(2011・7)
その旅を思いついたのは、出かけるその日の朝だった。
いくつか断片的に考えていたことをつなぎ合わせて、一日のだいたいの行程を、出かける直前に組み上げた。
ワタシ自身が久々に乗車するところ、長らく行っていない場所も、可能な範囲で組み込んでみた。
7月12日朝、博多駅にやってきた。

2番ホームから8時23分発、883系Ao-2編成7連で運転の「ソニック7号」大分行きに乗車。この列車で、終点まで行ってみることにした。
「ソニック」の博多〜大分全区間乗車なんて、いつ以来だろう・・・かなりのご無沙汰であることは間違いない。
まだ夏休み前の平日でもあり、指定席にもかなり空席があった。
のんびりと車窓を眺めながら、時々動画のカメラを回してみる。

折尾手前で、車内販売のワゴンがまわってきたんで、コーヒーをいただく。
サマーブレンド、この時期は250円で買うことができたうえに、次回の乗車時に使用できる「100円券」までサービス。この券があれば、次回は1杯100円でいただける。九州内在来線特急、および観光列車の車販限定で、九州新幹線では使えないんだけどね。
気がつけば列車は小倉で進行方向が逆転し、日豊本線に入っていた。

朝から天気がよく、夏の日差しが照りつけている。こりゃ午後からの夕立が心配だなと思っていたけど・・・。
別府で、同じ号車に乗っていた中国人旅行客が下車しそびれそうになって、大慌てで降りて行った。若干発車が遅れたようだった。

別府を出ると、ラストコースは別府湾沿いの走行。
この区間では、この春から、「世界の車窓から」のナレーションで有名な俳優・石丸謙二郎氏による大分市紹介の車内アナウンスが流れている。大分市などが企画したもので、大分出身の石丸氏の声で、ということで制作したようだ。
そのアナウンスを聴きたいと思ったのも、今回「ソニック」に乗車した大きな理由だった。
この日の「ソニック7号」では、「鶴崎踊り」の由来について紹介する内容が流れていた。6種類が録音されていて、どれが流れるかは乗ってみてのお楽しみ、だそうな。
その別府湾沿いの風景も収録した車窓展望の動画を編集してみた。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=6axtYrbhItA

10時47分、列車は終点・大分に到着。
駅の高架化工事が進捗しており、すでに高架との併用状態となっていた。来年3月には完成予定で、大分駅は4面8線の高架駅となる。
列車を降りたワタシは、駅の北口前へ。
この駅舎も、高架化完成後は建て替えなのだろう。

ちょうど腹が減ってきたんで・・・。
駅ビルの一角にある、こちら「カレーヤ」駅前店に入る。
このお店は以前から駅前ロータリーの一角にあったが、しばらく来ないうちに駅ビル内に入居していたとは・・・。
いただいたのは、写真のカツカレー、600円也。
ご飯の量が多いのは相変わらずで、普通盛りにも関わらず大盛りの風格がある。トンカツも揚げたてでアツアツの状態だった。
食後、次の列車まで少し時間があったんで、暫定使用されている高架ホームを見に行ってみた。
この日の時点では、6〜8番ホームが、久大本線・豊肥本線用として運用されていた。この高架ホームから別府方面への線路はまだつながっておらず、しかも久大本線からはこの高架ホームにしか入線できないため、「ゆふいんの森」「ゆふ」といった久大線の特急も別府への乗り入れができなくなっている。

写真、7番ホームには、11時36分発、中判田行き5430D列車のキハ220-203が停車中。
さて、ワタシはここ大分から11時54分発、「九州横断特急3号」熊本行きに乗車。車両はキハ185-1008+キハ185-10の2両。
ここから豊肥本線に乗るというのも、実に5年ぶりのこと。
乗車後しばらくして、車内販売のワゴンから写真のものを買い求めた。
宮崎・高千穂牧場のマンゴーシャーベット、300円也。
程よく冷房が効いた車内で、これまた程よく冷たいデザート、イイネ!
ずっと天気が良かったんだが、この豊後竹田到着のあたりから、雨が降り始めた。
このあとも、阿蘇外輪山を登る途中、雨が降ったりやんだりの天気だった。
しかしながら、九州の鉄道でもっとも高い場所にある波野を過ぎ、阿蘇カルデラの中に入ってくると、これがいい天気なのさ。(笑)

