(2011・8)
JRの旅客営業規則第156条第2号に、「大都市近郊区間」という規定があります。東京、大阪、福岡、新潟のそれぞれの近郊区間に関する規定です。
指定された近郊区間内では、乗車する列車・経路を自由に選択することが可能です。この規定によれば、近郊区間内の隣接する2駅間を移動するのも、他の経路を使って大回りで乗車したとしても、途中下車さえしなければ最短経路の運賃で乗れる、ということになります。
ということで、今回、それを福岡近郊区間で実行することにしたのでした。
8月10日朝、吉塚駅。
今回は、ここがスタートです。

乗車するのは、隣駅である箱崎まで。ただ、その箱崎までを、経路選択ということで最短経路と別の経路で乗車しよう、ということになります。

ワタシは今回、ICカード乗車券「SUGOCA」を使用します。
カードを改札機にタッチして、ホームへ上がります。
ホームにあがると、こちらの列車がやってきました。
「ゆふいんの森1世」キハ71系4両。竹下にある車両基地から出庫して、回送でいったんこの吉塚に来たあと、博多へ向かい「ゆふいんの森3号」由布院行きとなります。
この吉塚からのスタートは、9時55分発、快速4229M列車荒尾行き。
811系+813系の計7両での運転です。
この時間は、博多へ買い物に出かける人たちで車内は混雑していました。博多で席がだいぶ空いてましたが。
こちらは、途中の南福岡。ここで、先に出た各駅停車鳥栖行き145M列車を追い抜きます。
南福岡は、電車区のある街。南福岡車両区では、ラッシュ時をさばいて戻ってきた電車の入換作業が行われていました。
10時23分、原田に到着。ここで下車します。

「飯塚・直方方面」と書かれた、乗り換え案内の看板が出ています。そう、ここからは、筑豊本線に乗り換えます。

ここ原田から桂川までの非電化の筑豊本線は、「原田線」という愛称がつけられ、「福北ゆたか線」と呼ばれる電化区間とは別系統の運行が行われています。
乗り継ぐ列車までは若干時間があるんで、ホームで撮り鉄しながら過ごし・・・。
10時52分発、桂川行き6624D列車に乗ります。
車両は、直方車両センターに所属するキハ31形。この日は、そのトップナンバーであるキハ31-1がやってきました。

1日8往復(平日の定期列車)しか走らない線区でもあるんで、どのくらいの乗車なのかなぁと思っていたんですが、実際はけっこうお客さんが乗っていました。
原田を出た列車は、筑前山家へ。

ここの駅前には、私設の保存会が所有する西鉄車両(路面電車、バス)の保存車が置かれています。北九州線路面電車の最期(2000年11月)まで活躍していた600形621号(写真中央)をはじめ、北方線を走っていて廃止後に土佐電鉄に譲渡され、その後九州に戻ってきた323形324号、あとは西鉄バスが1台。

いずれまた、ゆっくり近くで見てみたいもんだと思います。
筑前山家を出ると、列車は冷水峠越えの山登りへ。

この区間も、昔はブルートレイン「あかつき」が走っていたことがあるんですよねぇ。
その時代にぜひ、ブルトレで乗ってみたかったなぁと・・・。
6624Dは、原田を出て28分で、終点の桂川へ。
到着したキハ31-1は、このあと、直方運輸センターへ回送されます。

ワタシはここ桂川で、昼飯の調達。
駅舎の横に、「コラボ倶楽部」という売店がありまして、そこでは弁当なども扱ってますのでね。改札を出なくても買い物ができるんで、ありがたいです。
ここ桂川からは、11時33分発、「福北ゆたか線」直方行きに乗り継ぎます。
車両は、直方運輸センターの813系RG16編成3連。

この列車には3駅、9分間の乗車で・・・。
新飯塚で下車。
ここでさらに、後藤寺線に乗り継ぎます。

11時47分発、田川後藤寺行き1551D列車。直方運輸センター所属のキハ31-6での運転です。ここ後藤寺線や、さきほど乗車した「原田線」の区間では、以前はキハ40形が主力でしたが、いまはキハ31形が主力となっています。

