(2020・12)
2020年もまもなく終わろうとしています。まだ全然そんな実感ないんですが。
新型コロナウイルス禍のなかで過ぎて行ったこの1年。なかなか遠出ができない状況のなかで、ちょっと平日休みをとれてしまったもんで、近場で遊ぶしかないな~と思っていたところで・・・昨年3月から運行開始し人気を博していた、西鉄の「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」のランチの旅の申し込みをしてみたところ、あっさり予約が取れてしまいました。(^^;
こりゃもう楽しむしかない!ってことで、出かけてきました。
12月18日昼。
西鉄福岡(天神)駅です。
お昼時ですが、あまり人の姿はありません。

旅のスタートはここから、ということになりますが・・・。
「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の乗車は、予約した後に送られてくる乗車券を持って、有人改札を通ることになっています。
ワタシは今回スマホから予約しましたので、スマホのメールで乗車券が送られてきました。そのメールの画面を見せて、改札を通過します。
今回ワタシが参加する「地域を味わうランチの旅」は、11時50分にここ西鉄福岡(天神)駅を発車します。
ワタシが改札を通ると、すでに列車はスタンバイしていました。
「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の車両は、もともと4連組成されていた6050形6053Fを3連に短縮のうえ、大幅に改造を施したもの。

外装も大きく変わっていますが、車内も沿線の工芸素材を多用して大胆に変更されています。それこそもう改造前とは別物と言っていいくらいの変貌ぶりですね。手が込んでいます。

乗車の受付は、この福岡(天神)駅の特徴を生かして降車用ホームを使用しています。これは確かに、他のお客さんとかぶらないという意味で、いいやり方ですね。
受付後には、記念撮影のアトラクションまで・・・。
降車用ホームを挟んで、日常の列車が発着しています。
こういうのを見ると、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」の非日常感がより強く感じられます。
さて、車内に入ってきました。
既にセッティングがされていますね。
車体の外板と同じ、赤のチェックが基本デザインのようです。
こちらが、ランチのお品書き。
季節ごとに見直されているランチメニューですが、沿線の素材を使用するという基本ラインはしっかり守られています。お品書きの記載からも、そのこだわりが十分に感じられます。
内容については追々触れていくとして・・・。
こちらは、ドリンクやサイドのメニュー表。
オプションで、こちらのほうからいろいろ追加することも可能です。
けっこういろいろありますよね。
ホームでは、駅社員さんたちがお見送り。
お手製の横断幕も登場! 右の横断幕は写真では切れてますが、「っこり ゅっぱつ をふって ながるチクゴ」・・・って、にしてつやん・・・。(笑)

到着列車の遅れのため、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は1分遅れの11時51分、西鉄福岡(天神)駅を発車しました。
車内ではウェルカムドリンクが登場しました。
「あまおうプレミアムスパークリングワイン」または「季節のフルーツジュース」から選べるんですが、ワタシはもちろん前者で。(笑)

やはり、福岡だけにあまおうですよね。
香りもよく甘さもほどよい感じでした。
ウェルカムドリンクをいただいていると、列車は大橋を通過していきます。

福岡(天神)方面へ向かうお客さんが、ホームで待っているのが見えますね。
なんか、この優越感というか、たまりませんね。(^^;
続いて、スープが出てきました。
「ロマネスコのクリームスープ」。ロマネスコというのはカリフラワーの一種。大木町産のロマネスコを、うきは市産の牛乳をベースにしたクリームスープで溶いてあるのだそうで・・・とてもやわらかな、上品な味わいでした。
ウェルカムドリンクもなくなりましたんで、次の飲み物へ。(笑)

車内でお薦めされていた、「あさくらエール」。キリンビール福岡工場、八女ブルワリー、藤井養蜂場(朝倉市)のコラボによるものとのこと。ほんのり蜂蜜の香りが漂う、麦芽のうまみがしっかり効いたビールでした。
列車は、後続の特急を待避するため春日原で5分の停車。

その間に、運転士さんがマイクを握り、車両についての説明をされていました。なるほど、こういう趣向もいいですねぇ。(^^;
次は、ベジタブルプレート。

三品の盛り合わせになっています。
左下の春巻き状のものが「蕾菜のフリット」。蕾菜は柳川市産のものを使用。
右下が、「かぶと金柑のマリネ」。かぶは久留米市産を使用しており、皮まで食べられる金柑とあわせて、赤ワインビネガーとオリーブオイルで味付けされています。
上は、「かつお菜とルッコラのサラダ」。かつお菜とルッコラはいずれも大牟田市産とのこと。そこにカリカリのベーコンと、パルミジャーノレッジャーノチーズがかかっています。かつお菜というと、博多では雑煮に使われることで馴染みがありますが、これをサラダでいただくというのはワタシも初めてで、なかなか新鮮でした。
12時20分、列車は西鉄二日市に到着。
わずかな停車で、すぐに発車です。