写真は、宮地駅構内に残されている、SL用のターンテーブル。かつては「SLあそBOY」の58654号機が使用していた。
58654号機は復活したが、ここ宮地へ来る機会は、今後あるのだろうか・・・。
阿蘇カルデラをあとに、列車は立野のスイッチバックへさしかかる。
高低差を克服するための策として設置されているここのスイッチバック、すっかり名物となっている。赤水から山を降りてきた列車は、いったん駅上方を通り過ぎた後、進行方向を変えて駅ホームへ入ってくる。

立野は、南阿蘇鉄道高森線との接続駅。
トロッコ列車「ゆうすげ号」にも、ぜひ乗ってみたいもんだと思っている。

立野を出ると、また雨が降ってきた。
見事に、カルデラの中だけ晴れてたんだなぁ・・・。(笑)
熊本近郊を走り抜け、列車は14時50分、熊本に到着した。

降りて、列車の行先幕を見てみたら、「あそ 熊本」を表示していた。
まさか、「九州横断特急 熊本」の幕がないわけじゃないと思うんだけど。

「九州横断特急」は、もともと別府から豊肥本線、鹿児島本線、肥薩線を経由して人吉までを結ぶ列車として運行を開始した経緯がある(一部熊本始終着の列車もあったが)。しかしながら、今年3月のダイヤ改正で、列車の多くが熊本を境に系統分割され、人吉へ向かう特急は「くまがわ」の名跡で走る列車が多くなった。別府〜人吉間を通して運転されるのは、全4往復中1.5往復のみとなっている。ワタシが乗ってきた「九州横断特急3号」も熊本止まりで、人吉へ向かうにはここで「くまがわ5号」に乗り継ぐ必要がある。

なお、この「九州横断特急3号」での車窓展望動画があるので下記リンクから。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=RO3-oYAFTHY
ここ熊本からは、目的があって、まずは上熊本へ。
熊本15時2分発、鳥栖行き普通5332M列車に乗車。車両は817系のトップナンバー車両であるVT1編成2連。
熊本から上熊本に至る鹿児島本線の線路は、最近線路の付け替えが行われて、現在は新幹線高架の下を走る格好になっている。上熊本駅のホームも、新幹線高架の下に移動していた。
熊本駅付近の在来線高架化工事と関連があるのだろう。

ちなみに、5332M列車からの熊本〜上熊本間後方展望動画があるので下記リンクから。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=UUHIWIjzVoU
上熊本からは、市電に乗り継いで、段山町までやってきた。

ここでの目的は・・・。
・・・ここ、村上カラシレンコン店。

昨年5月、JR九州ウオーキング参加の折にここのお店に立ち寄り、辛子蓮根を食べたことがあったんだけど、今回はその辛子蓮根と、もう一つの名物を買い込みに来た。それは・・・。
・・・写真は自宅に帰ってから撮影したものだけど、からしレンコンコロッケ。
この7月7日に放映された「RKB創立60周年記念 京都〜鹿児島1000キロ!! 新幹線途中下車の旅 」でも、熊本のB級グルメとして紹介されていたもの。
レンコンの歯触りと、辛子の風味をコロッケに閉じ込めた一品、もちろん、ソースなどかけなくてもおいしくいただける。ビールにもよく合う。
段山町からは、写真の電車で上熊本まで戻ってきた。
レトロ調電車である101号。内外装はレトロ調だけど、制御装置はVVVFというのがなんともミスマッチではあるが。

このとき、外は土砂降りの夕立・・・どうにか、巻き込まれずに済んだようだ。
熊本駅へ戻り、いよいよ最終コース。
九州新幹線で、博多へ向かう。

こちら、熊本駅の新幹線改札。
昨年5月のウオーキングでは、この新幹線駅の完成間近のところに入って見学するコースも入ってたんだけども・・・もちろん、新幹線が開業してからは初めてやってきた。
乗車するのは、16時24分発「さくら572号」新大阪行き。
列車は鹿児島中央始発。JR九州所属のN700系8000番台R2編成8連でやってきた。

この列車でも、車窓展望動画を撮影しているので、下のリンクから。(新しいウインドウで表示)
http://www.youtube.com/watch?v=fvR4xs1fsfY
「さくら572号」は17時2分、博多に到着。
途中、久留米に停車しているが、熊本からわずか38分で博多に到着。在来線特急「つばめ」「リレーつばめ」を使っていた身としては、かなり近くなった、っていう感覚がある。
8時23分博多発、17時2分博多着。
「北半九」を一回りするぐるり旅は、所要時間8時間39分で完結した。
けっこう駆け足的な感じではあったけど、それでもこれだけ満喫できれば御の字かな。
辛子蓮根を含めてお土産買い込んできたんで、あとは自宅で楽しませてもらおう。
<おわり>