新飯塚を出た列車は、市街地を離れて次第に農村地帯へ進んでいきます。
キハ31-6の車内はロングシート主体になっていますが、けっこうなお客さんが乗っていました。
トンネルで山を越えて、田川市内へ。
ここは船尾。船尾の駅の周辺には、セメント工場があります。かつては、ここもセメントの積み出しでにぎわったんでしょうが。
田川後藤寺に到着し、ここからは日田彦山線へ。

12時18分発、948D列車小倉行き。この列車は、直方運輸センター所属のキハ147形2両での運転です。

車内では、さきほど桂川で仕入れてきた昼飯をいただくことにしました。
こちらは、香春付近。
左手車窓には、香春岳が見えてきます。

手前の香春岳一ノ岳、石灰石の採掘により山は削られ、山頂部分が平らになっています。この一ノ岳、福岡空港から離陸した飛行機からも見ることができるんですが、山頂部分が石灰石の白になっているのが、空の上からもよく分かるんですよね。
こちらは、採銅所の駅。
この駅は、いい雰囲気の駅舎が健在です。地元の香春町が最近、駅舎の整備を行い、美しい状態になっています。
採銅所の次の呼野から、北九州市内です。

この呼野は、かつてスイッチバックの駅でしたが、1983年にスイッチバックが解消されています。
写真は、スイッチバック時代に使われていた旧ホームの駅名標。かなり色あせてしまいましたね。ワタシ、10年前のこの駅名標の写真を持ってますが、一番上の「よぶの」の文字が、当時ははっきり読み取れましたもんねぇ。
こちらは、志井公園発車直後。
ここには、北九州モノレールの車両基地があります。

いまの北九州モノレールは、車両がかなりカラフルになってますよねぇ。しばらく乗ってないけどなぁ・・・。
城野から日豊本線に入り、こちらは南小倉〜西小倉間にある、JR九州の小倉総合車両センター(かつての小倉工場)の横。
ここは、いまやJR九州のすべての車両の検査・修繕を行う施設になりました。鹿児島総合車両所(現・鹿児島車両センター)の工場機能が廃止になったのでですねぇ・・・。
13時14分、西小倉に到着しました。小倉まで行ってしまうと、西小倉〜小倉間が鹿児島線との重複になってしまうんで、ここで下車して乗り継ぎます。

乗り継ぐ鹿児島線の列車ですが、13時35分発、快速4249M列車荒尾行きです。811系8両での運転でした。
車内は冷房よく効いてて気持ちイイ〜!(笑)
スペースワールドが見えてきましたね。
ここは、まさしく北九州では最大の遊園地。絶叫系マシンも充実しています。「ザターン」はけっこうクセになりますよ。(ぇ
黒崎を出てしばらく。
このあたりは、筑豊直方へ向かう筑豊電鉄が並走していますが、熊西電停のあたりに、3連接車体の2000形の姿が見えました。
7本が在籍している筑豊電鉄の2000形も、この間、カラフルな塗装をまとっています。かつてはワタシの地元路線だったわけですが、しばらく乗ってませんのでねぇ・・・。
そのまま先へ進み、福工大前で普通列車に乗り継ぎます。
14時30分発、2161M列車二日市行きに乗ります。ここまで乗ってきた快速のほうがかなり混みあってきましたし、ここですんなり乗り継ぐのが正解かなと。
そして、14時50分、箱崎に到着。
ここで下車して、大回り乗車は完成です。運賃は160円。

「SUGOCA」で自動改札を出ようとしたところ、「時間経過」で止められました。さすがに、吉塚で改札を入ってから5時間経ってるもんですから、いったん改札で事情聴取。もちろん、こういう経路で乗車してきた、という説明をきちんとすることで、問題なし、です。
ということで、さらっと紹介しましたが、いかがだったでしょうか。
乗り鉄を志す者なら一度はやってみたい大回り乗車。ただまぁ、福岡近郊区間では、国鉄末期からの間に筑豊地区を中心にローカル線がかなり廃止になったり、第三セクターに移行したりしてしまいましたので、大回り乗車の面白味はそこまでないのかなとは思いますが・・・。
どうせなら、選択肢の多い東京あたりで、ぜひこういう大回り乗車をやってみたいなぁと思ったりしました。
<おわり>