〜新八代間は2010年度の開業予定となっていますが、沿線を見ているとやはり工事のピッチが上がってきているように感じます。
10時44分、久留米に到着。

久留米駅構内では、3月ダイヤ改正時に貨物駅の機能が鳥栖貨物ターミナルへ移転。さらに、駅構内のゲージで飼われていた名物・クジャクも、すでに移転済みでした。
バスで、西鉄久留米駅へ移動。
JRと西鉄の久留米駅は、バスで10分ほどの距離がありますので、歩いて乗り換え、なんてことはちょっと考えにくい位置関係です。

西鉄久留米駅構内の「やりうどん」で、少し早いですが昼食。
「冷やし山かけうどん」(560円)。天気もよく少し暑いくらいでしたので、冷たいものについ目が行きます。
では、ここからまず西鉄甘木線の乗車、といきましょう。

大牟田始発でやってくる、11時38分発甘木行き。7000形電車の2両編成によるワンマン運転です。
2001年デビューの7000形は、西鉄としては6050形に続くVVVFインバータ制御車。車内はロングシートです。
西鉄久留米を出た電車は途中、宮の陣までは天神大牟田線の線路を西鉄福岡(天神)方面へ進みます。

宮の陣駅手前でポイントを渡り、大きくカーブした甘木線ホームへ。
ここでは、西鉄福岡方面から下ってくる急行電車との待ち合わせがありました。
甘木線は全線単線。
時折急カーブもあるなかをゆっくりと走っていきます。

こちらは、途中の本郷駅。
甘木から来る対向列車との行き違いで停車していますが、このホーム、ちょっと尋常じゃない狭さでした。(^^;)
「白線の内側までお下がりください」とかってよく言われますが、白線の内側には点字ブロックがあるだけ。人が1人立てるくらいの幅しかありません。
通過する列車がないから、これでも・・・という感じなんでしょうか。
西鉄久留米からおよそ40分ほどで、終点の甘木に到着。

西鉄の甘木駅、時代を感じさせる駅舎でした。
西鉄の甘木駅からほんの5分ほど歩いたところに、こちら。

ここは、甘木鉄道の甘木駅です。

甘木鉄道は、かつての国鉄甘木線を引き継ぎ、1986年4月から営業している第三セクター鉄道。
第三セクター転換時に小郡駅(国鉄時代は筑後小郡駅)を西鉄天神大牟田線・西鉄小郡駅との交差地点へ移転したのをはじめ、駅の新設、列車の大幅な増発などの積極策によって、大きく状況が好転した路線です。
駅舎のなかには、2台の自動券売機。
1台はもちろん、甘木鉄道線の券売機。そしてもう1台は、基山駅からのJR線のきっぷを販売する券売機です。
基山でJRに乗り継ぐ場合は、ここでJRのきっぷも同時に買えてしまう、ということなんですが、双方の券売機の位置が、甘木鉄道の券売機は駅舎入り口付近、JRの券売機が改札口付近と別々の場所になっていて、ちょっと気になりました・・・。
駅構内に入ってきました。

ホームにはこちらのように藤棚があり、折りしも見ごろを迎えておりました。
どうやら、第三セクター転換15周年記念に寄贈されたもののようです。
構内には、甘木鉄道の気動車たち。

同社にはレールバスタイプの気動車が8両所属しています。

左写真、左が、「卑弥呼号」塗装のAR401で、車内は転換クロスシート。

右はAR302で、車内はセミクロスシート。
いまから乗車する12時46分発、基山行き122列車は、このAR302での運転となります。
甘木を出た列車は、しばらくすると左手、さきほど乗車した西鉄甘木線の線路と接近。
そのまますぐに、両者の線路は離れていきます。
こちらは、太刀洗の駅。

地名は「大刀洗」ですが、駅は「太刀洗」という表記になります。
しかも、駅の所在地は大刀洗町ではなく、隣の筑前町、というオマケつき。

国鉄時代には、この駅から近いキリンビールの工場から列車での貨物輸送もあったとか。
高速道路のバス停と隣接する大板井、西鉄との接続駅である小郡などを経て、佐賀県に入り、基山に到着。
甘木からはわずかに26分の乗車でした。

基山からは、鹿児島本線で博多へ移動。
博多からさらに、福岡市営地下鉄空港線で天神へ移動。

客人のリクエストで、地下鉄七隈線に乗車します、・・・天神駅から、七隈線の起点である天神南駅までは、一応乗り換え適用とはいえ、遠いですよね・・・。(^^;)

やはり、ここの3000系電車は客室と運転台との壁がないので、前面展望を見たいだろうなぁと思い(笑)、最前部に陣取りました。
展望、といっても地下区間ですがね。
終点の橋本まで、24分の乗車。

駅前に出てきましたが、道路は車で混み合っていたものの、あまり周囲に建物がないのは相変わらずですね。
ちなみに、ロータリーの向こうに見えている建物が、七隈線の車両基地です。
天神南への戻りは、最後部に乗車。

デジカメで後方展望など撮って楽しんでいました。

駅を走り去るときに撮ると、こういう感じで後ろへ光が流れていくような感じになります。
写真っていうのは、瞬間を切り取るだけじゃないんですよね。面白いもんです。
甘木方面は何度も車では行っているんですが、それが故に鉄道で行く機会をなかなかつくれませんでした。
この期に及んで、県内に未乗線を残していたというのは意外に思われるかもしれませんが、案外そんなものなのかも。
九州内で、ということになると、まだ第三セクターで未乗のところが残っています。水害で高千穂鉄道に乗れなくなったのは痛いですが、ほかの路線もなるべく早めに乗っておきたいところです。
<おわり>