向こう側に見える、12時24分発太宰府行きの電車は、通常だと3000形「旅人」での運転ですが、この日は車両点検の都合でもともと「旅人」が運休となっており、ノーマルの3000形で代走となっていました。
12時29分、列車は筑紫に到着。
ここでも、横断幕を持った駅社員さんたちがお出迎え。
「冬メニューはどげんですか?」と。すでに車内で料理が出されている時間帯ならではの内容ですね。(^^;

5分ほどの停車で、列車は再び走り始めました。
筑紫を出ると、左手には筑紫車両基地が見えています。

車掌さんからはアナウンスで、「今年は中止になっておりますが、10月に『にしてつ電車まつり』も開催されておりますので、開催されるときにはぜひ、足を運んでみられましてはいかがでしょうか」と、車両基地イベントの紹介もされておりました。
「あさくらエール」もなくなりましたんで(笑)、次のお酒へ。
日本酒も沿線各地の地酒が用意されていますので、せっかくなので呑み比べセットをいただくことにしました。
写真上に並んだ左から、三井の寿(大刀洗町)の「クアドリフォリオ」、若竹屋酒造場(久留米市)の「デビュー」、若波酒造(大川市)の「若波」。とくに、左の三井の寿さんのお酒が出色でですねぇ、酸味のような風味がとても面白いなと思いました。

お料理は、ミートプレートへ。
牛蒡と豚肉の赤ワイン煮込み。うきは市産の豚肉「耳納いっとーん」と、朝倉市産の牛蒡を赤ワインとニンニクで煮込んだもの。牛蒡も柔らかかったですが、とくに豚肉のホロホロ感がすごくて、ここまで柔らかくなるんだなぁ~と。(^^;
そうしているうちに、列車は筑後川を渡っていきます。

12時58分、西鉄久留米に到着。
ここも、わずかな停車時間で発車です。
日本酒呑み比べも終わってしまいましたので(笑)、お次にいくことに。

こちら、山口酒造場(久留米市)の「うぐいすとまり 鶯とろ」。梅のピューレが配合されたフルーツワイン。トロっとスキっと、という飲み口でした。
あの「庭のうぐいす」の山口酒造場が、フルーツワインを手掛けてるのは知りませんでしたねぇ。(^^;
車内では、いよいよメインプレートの登場。

「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」といえば、2号車にピザ窯を装備していることで有名ですよね。その車内のピザ窯で焼かれた「博多ナスと春菊のピザ」が登場!
筑後市産の「ミナミノカオリ」という小麦の粉を使用しているピザ生地に、柳川市産のナス、八女市産の春菊がトッピングされています。春菊を使用したピザ、というのもワタシは初めてでしたが、春菊の独特の香りも、ピザにはなかなか合うもんですね。
13時9分、列車は大善寺へ。
ここでも後続の特急の通過を待ちます。

車内では、サックスを演奏できるという車掌さんが演奏を披露。車内から拍手が沸き起こったことは言うまでもありません。
列車は柳川に着こうとしています。

ティータイムとなりました。
中村園(八女市)による、三種類のオリジナルブレンドハーブティーが用意されていました。「煎茶+ペパーミント」「ほうじ茶+レモングラス」「和紅茶+カモミール」のなかから、ワタシが選んだのは「和紅茶+カモミール」。
日本茶でつくられた紅茶と、安息作用のあるカモミールのブレンドティー、いい組み合わせだと思います。

柳川では、やはり社員さんたちがお見送りに出てくれていました。
ここ柳川で下車することも可能ですが、降りた方はほとんどいなかったんじゃないかな。
13時39分、列車は柳川を発車しました。
柳川を発車して、最後のデザート。

八女抹茶ティラミス。これがもう、絶品でした。
説明を省きたくなるくらい、おいしかった!
柳川を出ると、終点の大牟田はすぐです。

車内では、車掌さんから記念乗車券と、大牟田駅で改札を出る際に必要な降車券が配布されました。

左手には、JR鹿児島本線が寄り添ってきました。
写真はJRの銀水駅。ここまできたら、まもなくですね。
14時ちょうど、「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」は終点の大牟田に到着しました。

到着後、車内を撮影してみました。最初に乗ったときにはすでに、お客さんがたくさんいましたので、車内の撮影をしてませんでした。

このインテリアも、沿線のさまざまな素材を使っているんですよね。
本当に温かみがあって、自宅のリビングにいるような雰囲気になります。
降りてきて、ホームから列車をまた眺めます。

列車はこのあと、「地域を味わうOSAKEの旅」で折り返し福岡(天神)へ向かいます。
初めて「THE RAIL KITCHEN CHIKUGO」を利用しましたが、今回のランチの旅は想像以上にいい内容でした。
沿線の食材を多用したメニューも、車内の雰囲気も、とても満足のいくものでした。地元にはこれだけのいいものが存在していて、そのエキスをこの列車で楽しめるって思うと、気分も楽しくなりました。

これまで都市間輸送が主軸であった西鉄天神大牟田線が、こうして観光列車の舞台になったことに、鉄道というものの今後の在り方の一つを見た思いがしました。もっと、列車そのものを楽しめる場所が、増えてもいいんじゃないのかな、っていうね。
<おわり>